 
          【愛着障害】なぜ「試すような行動」をする?その理由は"不安の合図" (5/5)
今日から使える! 感情的にならずに伝える3ステップ
試し行動に対応するとき、感情的にならず建設的に伝える方法として、「事実→気持ち→お願い」の3ステップが有効です。
ステップ1 事実を伝える(評価や解釈を入れない)
「昨日の夜から連絡がないね」「さっき、わざとルールを破ったね」
× 悪い例「いつも無視する」「わざと困らせようとしてる」(解釈が入っている)
○ 良い例「3時間連絡がないよ」「約束を守らなかったね」(事実のみ)
ステップ2 自分の気持ちを伝える(「あなたが悪い」ではなく「私は〇〇と感じる」と伝える)
「心配だよ」「悲しい気持ちになるよ」
× 悪い例「あなたがひどい」「あなたのせいで辛い」(相手を責める)
○ 良い例「私は不安になる」「困ってしまうな」(自分の気持ち)
ステップ3 具体的なお願いをする(命令ではなく依頼)
「次からは『少し一人になりたい』って言葉で伝えてくれると嬉しいな」「〇〇してほしいと思ってるんだけど、どうかな」
× 悪い例「絶対に連絡して」「二度とするな」(命令)
○ 良い例「帰りが遅くなるときは連絡してくれると安心するんだけど」(依頼)
この3ステップを使うことで、相手を責めずに、自分の境界線と希望を伝えることができます。
最初は慣れないかもしれませんが、練習するうちに自然に使えるようになります。ただ、軽度〜中等度の場面では有効ですが、試し行動が強く生活機能を著しく損なう場合は、専門家の介入が必要です。
こんな状況は要注意! 専門家に相談すべきサイン
試し行動への対応を続けても改善が見られない、あるいは状況が悪化している場合は、専門家の助けが必要です。以下のような状況では、早めに専門家に相談しましょう。
子どもの場合
- 自傷行為(リストカット、頭を壁に打ちつけるなど)が見られる
- 他者への暴力が激しく、止められない
- 学校に行けない、友達が一人もできないなど、生活に深刻な支障がある
- 養育者自身が精神的に限界を感じている
- 半年以上、家庭や学校での工夫を続けても改善が見られない
大人・恋愛の場合
- 試し行動がエスカレートし、脅迫や自傷、ストーキングに発展している
- 何度も別れと復縁を繰り返し、両者が疲弊している
- 相手または自分が鬱状態、不眠、パニック発作など、精神的な不調をきたしている
- 経済的・社会的に深刻な損失が発生している(仕事を失う、借金など)
- 話し合いが全く成立しない、暴力に発展する
これらの状態は、もはや当事者だけでは解決が難しく、専門的な介入が必要です。我慢し続けることは、両者にとって有害です。
相談先の選び方
子どもの場合:小児科、児童精神科、スクールカウンセラー、児童相談所、自治体の子育て支援センター
大人の場合:精神科・心療内科、臨床心理士によるカウンセリング、カップルセラピー、DV相談窓口(暴力がある場合)
「相談する=重症」「相談する=関係が終わる」ではありません。早期の相談が、関係の修復と個人の回復につながります。
とくに子どもの愛着障害への対応は、複数の機関が連携する「チーム支援」が効果的です。
監修者プロフィール
鎌田怜那(かまだ・れいな)
 一般社団法人マミリア代表理事。臨床心理士、公認心理師。
一般社団法人マミリア代表理事。臨床心理士、公認心理師。
【所属学会・協会】
・日本臨床心理士会
・日本公認心理師協会
・日本心理臨床学会
・日本アタッチメント育児協会
公式サイト https://mamilia.jp/
<Text:外薗 拓 Edit:MELOS編集部>








