運動時の怪我対策に。痛みや腫れの応急処置「RICE(ライス)」とは
運動は正しいやり方と強度で行わなければ、筋肉の炎症や肉離れ、打ち身、捻挫などの故障にもつながります。もしケガが起きた場合、悪化させないためにはすばやい応急処置が必須。今回は痛みやケガが起きた時の応急処置「RICE(ライス)」を紹介します。
「RICE(ライス)」とは
「RICE処置」とは、応急処置時に必要な4つの処置の頭文字を取ったもの。適切に行えばケガの悪化を防ぎ、回復を早める効果が期待できます。
・Rest(安静)・・・スポーツ活動の停止
・Ice(アイシング)・・・患部の冷却
・Compression(圧迫)・・・患部の圧迫
・Elevation(挙上)・・・患部の挙上
Rest(安静)
無理に体を動かすとケガの修復が遅れ、症状の悪化をもたらす可能性があります。そのため、まずは患部を安静にし、運動することを避けましょう。テーピングやタオルでの固定が効果的です。
Ice(アイシング)
患部を氷で冷やすことで血管が収縮し、内出血や炎症を緩和させます。氷のうがあれば氷を入れて使用し、無ければビニール袋でも代用可能。患部を冷やす際は直接氷を当てず、冷えすぎないようにタオルなどを使用しましょう。15分ほど冷やすと患部の感覚が無くなってくるので、そこで一旦アイシングを外してください。そして、また痛みが出たら再び氷を当てます。
Compression(圧迫)
患部を適度に圧迫することで、腫れや炎症を緩和・軽減することができます。特に内出血を起こすような筋肉系のケガの場合、患部にしこりができ、治癒に時間がかかるうえに再発のリスクも高まります。圧迫によってそのような症状を最小限に抑える効果が期待でき、アイシングより優先して圧迫処置を先に行うことも少なくありません。テーピングや包帯で患部を圧迫する際は、締め付けが強すぎると血流が悪くなってしまうので、加減を考えて実施しましょう。
Elevation(挙上)
患部に血液やリンパ液が集中すると、それが腫れにつながってしまいます。患部を心臓よりも高い位置に挙上し、腫れや炎症を緩和しましょう。椅子や台など、身近にあるものを利用して持ち上げるだけでも効果が期待できます。
RICE処置で対応できるケガの種類
RICE処置は、「ぶつけた」「ひねった」「引っ張られた」という腫れや痛みを伴う症状のケガに効果的です。たとえば以下のような場合、RICE処置を行うと痛みの緩和や回復のサポートに有効です。
打撲
打撲は患部に激しい炎症や内出血が起きている可能性が高いので、この症状を抑えるために患部を冷やしましょう。血流を良くしてしまうと、内出血を悪化させてしまいます。
捻挫
関節を捻ることは、運動しているとよく起こります。しかし、ひどい時は靭帯を痛めてしまうことも。腫れが出る前にRICE処置を行うことで、早期回復が期待できます。
肉離れ
肉離れ(筋断裂)は急に強い収縮力が筋肉にかかり、耐えきれず損傷を起こしてしまうスポーツ外傷です。特に運動不足の方が急に運動を開始すると発症しがちなので、注意しましょう。また、肉離れはクセになりやすいので、痛めたらすぐにRICE処置を行ってください。
この他、スポーツで起きうる多くのケガに「RICE処置」は有効です。運動する方は、ケガして動けなくなる前に氷のうなどを用意し、とっさに処置できる準備をしておきましょう。また、ケガした際の処置も大事ですが、やはりケガをしないようにする努力も同じくらい重要です。自身の力量を考え、無理のない強度で運動を楽しんでください。
<Text:松永貴允/Photo:Getty Images>