母親が嫌いなまま成長した人の特徴とは。どんな生きづらさが出やすい? (3/3)
専門家に聞く! 母親との関係が悪いままでも問題ない?
母親を好きになれないあなたへ
長く痛みを抱えてきたあなたへ
長く痛みを抱えてこられましたね。
子どもは本来、母親を無条件に愛そうとする存在です。たとえ望んだ反応が得られなくても、母親を責めるのではなく「自分に原因がある」と考える——それはとても自然な心の働きです。
「好き」の裏側にある感情
成長するにつれて、他の大人との関わりを通して気づく瞬間が訪れます。
「どうしてお母さんは……?」そんな疑問や怒りが湧き始め、“好き”の裏返しとしての“好きじゃない”“嫌い”という感情が芽生えていきます。
「どうしてあの時、守ってくれなかったの?」「一生懸命だったのに、見てくれなかった」
こうした気持ちを抱えながら原因を探ることは、子どもにとってとても難しいことだったはずです。
自分を愛しにくい理由
自分を大切にすることや、認めること、愛することが難しい——その背景には、未消化の怒りや悲しみが影響していることがあります。「母親を好きになれない」という気持ちの奥には、大好きだったのに、好きでいたかったのに、どうして愛してくれなかったの? という、深い傷つきが隠れています。
言葉になる前の傷つき
乳幼児期の早い段階での傷は、自分でも理解できない感情として残ることがあります。
たとえば、以下の背景に、「言葉を話す前の自分」の体験が関係していることもあります。
- 原因のわからない体調不良
- 特定の人や状況への強い嫌悪感
- 結婚や出産をきっかけに崩れる心身のバランス
心は「あの頃」に戻る
時間を戻すことはできません。しかし、心は一瞬で“あの頃”に戻ります。不調やざわつきを感じたときは、こう気づいてみてください。
「いま、あの頃の自分に戻っているのかもしれない」
そして問いかけてみてください。
「私は何が嫌なの?」
あの時の“自分”がしてほしかったことを、今のあなたがしてあげてください。あなた自身が“お母さん”となって、心の中で泣いている自分を抱きしめてあげてください。
あなたの感情は正当なもの
- 無視された
- 大切にされなかった
- 認めてもらえなかった
- 我慢ばかりだった
- 否定された
- 傷つけられた
これらの感情は、すべて正当なものです。怒りや失望、やるせなさを感じることは、決してあなたのせいではありません。
「気づけたこと」は大きな一歩
これらの感情に気づけたこと自体が、とても大切な一歩です。気づけたときは、自分を労い、小さくてもいいのでご褒美をあげてください。
母親を理解できる日もある
大人になった今、母親の立場や苦労を理解できる場面もあるかもしれません。
「求めたものはもらえなかったけれど、母も大変だったのかもしれない」そう思えることもあるでしょう。
ただし、それは“今の自分だからこそできる理解”です。当時のあなたには、知ることのできなかったものです。
言葉にするという選択
今は大きな問題がない関係でも、どこか安心できないと感じる場合——それは「あの頃の自分」がまだ許せていないサインかもしれません。
その気持ちを伝えることも、一つの選択です。
「覚えていない」「そんなつもりはなかった」そう返されることもあるでしょう。それでも、“あの頃の自分のための伝言”として伝えることには意味があります。
距離をとることも選択肢
関係を続けること自体が難しい場合もあります。それを認めることは、とても苦しいことです。
それでも母親を好きになれないことを、もう自分で責める必要はありません。
母親とあなたは別の存在です。満たされないことがあるのは自然なことです。
あなたの人生を選んでいい
あなたは、自分の人生を選び、幸せになっていい存在です。
どんな人生を送りたいですか? どんな自分でありたいですか?
もう、母親の許可は必要ありません。あなたが選んだ道を進んで大丈夫です。あなたには、“あなた自身”という母親がいます。
これからは、自分で自分を育てていくことができます。
介護や現実の問題と向き合うとき
母親の介護や死に直面すると、葛藤や罪悪感が強まることがあります。
「世話をするべき?」「でも怒りが消えない」そんな揺れる気持ちは、とても自然なものです。
対処としては、きょうだいと役割を分担する、福祉サービスを調べておくといった現実的な準備も助けになります。
そして、「私はできません」と伝えることも、決して“悪い娘”ではありません。
苦しみを次の世代へつなげないために
抱えてきた怒りや悲しみは、無意識のうちに次世代へ引き継がれることもあります。しかしその連鎖は、あなたの代で終わらせることができます。
最後に
あなたと、あなたが大切にしたい人たちが、穏やかに過ごせるように。まずは、自分を大切にする時間を持ってください。そして、この重い感情はひとりで抱えなくていいものです。
信頼できる誰かに話してみてください。必要であれば、専門家の力を借りることも選択肢です。
あなたはひとりではありません
ここから先は、もうひとりで抱えなくていいのです。
監修者プロフィール
鎌田怜那(かまだ・れいな)
一般社団法人マミリア代表理事。臨床心理士、公認心理師。
【所属学会・協会】
・日本臨床心理士会
・日本公認心理師協会
・日本心理臨床学会
・日本アタッチメント育児協会
公式サイト https://mamilia.jp/
<Text:外薗 拓 Edit:MELOS編集部>
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