甘えと言われたことも…「適応障害になるのはメンタルが弱いから」ではない! (1/3)
適応障害と診断された人や、その疑いがある状態にある人に「もっと頑張れるはず」「みんなそうだから気の持ちようだ」「甘えているだけじゃないか」という言葉を向けられることがあります。中には、自分自身でそう思い込んで「自分が悪い」と責めてしまう人もいるかもしれません。
しかし、適応障害はメンタルの弱さや意志力の問題ではありません。適応障害とはなにか、なぜ起きるのか、「甘え」と誤解されやすい背景などを、神谷町カリスメンタルクリニック院長・松澤 美愛先生監修のもと見ていきます。
適応障害は「メンタルが弱いから」なるものではない
結論から伝えます。適応障害は、特定のストレス要因に対する心と体の反応として生じるものであり、その人の「メンタルの強さ・弱さ」とは直接の関係がありません。
適応障害は条件が揃うと誰でもなり得る
適応障害が発症するか否かは、ストレスの種類や強さ、その環境がどれだけ続くか、そしてそのストレスから逃れることができるかどうかに大きく左右されます。
たとえるなら、炎天下に長時間いれば熱中症になる状態と似ています。熱中症になった人に向かって「体が弱いから倒れたんだ」とは言わないはずです。不適切な環境、もしくは悪条件が揃っている環境に置かれれば誰でもなり得るのが適応障害です。

むしろ、責任感が強く「やらなければ」と自分を奮い立たせてきた人や、まじめで手を抜けない気質の人が、ストレス要因から離れることができないまま消耗を続けた結果として適応障害に至るケースも多くあります。
頑張る力があったからこそ、限界まで走り続けてしまったという側面もあるのです。
適応障害とはどんな状態?
適応障害は、特定のストレス要因(出来事・環境・状況など)に対して、感情や行動に著しい変化が生じた状態を指します。
国際的な診断基準(DSM-5やICD-11)では、ストレス要因が始まってから3か月以内に症状が現れ、そのストレスがなくなった後6か月以内に症状が治まることが一般的な経過とされています。
特定のうつ病や不安障害とは異なり、適応障害はストレス要因と症状が明確に結びついている点が特徴です。「あの職場に行くと気持ちが沈む」「あの人間関係の中にいると体が動かなくなる」というように、特定の状況や環境と症状がセットで現れることが多いです。
抑うつ、不安や焦り、体調不良、勤務態度の変化など
症状の現れ方は人によってさまざまで、抑うつ気分が中心の人もいれば、不安や焦燥感が強い人、行動上の変化(遅刻・欠勤・引きこもりなど)として現れる人もいます。診断名はひとつでも、その内側には多様な状態が存在しています。
また、「心の病気」として捉えられがちですが、適応障害は身体症状(頭痛・胃腸の不調・睡眠障害など)を伴うことも非常に多く、「体の病気とも心の病気とも言いにくい」曖昧な不調として当事者を悩ませることもあります。
次:なぜ適応障害は「甘え」と誤解されやすいのか









