
猛暑で夏バテ、食欲ない…医師や管理栄養士が勧める「意外な飲み物」とは? (1/2)
気象庁の予測によると、2025年の8月から10月は全国的に「平年より気温が高い」状態が続く見込みで、40℃近い酷暑日が各地で予想されている。こうした“長期戦の猛暑”に備えて、熱中症予防の新しい習慣として注目されているのが「冷たい飲む出汁」だ。
熱中症対策のひとつとして推奨され始めており、実際、夏バテ中だったエディターが冷えた出汁を飲んで食欲が戻った経験がある。
出汁が“夏の水分補給”に選ばれる理由
済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師(患者支援センター長)は、冷たい出汁を飲むことのメリットを次のように解説している。
済生会横浜市東部病院患者支援センター長
谷口 英喜医師
救急医療や予防医療に精通し、熱中症や脱水症状に関する啓発活動にも積極的に取り組み、メディア出演や講演も多数行うなど、医療現場と生活者をつなぐ専門家。
• 水と塩分(ナトリウム)を効率的に補える
• 出汁の“うま味成分”でリラックス感と満足感を得られる
• カリウムによる利尿作用で体内の熱を外に逃がす助けに
• 低カロリーで幅広い年齢層に適している
• “朝の一杯”として定着させやすい
谷口先生:『冷たい飲む出汁』は、水と塩分を手軽に補える飲み物であると言えます。出汁に含まれる“うま味成分“には、精神的なリラックス感を与える効果もあり、少量の塩分でも満足感を得ることができるとともに、食欲増進にも作用します。
さらに出汁にはカリウムも含まれており、利尿促進作用がはたらき、体内の熱を外に逃がす機能があることから、熱くなった体温を下げる効果も期待できます。カリウムを多く含む、すいかやきゅうりと同様、夏の体調管理に役立つ食品のひとつといえるでしょう。
また、長引く暑さは、熱中症だけではなく、夏バテや残暑バテへとつながる可能性があります。バテない体作りのためには、規則正しい食生活が大切ですので、出汁を上手に使って、食欲を維持することで、食事から質の高い栄養と水分を摂取するように心がけましょう。
朝のコップ1杯の冷たい出汁は、熱中症予防に効果的
谷口先生は、寝ている間に失われた水や塩分を補うため、コップ1杯※1の冷たい出汁を朝に飲むことをおすすめしています。出汁自体にはカロリーがほぼないため、朝食と一緒がおすすめ。
食欲がない日でも、コップ1杯の出汁を飲むだけで、最低限の水・塩分補給ができます。そのため熱中症予防としても効果的でしょう。
※1 一般的にコップ1杯分の出汁(180~200ml)に含まれる塩分量の目安は、約0.5-0.6g程度
次:塩分の取り過ぎが気になる? 管理栄養士が解説