ヘルス&メンタル
2025年7月30日

男性不妊の兆候、中学生から…6割が「中学生の時点で違和感を感じている」 (2/2)

放置はNG! 精索静脈瘤・陰茎湾曲症は「将来の不妊原因」になることも

精索静脈瘤とは?

精巣周囲の静脈が異常に膨らんだり、蛇行したりする状態。これにより精巣の温度が上がり、精子の質(運動率や濃度)が低下してしまうことがあります。放置すると将来、体外受精や顕微授精といった高度な不妊治療が必要になるケースも。

ただし、手術により改善が可能で、再発も少ないとされているため、早期の気づきと受診が非常に重要です。

陰茎湾曲症とは?

勃起時にペニスが大きく曲がる状態。性交時に痛みや困難を伴うことがあり、重度の場合は性生活に支障が出ることもあります。

10代では性行為の経験が少ないため、「問題」として捉えられにくく、深刻化してから医療機関を受診する例も多いのが実情です。

銀座リプロ外科院長/東邦大学医学部名誉教授 永尾光一医師のコメントも紹介します。

「精索静脈瘤は、男性不妊の原因の中でも約4割を占める重要な疾患です。しかし、認知度は極めて低いのが現状です。今回の調査では中学生の時点で“違和感”を覚えている生徒が多くいることがわかりましたが、相談率は極めて低く、病気としても認識されていません。さらに、陰茎湾曲症は、見た目の違いだけでなく、性交の際に痛みを伴うことがあります。見過ごされがちですが、進学・結婚・恋愛など将来のライフステージに大きく関わる疾患です。若いうちに気づければ、簡単な手術で解決でき、精神的なストレスも大幅に軽減できます。親御さんや教育関係者にもぜひ知ってほしい内容です。将来の不妊リスクを減らすためにも、性教育の現場で『男性も不妊になることがある』という基本的な知識と、早期発見・治療の大切さを伝えていく必要があります。医療機関への相談がしやすい環境を、社会全体で整えていくべきです」(永尾先生)

違和感を感じたら、まず泌尿器科へ相談を

身体のこと、特に性器まわりの違和感は、なかなか人に相談しにくい話題です。でも、違和感を覚えたら、それは体からの大事なサインかもしれません。

すぐに病院に行くことが難しくても、匿名で相談できる医療相談サービスや、保健室・学生相談室などを利用する選択肢もあります。

また、ネット上の情報だけで自己判断せず、「おかしいな」「変かも」と感じたら、早めに医療のプロに相談してみることが何より大切です。

男性不妊は、決して「大人になってからの話」ではありません。今回の調査結果が示すように、思春期からの身体の変化が、将来の生殖機能に関わってくる可能性もあります。

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【調査概要】
調査内容:中・高・大学生性器の違和感に関する意識調査
実施日:2025年6月30日から7月1日
対象:15歳~19歳(学生)
エリア:全国
性別:男性のみ
方法:インターネット調査(クロスマーケティング社のQiqumoを使用)

<Edit:編集部>

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