ビタミンDのがん抑制効果、カギを握るのは「ビタミンA」だった (2/2)
細胞内で起きている「共同作業」に着目
研究グループが注目したのは、ビタミンDが細胞内で働く際の分子メカニズムです。ビタミンDは、ビタミンD受容体(VDR)と結合することで作用しますが、その際、ビタミンAの受容体であるRXRとペア(ヘテロ二量体)を組む必要があります。
つまり、ビタミンDが本来の力を発揮するためには、パートナーであるビタミンAの状態が適切であることが不可欠なのです。この仮説を臨床データで裏付けた点が、今回の研究の大きな成果といえます。
サプリメント摂取への新たな示唆
ビタミンDは健康維持や疾患予防の観点から注目され、サプリメントとして摂取する人も増えています。しかし今回の研究は、「摂ればよい」という単純な話ではないことを示しています。
今後は、ビタミンDの補充を考える際に、ビタミンAを含めた栄養状態全体を評価することが、より重要になる可能性があります。
なお、本研究成果は、米国がん学会(AACR)の公式学術誌「Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention」に、2026年1月12日付で掲載されました。
【発表論文】
タイトル: Effect Modification by Serum Vitamin A Levels on the Association Between Vitamin D and Relapse or Death in Patients with Digestive Tract Cancer: A Post Hoc Analysis of the AMATERASU Randomized Clinical Trial
著者: Kohmura T, Ohdaira H, Suzuki Y, Urashima M
掲載誌: Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention (2026)
DOI: 10.1158/1055-9965.EPI-25-1427
消化管癌(食道癌、胃癌、大腸癌)に加え、頭頚部癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、膵臓癌の患者さんにご協力いただき、ビタミンDサプリメントのがんの再発抑制効果を厳密に検証する国内最大規模の臨床試験「AMATERASU試験」の第二弾を、慈恵医大附属病院を中心に2022年1月から開始しています。
【AMATERASU試験について】
本研究の基盤となったAMATERASU試験は、がんの再発予防におけるビタミンDサプリメントの効果を厳密に検証した、国内最大規模の臨床試験です。
・試験デザイン: 2010年から2018年にかけて実施された、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験。
・対象: 手術を受けたStage I〜IIIの消化器がん(食道から直腸まで)の患者417名(平均年齢66歳)。
・方法: 患者をビタミンD3(2,000 IU/日)摂取群とプラセボ群にランダムに割り当て、再発や死亡を長期追跡。
・主解析の結果: 世界最高峰の医学雑誌(トップジャーナル)である『JAMA』誌に2019年に掲載されました。全体では5年無再生存率において有意な差は認められませんでしたが(ビタミンD群 77% vs プラセボ群 69%, P = 0.18)、血清ビタミンD濃度が20〜40 ng/mLの「中等度」の患者群では、リスクを半分以下に抑える有意な効果が確認されていました(ハザード比 0.46, P = 0.02)。今回の追加解析は、この「なぜ中等度濃度の患者にのみ効果が強いのか」という謎を解明するものです。
<Edit:編集部>









