2026年2月12日

「ペニシリン」はアオカビから発見された。いま“黒カビ”が脳梗塞治療の新たな希望に (1/2)

感染症治療の歴史を語るうえで欠かせないのが、世界初の抗生物質「ペニシリン」です。

2月12日は「ペニシリンの日」。1941年のこの日、イギリス・オックスフォード大学附属病院で、世界初となるペニシリンの臨床試験が成功したことにちなんで制定されました。

アオカビが救った無数の命

ペニシリンは1928年、細菌学者アレクサンダー・フレミングによって、偶然アオカビから発見されました。

第二次世界大戦中には感染症による死亡を劇的に減少させ、「それまで致命的だった細菌感染症を治療できる」という医学の常識を覆しました。

この功績により、フレミングは1945年にノーベル生理学・医学賞を受賞。ペニシリンは現在も世界中で使用され続け、20世紀最大の医学的発見のひとつと評価されています。

医薬を生み出してきた「カビ」の力

一見すると敬遠されがちな存在であるカビですが、実は人類の医療を大きく前進させてきました。

ペニシリンに続き、1973年にはカビ由来成分からコレステロール低下薬「スタチン」が発見され、心筋梗塞や脳卒中の予防に革命をもたらしました。

こうした「微生物が生み出す医薬」の系譜は、いまも続いています。

世界遺産・西表島の黒カビから生まれた新薬候補

現在、注目を集めているのが、沖縄県・西表島の黒カビから見出された脳梗塞治療薬候補「TMS-007」です。血栓を溶かす作用に加え、炎症を抑える作用を併せ持つ点が特徴です。

MS-007は、東京農工大学で発見された「SMTP(Stachybotrys microspora triprenyl phenol)化合物群」の一つで、株式会社ティムスが開発を進めています。

既存の脳梗塞治療薬は、原則として発症後4.5時間以内の投与に限られるという厳しい制約があります。しかしTMS-007は、治療可能時間の拡大と後遺症軽減に期待できます。

次:治療可能時間の拡大と後遺症軽減に期待

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