大人の女性の「ASD(自閉スペクトラム症)」、よくある特徴とは?精神科医監修 (1/2)
ASDは男性に多いというイメージがありますが、近年、女性のASDは「見逃されやすい」ことが明らかになってきました。子ども時代には気づかれず、大人になってから初めて診断を受けるケースも増えています。
なぜ女性のASDは気づかれにくいのでしょうか? また、大人の女性のASDの場合、どんな特徴があるでしょうか。監修は、神谷町カリスメンタルクリニック院長・松澤 美愛先生です。
なぜ「女性のASDは気づかれにくい」と言われるのか
ASDは従来、男性に多い発達障害とされてきました。しかし近年の研究では、女性のASDは「少ない」のではなく「見逃されている」可能性が指摘されています。
周囲に合わせる「カモフラージュ能力」の高さ
女性のASDが見逃されやすい最大の理由は、「カモフラージュ(擬態)」能力の高さです。
カモフラージュとは、社会的な場面で「普通」に見えるように、意識的・無意識的に振る舞いを調整することです。
女性は一般的に、社会的なコミュニケーションの重要性を幼い頃から学ぶ機会が多く、「空気を読む」「周囲に合わせる」ことへのプレッシャーも強い傾向があります。
そのため、ASDの特性を持つ女性は、周囲の人の振る舞いを観察して模倣したり、会話のパターンを学習してマニュアル化したりすることで、表面的には「うまくやっている」ように見えることがあります。

しかし、このカモフラージュには膨大なエネルギーが必要です。
本人は「ただ普通にしているだけ」で疲弊し、家に帰るとぐったりしてしまう。長期的には、燃え尽きや心身の不調につながることも少なくありません。
特性の現れ方の違い
男性のASDによく見られる特徴として、特定のものへの強いこだわり、一方的な会話などがありますが、女性の場合、それらが目立たない形で現れることがあります。
たとえば、女性のこだわりは「人間関係」「心理学」「動物」「ファッション」など社会的に広く受け入れられやすい分野に向くことが多いです。
そのため、「趣味が深い人」「こだわりがある人」程度に見られ、ASDの特性とは認識されにくいのです。

また、女性は表面的な社交辞令や会話のキャッチボールを学習によって身につけていることが多く、「コミュニケーションに問題がない」と判断されてしまうこともあります。
他の診断に隠れてしまう
女性のASDは、うつ病、不安障害、摂食障害、境界性パーソナリティ障害などの二次的な症状として現れることが多く、本来の原因であるASDが見逃されることがあります。
「なぜか生きづらい」「人間関係でいつも疲弊する」という悩みを抱えて受診しても、ASDではなく、うつや不安の診断だけがつくケースは珍しくありません。
次:大人の女性のASDに多い特徴とは?









