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2020年6月15日

なぜ体の左右バランスは崩れやすい?原因とチェック方法を解説 (3/3)

左右バランスの崩れを生む原因2:骨格の歪み

 筋肉量と同じように、左右で差が生まれやすいのが骨格です。試しに鏡に向かい、目を閉じてまっすぐ立ってみてください。そして、目を開けて自分の姿を見てみましょう。おそらく、左右どちらかに傾いている(たとえば肩が下がっている)方は多いはずです。

 左右で体の使用頻度が変わると、骨格にも歪みが生じます。左右差とは少し違いますが、姿勢が歪んで猫背になるのと同じです。とくに成長期は、歪んだまま骨が形成されてしまうので注意が必要です。

◆骨格の歪みはランニングフォームの崩れやケガに繋がる

 骨格が歪んでいると、走ったときに左右の足にかかる負荷が変わります。右肩あるいは右腰が下がっていれば、体全体の体重が右足に乗った状態です。両足で立っているようでも、つねに右足には左足より大きな負担が掛かっています。その結果、右足ばかり早く疲労したり、怪我に繋がりやすくなるというわけです。逆に右足への負荷を認識している人が、意識的に左足でかばってしまい、左足ばかり痛めてしまうということもあるでしょう。

 実際、私も以前は右肩が下がっていました。さらに軸足である左側で、いつも右へ跳ねるようにして走っていたのです。その状態でトレーニングを積み重ねた結果、腓骨筋炎などの怪我が出たことがあります。跳ねた分だけ着地時に右足へ大きな衝撃が加わり、さらに骨格的にも右半身が沈み込んでいたので、つねに右足が負担を受けていたのでしょう。

 なお、現在は筋肉量を均等化するとともに骨格の歪みも矯正。左右バランスが整ったことで、怪我とは無縁の競技生活を送っています。走力もアップし、より速く、長く、楽に走れるようになりました。

左右のバランス崩れを見極めるには?

 では、自分の左右バランスをどのように確認すればいいのか。1つは前述のように、鏡を見るという方法があります。このとき重要なのは、鏡を見ることで「まっすぐにしなきゃ」と意識しないこと。そうしないと無意識に体を整えてしまい、普段の状態が確認できません。

 誰かに見てもらう、あるいは写真や動画で確認するのも1つの方法です。静止状態ではなく運動中の状態を確認したい場合はとくにおすすめです。私も、よく自分のランニングフォームを撮影しています。

 足のバランスについては、もう1つオススメの方法があります。それは、走ってみて自分の足音を聞くこと。地面に擦っていると「ザッ、ザッ」、跳ねていると「タンッ、タンッ」という音がするはずです。この音の大きさが違っている場合、大きい音がする方に多くの負担が掛かっている(左足の音が大きければ体が左に傾いている)か、同じく大きい音のする方が強く地面を蹴っている(=そっちの足の筋力が強い)可能性が高いでしょう。

 これは屋外だけでなく、ジムなどのトレッドミルでも検証可能です。片方の足音が大きい場合、確認してみると十中八九、体が傾いたり一方にだけ跳ねたりしているのです。

バランスの崩れは子どものうちから改善したい

 こうしたバランスの崩れは、日を重ねるごとに大きくなっていきます。しかし、決して大人になって現れるというものではありません。私はランニングのパーソナルレッスンを行っており、よく小中学生もレッスンを受けに訪れます。「水泳をやっている」「陸上しかやっていない」という子どもに比べ、野球やテニス、サッカーなど片側を多く用いるスポーツ競技に取り組んでいる子は、やはりバランスの崩れが目立ちます。

 この崩れはどんどん大きくなり、それに沿う形で筋肉や骨格が形成されてしまいますので、少しでも早い改善が必要です。

 まずは、ご自身の状態を確認するところから始めてみてください。

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。また、ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】https://www.run-writer.com

<Text:三河賢文/Photo:Getty Images>

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