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学校での働き方改革で、部活動はどう変わるか

 いま、部活動が大きく変わろうとしています。青春時代、放課後に仲間と汗を流していた時間がなくなっていきそうなのです。実際に教育現場で長年指導をしてきた筆者が、これまでの部活動、そしてこれからについて考えてみました。

[筆者プロフィール]
赤堀達也(あかほり・たつや)
1975年生まれ。静岡県出身。小・中・大学のバスケ部を指導し、小・大学で全国出場、公立中学でも強化私立を倒し県ベスト4に入り、年代を超えて指導実績を残す。最高戦績は全国準優勝。また新体力テストが最低水準の学校で県大会優勝、高校時代に日の目を見ない選手たちの大学で東海1部昇格するなど、独創的な理論・論理的な指導で選手育成に成功している。加えて幼児・高校の体育指導も行い、全年代の指導経験がある。現在は、2018年度より群馬医療福祉大学にて、新教育要領の「資質・能力の育成」に向け、主に幼児体育の研究・指導者アドバイス等を行う。また学校における働き方改革の部活動問題の解決に向け、部活動の外部コーチの傍ら、クラブを立ち上げ活動している。
[HP] https://mt-a.jimdo.com

部活動が変わるきっかけ

 「働き方改革」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。昔から「日本人は働き過ぎだ」と言われてきましたが、OECD(経済協力開発機構)という国際機関の調査により、それが事実であることが明らかになりました。ちなみに、「過労死」は日本にしかない現象であり、他国ではこれに当たる言葉はありません。そのため、「Karoshi」が英語辞書に掲載されるようになってしまいました。

 そのような現状を改善していくために、「働き方改革」が動き出しています。残業をしないように働きかけたり、ストレスチェックを行ったり。また、自由な働き方ができるよう非正規雇用を拡大したり、優遇するのもその一環です。

 そして、学校の働き方においてもOECDの調査が入りました。「学校の先生は長時間労働し過ぎで過労死レベルである。その1番の原因は部活動である」と明らかになり、働き方改革の学校版である「学校における働き方改革」を推し進めています。そのため、これまでの部活動のあり方を変えていくことになったのです。

部活動は問題が山積み

 部活動においては、以下のように他にも問題が山積みでした。

「指導できる先生がいない、少ない」
「土日も出勤しなくてはならず、家族との時間が持てない」
「顧問をやりたくなくても、やらなくてはならない」
「そのうえ、部活動手当ても少ない」

 これら問題解消のため、学校側も「外部コーチを採用して、専門指導を提供できるようにする」「複数顧問制にして土日を交代で休めるようにする」など、さまざまな対策を講じてきました。しかし、うまく改善できていません。

 例えば、外部コーチを採用しても、外部コーチは民間企業に勤めている人であることが多いため、部活動の時間に行くことができません。そうなると土日に練習をまとめて行うことになり、土日の先生たちの出勤が増えてしまいます。あるいは複数顧問制にしても、土日の練習には必ず誰かがついていなくてはならないでしょう。そのため、若干負担は減ったものの、土日の出勤はしなくてはならないです。

 土日の活動については、制限することに決まりました。しかし、外部コーチを採用する策についてはどうでしょうか。平日に来ることができる外部コーチもいますが、運動部の場合は活動場所を多くの部活動間で取り合っているため、少ししか活動できず効果が出にくいでしょう。あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらが立たず……という状況を繰り返してきました。

部活動のこれからは「地域との連携」が大切

 この現代社会において、学校教育内で完結される部活動に限界が訪れているようです。そのためスポーツ庁から、これまでは限られた市町村でしか行われてこなかった「地域との連携」などをしていくよう通達が出されています。これにより、地域のスポーツ団体や社会体育活動を行っている団体と連携していくこととなります。連携が整備され次第、部活動は徐々にそちらへと移行されていくでしょう。

 海外では日本ほど部活動は行われておらず、学外である地域のクラブ活動を中心として行っています。そのため、日本でもそのような形に移行していくと考えられるでしょう。その第1歩として、平日のうち1日はオフの日を設けること、合わせて土日のどちらか1日はオフの日を設けること、つまり週2日はオフにすることが定められました。今後、この2回のオフ日に、各自で地域のクラブ活動を行うようになっていくと予想されます。

まとめ

 これまでは学校内で完結していた部活動が、地域のクラブ活動や社会体育活動へと委ねられていきます。そのことで子どもたちの世界は広がり、学校にある限定的なスポーツ種目からではなく、無限にある種目の中から自分にあったものを見つけて取り組むことができるようになっていく。そしてそれが、自己の確立へとつながっていくことになるでしょう。

 今後は部活動だけでなく、地域のクラブ活動にも取り組んでみてはいかがでしょうか。

<Text:赤堀達也/Photo:Getty Images>

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