2020年3月26日

子どもの習い事や部活動、選び方は? “なんとなく”決めないための5箇条

 小さなお子さんの習い事、あるいは中学・高校で取り組む部活動。「いったい何を選べばいいのか」と、頭を悩ませている方は多いはず。中にはご自身が過去に行っていたスポーツを、子どもにもやらせたいと考えるかもしれません。

 自分の子どもに、どのスポーツ競技が合っているのか。こればかりは、“やってみないと分からない”のが正直なところでしょう。世界を舞台に活躍するトップアスリートも、やはり競技との出会いは偶然による部分が多いのです。

 しかし少しでも習い事や部活動を有意義なものとするためには、いくつか選ぶ際のポイントがあります。ここでは学校での部活指導や子育て、また自身の活動経験をもとに、具体的なポイントを5つご紹介しましょう。

1)まずはいろいろなスポーツに触れる機会を作る

 子どもが小さい頃は、親の一存で習い事を決めがちです。そして子どもは、おそらく言われるがまま素直に取り組むでしょう。しかし、できることなら、まずはいろいろなスポーツに触れる機会を作ってあげてください。スポーツ教室の体験会を渡り歩いてもいいですし、実際に競技しなくても、大会観戦に連れていくのでも良いでしょう。

 その際、子どもの表情や取り組む姿勢をよく観察します。競技種目によって、目の輝き方やのめり込み具合は異なるはず。さらに帰宅しながらでも、本人に感想を聞いてみてください。

客観的に見た、親としての視点も考慮する

 中には、ほとんどの競技種目について「楽しそう」「やってみたい」とコメントする子どもがいます。どれも初めて体験するものですから、それは正直な感想でしょう。とはいえ、何もかも習わせるわけにはいきません。そのとき本人の感想だけでなく、客観的に見た親としての視点が必要になります。表情や姿勢から、「これなら続けられそう」「楽しんで取り組めそう」と感じる競技種目を選びましょう。

2)チームスポーツと個人スポーツ、どちらにするか

 野球やサッカーなど複数名でプレイするチームスポーツに対し、陸上競技や水泳などは1人1人が競技する個人スポーツです。どちらが向いているのか、本人の性格をよく見極めてあげてください。引っ込み思案だと、実力があっても周囲優先で活躍しきれないかもしれません。あるいはサポート役としてこそ力を発揮できる子なら、個人スポーツは向かないでしょう。

 ちなみに私自身は、チームスポーツが苦手でした。嫌いとまではいきませんが、「周囲と協力して」というより「自分の力で勝負したい」という気持ちが強かったのです。結果、これまで取り組んだのは水泳と陸上競技など。いずれも個人スポーツです。

3)時間を忘れて没頭できるか

 「好きこそ物の上手なれ」ということわざは、習い事や部活動にも通じるところがあります。やはり誰でも、好きなことは時間を忘れて没頭できるもの。スポーツに関して言えば、その没頭できている時間こそ成長のチャンスです。自ら技術を吸収し、学びながら積極的に取り組むことができるでしょう。

 もし「親がやれと言うから」「他にやりたいことがないから」などの理由で行っているなら、その時間は無駄になってしまうかもしれません。子どもの声に耳を傾けつつ、必要に応じて習い事や部活動を変えることも考えてください。何か1つでも没頭できるものがあると、毎日が楽しくなり、心の成長にも繋がります。

4)中学・高校からは1つの競技に集中させるのがよい

 年齢を重ねるにつれて、できるだけ競技を絞っていきましょう。「これだ」というものが見つかったら、早い段階から1つに集中していきます。それだけ、その競技に掛けられる時間が増え、競技力向上へと繋がっていくはずです。

 また、競技種目によって使う筋肉や動きなどが異なります。複数種目に並行して取り組むと、場合によって各種目で鍛えられる筋肉や身につく動きが、一方の競技における成長を妨げてしまうことも考えられるでしょう。特に長距離走のような持久系スポーツと野球などの瞬発系スポーツでは、そもそも求められる・鍛えられる筋肉の質が大きく違ってきます。

5)悩んだら“全身運動”がオススメ

 とはいえ、何がいいのかまったくわからないという方。あるいは選手として活躍を目指すのではなく、健康のため運動に取り組ませたいという場合もあるでしょう。そうした理由で悩んでいる方は、体操や水泳などの全身運動をオススメします。

 全身運動はその名の通り全身を使って動くため、バランスよく身体を鍛えられます。もし後になって「これがいい」という競技種目が見つかった際にも、力を発揮するうえでの土台が出来た状態からスタートできるでしょう。体操なら柔軟性、水泳なら持久力や心肺機能など、筋力以外にも他種目で活かしやすい能力が身につきます。

 私は幼少期に体操と水泳をはじめ、中学校から陸上競技を始めました。フットサルなど球技に誘われる機会もありますが、初めての競技でも比較的バランスよくこなせます。

大切なことは、親ができるだけ多くの選択肢を与えること

 私は家族でも、よくテニスや卓球、バドミントン、キャッチボール、水泳、あるいはランニングなどいろんなスポーツを行っています。よく「やっぱりお子さんも走るんですか?」と聞かれますが、残念ながら、今のところ陸上競技は不人気なようです。しかし人それぞれ、「好きだ」「楽しい」と思えるスポーツは違って当然。大切なことは、親ができるだけ多くの選択肢を与えることではないでしょうか。お子さんの習い事や部活動選び、ぜひ参考に考えてみてください。

 

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。また、ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】https://www.run-writer.com

<Text :三河賢文>