
なぜ睡眠不足だと熱中症になりやすい?寝不足がリスクを上げる理由と、猛暑でもぐっすり眠るコツ (1/2)
熱中症対策というと水分補給や冷房に意識が向きがちですが、見落としがちなのが「眠りの質と量」。とくに猛暑が続く季節は、睡眠不足が身体に与えるダメージがより深刻になります。
しっかり寝ていないと、暑さに弱くなる。なぜ寝不足だと熱中症を引き起こしやすくするのか。暑さで眠りが浅くなる夜にどう対処すればいいのか。林外科・内科クリニック理事長の林裕章先生に伺いました。すぐに取り入れられる快眠テクニックもご紹介します。
なぜ睡眠不足だと熱中症になりやすいのか
睡眠不足だと熱中症になりやすくなるのは、体温調節機能や自律神経の働きが乱れるためと考えられます。
自律神経がうまく働かなくなる
睡眠中、私たちの身体は自律神経によって体温や発汗のコントロールを行っています。ところが、睡眠が不足するとこの自律神経のバランスが崩れ、暑さにうまく対応できなくなります。
たとえば、必要なときに汗をかきにくくなったり、血流の調節がうまくいかなかったりすることで、体内に熱がこもりやすくなります。猛暑の外と、冷房が効いた室内の行き来も自律神経を乱す要因に。
脱水になりやすくなる
睡眠不足の状態では、水分摂取の機会が減ったり、ホルモンバランスが乱れたりして、体内の水分が不足しがちになります。
日中に水分補給が十分でないと、すでに軽い脱水状態からスタートすることになり、熱中症リスクが高まります。起床時200ml、就寝前150~200ml、日中は発汗量に応じて水分補給を。
疲労の蓄積で熱ストレスに弱くなる
睡眠不足が続くと、身体に疲労がたまり、熱に対する抵抗力(耐性)が低下します。普段なら耐えられる気温でも、睡眠不足の状態では「熱に弱い」状態になっており、熱中症にかかりやすくなります。
注意力の低下によって対策が遅れる
睡眠不足は判断力や注意力も低下させます。そのため、「暑さ対策が面倒に感じて省いてしまう」「水分補給を忘れる」など、熱中症を防ぐための行動が取りにくくなります。
とくに注意が必要な人は
高齢者・幼児、糖尿病/心不全など持病のある人、抗ヒスタミン薬・抗コリン薬・利尿薬を服用中の人 など
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