インタビュー
2019年3月5日

いだてん・中村勘九郎「(生田)斗真と『とにかく命がけでやろうね』と話し合った」。日本人初出場のオリンピックを描く「ストックホルム青春編」へ突入 (1/4)

 日本人初のオリンピアンで“日本マラソンの父”こと金栗四三と、1964年の東京オリンピック招致に尽力した田畑政治を描いた、宮藤官九郎さん脚本によるNHKの大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』。第10回「真夏の夜の夢」(NHK総合、3月10日20時放送)、第11回「百年の孤独」(NHK総合、3月17日20時放送)では、日本から遠く離れた異国の地・ストックホルムで奮闘する金栗四三(演:中村勘九郎)と三島弥彦(演:生田斗真)の姿が生々しく描かれます。

 都内で4日に開催された合同インタビューでは、中村勘九郎さん、および第10、11回の演出を務めた西村武五郎ディレクターが記者団の質問に応じました。

 語られたのは、ストックホルム編の見どころについて、現地ロケの思い出、落ち込む三島弥彦と乙女になっていく金栗四三、必要以上に接近する2人の関係性、『いだてん』の視聴率について、などなど。会場には勘九郎さんも驚きのサプライズゲストが登場し、貴重なコメントを寄せました。本稿で順を追ってお伝えしていきましょう。

役者陣にグルーヴ感。西村さんの鬼のような撮り方!

――第10、11回の見どころについて。

西村:ストックホルム青春編は、大河ドラマ前半の大きな山場です。第1回で嘉納治五郎(演:役所広司)が力説していた、オリンピックがもたらす国際平和(paix/読み方:ペ)を、どう映像で表現していくか。そして、若い2人が現地の人とどう交流して、かつ戦っていくか、を描きたかった。宮藤官九郎さんの手による青春ドラマになっており、ストレートに感動していただけるつくりになったのではと自負しています。

ちなみに現地でロケをした結果、出演陣の結束がより固まりました。中村勘九郎さん、生田斗真さん、シャーロット・ケイト・フォックス(大森安仁子役)さん、竹野内豊さん(大森兵蔵役)、それに役所広司さんらの間に、グルーヴ感が生まれた。帰国してからセットでも撮りましたが、皆さん良い表情が撮れました。

――ストックホルムでの思い出は。

中村勘九郎:昨年の8月にひと月、スタッフと一緒に渡欧して撮影しました。現地のスタッフも交えての撮影。そこには文化の違いもあり、ぶつかり合いがあった。当時の日本人選手の心境、境遇と似ていると感じました。とても濃厚なひと月。そもそも役者をやっていて、海外にひと月もロケで滞在したことはなかった。自分にとってプラスになったし、今後の自信にもつながります。

現地のスタジアムを訪れたとき、100年前から残っている「ストックホルム・スタディオン」を見た瞬間、関係者全員の毛穴が開いたのを感じました。ここで撮れるんだといううれしさ、すごいものを撮らなきゃというプレッシャーがあった。撮影はお日様のあるうちに終わっていたので、夜は皆でご飯を食べに行ったりしました。はじめ、向こうの食事は美味しくないと聞いていたんですよ。それが、実際はめちゃくちゃ美味しかった。特にロケのお昼ご飯で食べていたケータリング! 現地のコックさんが作ってくれるんですが、これがとても美味しかった。

でも金栗さんは、毎回服を脱いで裸になるシーンがあるでしょう。だから、たらふく食べられない。斗真と一緒に水浴びをするシーンもある。そこで、タケさん(西村さん)のところに直談判に行きました。そのシーンを前半に撮ってくれと。そうすれば、俺たちお腹いっぱい食べられると。でも駄目で、結局、最後に撮りました(笑)。ご飯をセーブしながらでしたが、美味しいものを皆で食べてきました。日本にいるときは、なかなかキャスト同士で飲みにいったりすることはないけれど、現地では役所さんも交えて、作品、芝居について「ああだこうだ」と話す機会があった。とても楽しかったですね。

オリンピックに初めて出場した金栗さんと三島さん。斗真と話し合って「とにかく命がけでやろうね」と。三島天狗の走った100m、200m競技は、現地で見ていても感動的でした。自然と涙がこぼれる、そんな貴重な経験をした。400m競技も、西村さんは鬼のような撮り方をするんです。本当に400mを走らせて倒れ込ませて、芝生のゾーンで抱え上げて、芝居をさせる。全部、一連の流れの中で撮りました。生田斗真は400mをしっかり走って、最後のセリフもちゃんと喋らなければいけない。感動のシーンを目の当たりにして、自分が走るマラソンの場面もしっかり臨まないと、と思いました。金栗さんも、三島と同様に日本を背負う気持ちで挑むんですが、それがプレッシャーになってくる。第12、13回とストックホルム青春編は続きますけれど、またとんでもなく良い回ができあがっていますので、是非、お楽しみに。

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