ヘルス&メンタル
2025年5月23日

足が疲れたー!ふくらはぎモミモミ…これって効果ある?ふくらはぎマッサージのメリット・デメリット (1/2)

足がダル重~! そんなとき、ふくらはぎを手で揉んでほぐしたくなるもの。しかし、「ふくらはぎはむやみに揉まないほうがいい」という噂も耳にします。

はたして、ふくらはぎは揉んでもいいのか、それとも噂通り揉まない方がいいのか。SO.グレイスクリニック院長の近藤 惣一郎先生に聞きました。

ふくらはぎは揉んでいい? 揉まない方がいい?

ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、血液を心臓に戻すための重要な役割を担っています。血管にはご存知のように心臓から脳や内臓、手足などに血液を送る動脈と、送られた血液を心臓に戻す静脈があります。

心臓からの距離が遠く、下方にある足(下肢)の血液は、どうやって上向きに流れるかというと、歩行や運動時にふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)が収縮・弛緩することで、ポンプのように静脈内の血液を押し上げているのです。そして身体全体の血行を促進させ、心臓の負担も軽減しているのです。

立ちっぱなしだけでなく、座りっぱなしで、脚を動かさないお仕事や、歩く機会が少ない方、肥満の方、加齢で歩行・運動不足になると下肢に血液が溜まりむくみを出し、悪循環を起こし、ふくらはぎのポンプ作用が低下します。

また、静脈が蛇のように膨らむ静脈瘤(りゅう)の発生にもつながるとされています。全身の血流不足を補うため血圧が高くなり、脳や心臓の病気も引き起こされるようになるのです。

そして下肢静脈に鬱血(血液の流れが悪くなり停滞)が生じると、血液が固まり血栓を生じるリスクが高まります。下肢静脈の血栓は既述の静脈瘤の発生や、それ自体が血流によって肺に運ばれることで、肺塞栓という生命に関わる重篤な疾患を引き起こします。

ですから、“正しく”ふくらはぎマッサージを行い、筋肉をほぐすことは、むくみをとって下肢が楽になるだけでなく、全身の血行を良くして多くの成人病の予防につながり、血栓症の予防にもなると考えられます。

しかしネットなどで、「ふくらはぎマッサージはしない方がいい、マッサージしたらだめ」といった記載を目にすることがあります。それはなぜなのでしょう?

それは 下肢の静脈に血栓がある方が、強く揉んだり、圧迫したりすることで、静脈内の血栓が剥がれ、肺塞栓症を起こすリスクがあるからです。

静脈瘤がある方はもちろん、高齢者や脳梗塞、心筋梗塞の既往者、妊婦さんは、血液が滞りやすいため、ふくらはぎを強く揉むことは控えたほうが良いのです。

次:ふくらはぎの筋肉を安全にほぐすには?

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