ヘルス&メンタル
2025年8月25日

「愛情不足で育った大人」に共通する傾向とは?各専門家の意見は (1/3)

子どもの頃に受け取る「愛情」は、その後の人格形成や人間関係に大きな影響を与えるとされています。

十分に愛情を感じられないまま成長すると、大人になってからも無意識に行動や思考に影響が現れることがあるといいます。

本記事では、各分野の専門家の意見をまとめ、愛情不足で育った大人に共通する傾向をお届けします。

親子関係心理学の専門家が語る、愛情不足で育った大人の特徴とは

監修者プロフィール

親子関係心理学の専門家・合同会社serendipity
三凛さとし

夢を追って渡米したものの借金苦と活動の失敗によりホームレス寸前の生活に。「何かおかしい」と感じ、心理学や自己啓発を勉強する中で、人生を好転させる方法を習得。お金、時間、場所、人間関係、心身の健康(人生の5大自由)を実現するということをテーマに2014年より各SNSにて情報発信。2022年にはKADOKAWAより親子関係心理学についての書籍「親子の法則」を出版し、発行部数6万部を記録。2024年9月にはメンタルからお金の問題を解消する「金のなる本 誰でも再現できる一生お金に困らない方法」を発売。ABEMA TV -For Japan- 日本を経営せよ!、テレ玉「BOSSのプレゼン」など、メディア出演多数。

親から十分な愛情を受けずに育った人には、おもに以下の特徴が見られることが多いようです。

多くの面において自己肯定感が低い

自分を価値ある存在として認識するのが難しいため、自信を持てない、自分を過小評価しがちです。

対人関係が不安定になりやすい

愛情を受けた経験が多くないため、他者との親密な関係を築くことが苦手で、依存的になったり逆に距離を取り過ぎたりします。

感情のコントロールが苦手である

感情のコントロールが苦手で、ストレスや不安に対して過敏に反応する、過度に喜ぶなど感情的になりやすいです。

愛情不足で育ってきた人は、どんな思考の偏りが生まれやすい?

上記のような愛情不足の環境で育つと、以下のような思考の偏りが生じやすくなります。

「他人の評価がすべて」

親からの肯定を得られなかったことで、他者の評価に依存しがちで、自分自身の評価基準を持つのが難しくなります。

人は多少なりとも他者の評価で生きている部分はありますが、愛情不足で育った人は、大部分を他者評価に委ねてしまいがちです。

「自分は愛される価値がない」

幼少期に愛されなかったという経験から、自分は愛されるに値しない存在だと思い込み、「どうせダメ」など自らの可能性を制限することが多いです。

「完璧でなければならない」

他人に認められるために、自分を完璧であるべきだと強く思い込み、失敗や不完全さを極端に恐れる傾向があります。

愛情不足で育ってきた人が悩みやすい問題行動

必ずしもすべての人に当てはまるわけではありませんが、愛情不足の影響が深い場合、以下のような傾向が現れやすいです。

対人関係における問題

愛情不足で育つと、他者との絆や信頼感を築くのが難しくなりやすいと言われています。過度な依存や試し行為、頻繫な人間関係リセットなどが見られることも。

反対に、親からの無条件の愛情を受け取れなかった経験が原因で、人との深い関わりを避ける「回避的な態度」が形成されることもあります。

他人に心を開くことを恐れ、孤立を選ぶ場合が多く、結果的に孤独感が増してしまいます。

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感情コントロールが苦手

子どもの頃に親から感情を否定された、無視された経験があると、感情を健全に表現する方法を学べないことがあります。

怒りや悲しみ、不安などの感情を適切に表現できず、ストレスが溜まりやすくなります。爆発的な怒りや、逆に感情を抑え込み過ぎて無気力になることも。

感情を長期間にわたって抑え込むことで、ある時点で感情が爆発することもあります。些細なことで激怒したり、過剰に悲観的になったりするなど、感情のコントロールが効かなくなる場合があります。

自己肯定感が低く、挑戦できない

愛情不足で育った人は、自分の価値を他者からの評価に依存しがちです。

親からの無条件の愛情を経験していないため、「自分は愛されるに値しない」「どうせダメ」と感じることが多く、自己肯定感が低くなる傾向があります。これにより、チャレンジ精神の欠如や失敗への恐怖として現れることがあります。

依存気味、相手をコントロールしようとする

愛情を求めて他人に過剰に依存する傾向があり、執着やコントロール欲求を持ちやすくなります。恋愛や友情で相手に過剰に期待し、少しの不安や疑念で相手に対する信頼を失うことがあります。

また、自分と他者の境界が曖昧になりがちで、相手の感情や意見を過度に受け入れてしまうか、逆に自分の感情を押し付けることがあります。

反社会的・攻撃的な行動をしてしまう

愛情不足からくるフラストレーションや寂しさが、攻撃的な行動として現れることがあります。

とくに、親や上司といった権威者に対する反抗的な態度や、自己防衛として周囲に対して攻撃的になる傾向が見られることがあります。

アルコールやギャンブル依存症などリスクが高い行動を行う

アルコールや薬物に頼る、過度なギャンブルに走るといったリスクの高い行動を取ることがあります。

これらは、心理的な不安定さや空虚感を埋めようとする自己破壊的な行動の一環です。

完璧主義や過度な自己批判

条件つきの愛情しか与えられなかった場合、完璧でない自分を許せないという思考パターンが形成されることがあります。

常に「もっと努力しなければ」「自分はまだ不十分だ」と考え、失敗やミスに対して過剰に自分を責める傾向があります。

親や他者の期待を満たそうとする完璧主義思考により、心身に大きな負担がかかこともあります。

不安障害や人格障害、うつ病のリスク

愛されなかった経験が「自分は価値がない」という根本的な感覚を植え付けてしまい、それによる問題行動や課題により不安障害や人格障害、うつ病といったリスクが高まることがあります。

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