ヘルス&メンタル
2024年7月17日
「怒り」は体にどんな影響を与える?脳科学から見た、スポーツと怒りの関係(前編) (2/2)
八つ当たりでパフォーマンスが高まる選手も
怒るということは生物として必要な本能ですが、社会性が求められる人間にとってはマイナスに働く面も出てきます。
人間の脳は前頭葉という部位が発達しており、そこで怒りを抑制しています。
その一方でスポーツの試合で不本意な結果になると、道具に八つ当たりをする選手も見られます。これは怒りを間違った方向にぶつけているということなのでしょうか。
「間違っているかどうかは一概にはいえません。そんな状況でもパフォーマンスが高まる選手がいますので。八つ当たりすることで最大限の身体能力を発揮できるなら、それがその人のやり方なのでしょう。マナーが良くて負ける選手より、マナーが悪くても勝つ選手の方が観客も盛り上がりますからね(笑)」
“勝てば官軍”という言葉があるとおり、スポーツの世界では勝者こそが絶対というドライな面があるのも事実。なかなかに複雑なスポーツと怒りの関係ですが、後編では怒りと上手に付き合うアンガーマネジメントのノウハウを紹介します。
監修者プロフィール
医学博士、自然科学研究機構生理学研究所教授、日本内科学会認定医、日本神経学会専門医
柿木隆介(かきぎ・りゅうすけ)
1993年より生理学研究所の教授に赴任。主要研究テーマは脳波などの脳神経イメージング。その他、体性感覚や痛覚などの脳内認知機構、言語や顔認知などの高次脳機能の解明を行っている。趣味は俳句(伝統俳句のホトトギス派)、将棋(アマ三段)、テレビゲーム(特にドラゴンクエストなどのRPG)など。著書に『頭の働きがみるみるよくなる「脳にいいこと・悪いこと」大全』(文響社)
<Text:舩山貴之(H14)>
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