
なぜ自律神経は「雨の日」に乱れるのか?“納得の理由”と今日からできる“整え方” (1/2)
天気が崩れると、なんとなく体がだるい、頭が重い、気分が落ち込む——そんな不調を感じたことはありませんか? こうした「雨の日の不調」の正体は、自律神経のバランスの乱れにあるかもしれません。
気圧や湿度、気温の変化が体に与える影響は想像以上に大きく、とくに自律神経が敏感に反応することで、心身にさまざまな不調が現れます。
なぜ雨の日に自律神経が乱れやすいのか?そのメカニズムとともに、今日から取り入れられるセルフケア方法を、医療法人福岡桜十字 桜十字福岡病院 人間ドック・健診センターセンター長・医師の髙司 由理子先生が教えてくれました。
気のせいじゃない! 医学的に見る“季節性の不調”
“季節性の不調”、いわゆる「梅雨ダル」は、梅雨時期に多くの人が訴える、だるさ・頭痛・不眠・気分の落ち込み・消化不良など、心身にあらわれるさまざまな不調の総称です。
こうした症状は一見、「なんとなく調子が悪い」と片付けられがちですが、実はすべてに科学的な背景があります。医学的には、主に以下のような要因が関係しているとされています。
- 気圧の変化により、自律神経のバランスが乱れやすくなる
- 日照時間の減少により、脳内のセロトニン(幸福ホルモン)の分泌が減少し、気分が落ち込みやすくなる
- 高湿度や気温差によって、体温調節機能や消化機能が低下し、体がだるく感じる
これらはすべて、生体リズムや神経系の働きと密接に関係しており、ストレス耐性が低下しているときや、ホルモンバランスが揺らぎやすい時期(月経前や更年期など)には、より強く症状が出やすい傾向があります。
梅雨時期はなぜ自律神経が乱れるのか?
気圧の低下で自律神経が過敏になりやすい
梅雨時に増える“低気圧の日”。この気圧の変動は、自律神経に強い影響を与えます。
耳の奥にある「内耳」には気圧の変化を感知するセンサーのような役割があり、急激な気圧の低下を察知すると、自律神経が反応。交感神経が優位になると血管が収縮し、頭痛・肩こり・めまいなどの症状が現れやすくなります。
逆に、副交感神経が優位に傾くことで血管が拡張すると、眠気・無気力・片頭痛といった症状が現れるケースも。自律神経が過剰に揺さぶられることで、体は「オンオフのスイッチ」が上手く切り替わらないような状態に陥りやすくなるのです。
高湿度が代謝を停滞させる
梅雨時は湿度も高く、体内の水分調整がうまくいかなくなる傾向があります。この結果、むくみ・だるさ・消化不良といった代謝不調が起こりやすくなります。
とくに普段から冷えやすい体質の人は、より強く影響を受けやすいため注意が必要です。
▼梅雨時に悪化しやすい代表的な症状
片頭痛・緊張型頭痛の頻度が増える
気分の落ち込み・抑うつ傾向が強くなる
過敏性腸症候群(IBS)や月経前症候群(PMS)などの症状が悪化しやすい
神経痛・関節リウマチなど、慢性痛の症状が重くなることも
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