インタビュー
2017年11月25日

プロレスラーではなく、人間として、女として初めて自信が持てた。ブル中野氏(後編)【元プロアスリートに学ぶ、ビジネスの決断力 #5】 (2/3)

 引退式をやったあと、たまたま知り合いのレスラーの方から、お店をやらないかと誘われたんです。もちろんお店をやるのは初めてで、経験ある人の意見を聞きながらやってました。でも半年やってノウハウわかったし、雇われママだったので、自分でやったほうが儲かるかなと思って、そこは1年経たずに閉めました。

― そして、現在のGIRS婆BAR「中野のぶるちゃん」を開店。ここはどういうコンセプトなのですか?

 人に相談するとみんな「安い早い美味しい」と言うけど、それじゃ絶対チェーン店に勝てない。何か一つでも特徴や看板がないとダメです。でも私は話せないし、人に出せるようなご飯も作れない。じゃあ、自分が一番やりたいことをやろうと思ったら、やっぱりプロレスだったんです。

― 小料理屋とガラリと変わりましたね。

 小料理屋では、料理を作って洗い物をしてすごい忙しくて、ぜんぜんしゃべるヒマがなかった。お客の回転も良くしないといけなかったし。だからここは逆に、U字のカウンターの真ん中に私がいて、みんなで話せる店にしたかったんです。みんなでプロレスをゆっくり観ながら、プロレスの話をして、バッチリ飲め!(笑)

― 「プロレスファン以外は楽しめないお店」という貼り紙がしてありますね。

 誰でも来るような店にするのは止めようと思ったんです。ほんとにプロレスファンだけ来てくれればいい。そう決めたほうが絶対ブレないんですね。あちこち手を広げちゃったら、ここのファンが居づらくなる。それでも酔っ払った勢いで、ファンじゃない人も来ますけど(笑)。

― お店には現役の女子プロレスラーがスタッフで入っています。

 昔はファンでも選手に近づけないし、話すこともできなかった。ここではすぐ目の前にいて、話すことができる。こういう考えのお店はほかにはないし、いろんな人を1日店長で入れたり、年間120ぐらいのイベントもやっています。

― 逆にレスラーの方も働く場ができて、メリットがあると思います。

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