管理栄養士が教える、“二日酔い”対策におすすめのおつまみ (1/2)
いまだ人類が解決できていない症状「二日酔い」の脅威。
栄養に詳しい東京慈恵会医科大学附属病院栄養部長で管理栄養士の濱裕宣先生に、二日酔い対策になる栄養素と、それらを摂取できるおつまみメニューを、大正製薬株式会社のリリースからご紹介します。
【監修】
管理栄養士 濱裕宣先生
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 部長
『その調理、9割の栄養捨ててます!』や、レシピ本『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』など多数の栄養、健康レシピ本にかかわる。日常生活のなかで活かせる健康と栄養バランスを大事にし、日ごろから患者の立場に立った食生活の向上指導にあたっている。
二日酔いのメカニズム
二日酔いの歴史は古く、旧約聖書の時代からその記述があったそうです。
しかし、そのメカニズムの全貌は、実は完全には解明されていません。
軽度の離脱症状(アルコール依存症に伴う離脱症状の軽症・短時間版)、ホルモン異常・脱水・低血糖・炎症反応の亢進・睡眠や生体リズムの障害・アセトアルデヒドの蓄積・胃腸障害・メタノールによる影響・酒に含まれる不純物など、さまざまな要因の可能性が探られています。
二日酔いの代表的な症状は、頭痛・胃腸症状・睡眠障害・感覚や認知の障害・うつ気分・自律神経症状など多岐に渡ります。しかし、その診断基準などははっきりとは示されていません。
頭痛の原因は脱水である可能性も……
アルコールの分解には大量の水と酸素が必要です。そして、アルコールを摂ると、アルコールを体外に排出しようとして利尿作用が働き、尿で大量の水分が失われます。
この経緯により、脱水状態を引き起こすこともあります。
身体が脱水を起こすと、通常大量の水分を蓄えている筋肉がこわばって攣る、脳血流も減ることで頭痛につながることも。二日酔いの頭痛や倦怠感の原因が脱水である可能性も。
アルコール濃度を急上昇させないために有効な“オイルファースト”
アルコールの血中濃度を急激にアップさせないような食べ方も重要です。
胃がからっぽだと、アルコールが胃から小腸へすぐに移動し、小腸から一気に吸収され、アルコール血中濃度が急上昇します。それにより悪酔いにつながります。
胃にアルコールがとどまる時間を長くし、ゆるやかに小腸へ送ることが重要です。
胃で食べ物などが滞留しやすくなるのは、実は「油分」の多いもの。
油は実は、消化管ホルモンを分泌させ、胃を活性化してくれるはたらきもあります。血糖値を急激に上げない、かつ油も適度に入っているものを飲み会の序盤に摂ることは、意外におすすめなのです。
二日酔い予防になる栄養素
◆タウリン
肝機能力を高め、アルコール分解をサポートしてくれる食品の代表が、カキやタコ、イカ、ハマグリ、アサリ、シジミなどの魚介類。これらには「タウリン」が豊富に含まれています。
タウリンは、肝臓の胆汁酸分泌を促し、アルコールを分解して体外への排出を促す解毒作用を持つことが示唆されています。
また、近年では免疫機能の向上にも役立つことがわかってきているので、免疫機能を下げてしまいがちな飲酒シーズンには積極的に摂りたい栄養素。
タウリンは水に溶け出しやすい性質があるので、魚介類の煮物や汁物の汁も一緒に摂ると、タウリンを十分に摂取でき、二日酔い予防に効果的です。
水分を摂ることで、脱水を防ぐ働きも期待できます。
◆ウコン
ウコンとはカレー粉に含まれる黄色い「ターメリック」のことです。
ウコンに多く含まれる成分「クルクミン」には、胆汁の分泌を活発にし、肝臓の働きをサポートする作用があります。アルコール分解能力を高め、アセトアルデヒドの分解を促進します。
ただし、ウコンを一度に大量摂取すると逆に肝障害を起こすこともあるので、摂りすぎに注意しましょう。
◆グルタチオン
肝臓の解毒を助ける働きがあり、強力な抗酸化作用を持つことでも知られています。豚のレバーや牡蠣、アボガド、トマト、ブロッコリーなどに含まれます。
◆メチオニン
卵に含まれていることで有名なメチオニンは、肝臓でアルコールを分解する際に必要なアミノ酸。二日酔いの薬にも入っている成分です。
卵は実は痛風などの要因になるプリン体もゼロなので、アレルギーでない限り安心して取り入れたい優秀な食材。
◆オルニチン
肝臓でアセトアルデヒドを分解する成分が含まれており、肝機能を改善する働きがあります。
また、血中に残った毒素を分解したり、頭痛などの緩和にも効果があったりするといわれ、しじみや枝豆、きのこ類に含まれます。