ヘルス&メンタル
2025年5月12日

メンタル不調になりにくい会社は「〇〇が高い」。精神科医が教える「人が病まない職場」の作り方 (2/2)

相手の話を否定せずに「受け止める」姿勢を持つ

心理的安全性を高めるためにもっとも大切なのは、「相手を否定せずに受け止める姿勢」です。

どんな意見や感情も、まず「そう感じたんだね」「意見をくれてありがとう」と受け止めることで、「ここでは自分の意見を言っても大丈夫」と思える安心感が生まれます。

「ありがとう」「助かったよ」「おはよう」「お疲れ」など、感謝や承認の言葉を積極的に伝える

こうした言葉は相手の存在や行動を認めるサインになります。

人は「自分はここにいていい」「自分の行動が誰かの役に立った」と感じることで、自己肯定感やモチベーションが高まり、安心して行動できるようになります。

また、感謝が飛び交う職場は信頼関係が築かれやすく、心理的安全性が自然と育まれていきます。些細な一言でも、チーム全体の空気をポジティブに変える力があります。

失敗やミスを責めない

ミスや失敗は、条件が揃えばだれにでも起きるものと捉えます。個人が悪いのではなく状況や仕組みに問題があるとして、原因と改善点を話し合いましょう。

それにより安心して挑戦できる環境となり、心の安定だけでなく業務パフォーマンスアップにもつながります。

「問題が起きたら“怒る”より“仕組みづくり”」。部下や後輩への指導がうまくいかない…どうする?

立場や役職に関係なく意見を言える場をつくる

上下関係に関わらず、誰でも発言できる仕組みが必要です。上司の目線だけでも、部下の目線だけでもよくありません。

具体的には、定期的な1on1ミーティングや雑談タイムを設けるなどがあります。たとえ解決しなくても、意見を聞いてもらえる職場であるという認識が、会社への信頼度を高めます。

言い合えない職場を変えるはずが…「1on1ミーティング」が機能しない理由

ハラスメントが放置されていないか、定期的に啓蒙活動を行う

ハラスメント対策を徹底することも欠かせません。ハラスメントが許容されている職場では、それが“当たり前”になってしまうリスクがあります。

本当は嫌だと感じているにもかかわらず「誰も注意しない」「上司がやっている」「声を上げても握りつぶされる」といった空気があると、職場全体が“ハラスメント容認文化”に染まってしまいます。

「朱に交われば赤くなる」といいますが、こうした社風だと、やがてハラスメントをしていなかった人まで「あれくらいの強い言葉を使っていいんだ」「机を叩くくらいはしょうがない」「怒鳴るのも仕方ない」と、どんどん感覚がおかしくなっていくことも。

最初の一件を「見逃さない」「放置しない」こと。見逃しが続くと、健全な人間関係や心理的安全性がどんどん失われていきます。

辛い時、「悩みを相談できる人」がいない。誰かに話を聞いてほしい…どう切り抜ける?

監修者プロフィール

神谷町カリスメンタルクリニック院長
松澤 美愛先生

東京都出身。慶應義塾大学病院初期研修後、同病院精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院や救急、総合病院での外来やリエゾンなどを担当。国立病院、クリニック、障害者施設、企業なども含め形態も地域も様々なところで幅広く研修を積む。2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開業、院長。精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会
URL https://charis-mental.com/
InstagramURL https://www.instagram.com/charismentalclinic

<Edit:編集部>

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