2026年2月12日

「ペニシリン」はアオカビから発見された。いま“黒カビ”が脳梗塞治療の新たな希望に (2/2)

治療可能時間の拡大と後遺症軽減に期待

2018年から2021年に国内で実施された前期第2相臨床試験では、以下の点が示唆されました。

安全性:プラセボと比べ、有害事象の増加は認められなかった
治療可能時間の拡大:発症後12時間以内という枠で投与しても、脳出血などの副作用は増加しなかった
後遺症の抑制:発症90日後に後遺症のない状態まで回復した割合は、プラセボ18.4%に対し、TMS-007投与群は40.4%

上図:Niizumaet al. (2024) Stroke55,2786–2794

現在は、投与可能時間を発症後最大24時間まで拡大した大規模国際臨床試験(ORION試験)が20か国で進行中です。

ペニシリンに続く新たな希望へ

脳卒中は日本人の死因第4位、要介護の原因第1位という重大な疾患です。超高齢社会が進む中、後遺症をいかに減らし、患者のQOLを高めるかは大きな課題となっています。

ペニシリンが感染症治療の常識を変えたように、西表島の黒カビから生まれたTMS-007が、脳梗塞治療の未来を変える存在になるのか

発見から約100年を迎えるペニシリンの日は、微生物研究が今も医療の希望を生み出し続けていることを改めて感じさせる一日といえそうです。

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<Edit:編集部>

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