仕事中寝てしまう、異常な眠気…ASDの大人は睡眠が乱れやすい? (1/3)
会議中やデスクワークの最中に、強い眠気に襲われてしまう。夜はきちんと布団に入っているのに、朝起きても疲れが取れない。意志の弱さの問題ではなく、ASD(自閉スペクトラム症)の特性がある場合もあります。
ASDの特性と睡眠には、実は深い関わりがあることがわかってきています。神谷町カリスメンタルクリニック院長・松澤 美愛先生監修のもと、その理由と対処法を解説します。
ASDの大人は睡眠リズムが乱れやすいって本当?
ASDの人は、そうでない人と比べて睡眠に関する悩みを抱えやすいことが、複数の研究で報告されています。
寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝すっきり起きられないといった悩みは、ASDの大人によく見られる傾向のひとつです。
その背景として考えられているのが、体内時計に関わるホルモンの分泌リズムの違いです。眠気を促すメラトニンというホルモンの分泌パターンが、多数派の人と異なる場合があることが指摘されています。
寝室のわずかな光や音、寝具の肌触りなどが気になりやすい
また、感覚の敏感さも関係しています。寝室のわずかな光や音、寝具の肌触りなどが気になって、寝つきにくくなる方も多いのです。日中に考え事が頭から離れず、なかなか脳が休まらないという方もいます。
もちろん、こうした傾向がすべてのASDの方に当てはまるわけではありません。眠りの深さや睡眠時間には個人差があり、悩みのない方もいます。
「怠け」とは限らない! ASDの大人が仕事中に強い眠気を感じる背景
仕事中の強い眠気は、単純な睡眠不足だけが原因とは限りません。ASDの特性がある方の場合、日中の疲労のたまり方そのものに理由があることがあります。
周りに合わせようとして疲れてしまう
大きな要因のひとつが、「マスキング」と呼ばれる行動です。これは、職場などの環境に合わせるために、自分の特性を意識的に抑え込み、周囲に合わせようと振る舞うことを指します。
表情や話し方を意識的に調整したり、感覚的な違和感を我慢したりすることは、想像以上にエネルギーを使う作業です。この疲労が蓄積し、日中の強い眠気として表れることがあります。
音や光、人の出入りで疲れてしまう
また、職場の音や光、人の出入りといった刺激を処理し続けることも、脳にとって大きな負担になります。
周囲が気にしないような刺激でも、常に情報として処理し続けている状態になりやすく、結果として疲れやすくなるのです。
夜型の生活リズムである
夜型の生活リズムになりやすいことも一因です。興味のあることに没頭しやすい特性から、夜遅くまで集中してしまい、翌朝の眠気につながるケースも見られます。
こうした背景を踏まえると、仕事中の眠気は「やる気の問題」ではなく、「特性による疲労の蓄積」として捉えるほうが実態に近いといえるでしょう。
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