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2018年3月30日

「怒る型」指導はもう古い?「ほめる型指導」こそが優秀なスポーツ少年を育てる理由とは

 スイミングや体操、サッカー、テニス、チアダンス、新体操など、競技によっては生後4ヶ月から始められる多彩なスクールを運営するコナミスポーツクラブの『運動塾』。ここでは子どもを怒ってしつけるのではなく、賞賛して伸ばしていこうという“ほめる型”指導が採用されています。

 かつてはスパルタに近い手荒な教育、厳しい練習環境を乗り越えてこそステップアップしていけるという、体育会系特有の美学が社会の中で受け入れられていた時代もありましたが、近年は子どもや親、指導者の考え方もより合理的で、ソフトな路線へと変化。スポーツ教育の現場の空気は一変しています。

 しかし、この“ほめる型”指導は本当に有効なのでしょうか。“ほめる”ばかりは子どもの甘やかしにつながらないか? 団体競技などではチームのゆるみの原因にならないのか? 疑問点も多く残ります。今回はこの「運動塾」のインストラクターやスタッフをたずね、“ほめる型”指導とはどんなものなのか詳しくお話を聞いてきました。

そもそも子どもは怒っても伸びない

 東京・足立区梅島のイオン西新井店4階にある「コナミスポーツクラブ西新井」はスイミングや体操、ダンスをはじめ、子ども向けから大人向けまで幅広いカリキュラムが用意された水泳・体育スクールが売りの施設です。

 ここでは支店長の光井信吾さんとインストラクターの佐藤敏也さんに案内され、実際に子どもたちが体操を習う現場などを見学することができました。スクールにはもちろん昭和のスポーツマンガに登場するような鬼コーチもいませんし、体育会系特有の先輩・後輩の縦社会のような雰囲気もありません。若いインストラクターたちが子どもたちに寄り添うように、視点を合わせ、穏やかな雰囲気の中で授業が行われていました。

——『運動塾』の指導理念でおもしろいと感じたのはやはり“ほめる型”指導です。昭和生まれの自分はスポーツの教育現場というと、しつけも厳しく、スパルタなイメージを連想したりもするのですが、ここではそういった指導方法はまったく推奨されていないと聞きました。

 そもそも子どもは怒っても伸びないですから。昔は少しぐらい怒ってもその恐怖感から『やらなきゃいけない!』というのもあったかもしれませんが、それでは結局、大人の目を見ることしか身につかなくなってしまうんです。

 特に今の子どもは親御さんからもそれほど怒られていないような子が多いんです。スポーツの現場だけでなく、教育そのものの方向性が“ほめる型”の方へ必然的に向かっているという印象を自分たちも持っています。今の子どもたちに合った教育方法で個々のステップアップのお手伝いができればと考えています。

——今の子どもたちと昔の子どもたちの違いはどんなところにあるのでしょうか?

 今の子どもたちは、昔と違ってたくさんの情報に囲まれているせいか、知識の面に関しては昔以上にいろんなことを知っているという印象です。以前はインストラクターが指導しないと技術の内容もわからないし、技の内容もわからないといった状況でしたけど、今はそういうことは家にいても情報が取れてしまう。だから無駄なことはしないという印象があります。

 与えられたことを一生懸命やる子が多いんです。もちろん、だからといって昔の子どもたちが悪いということではなく、情報が限られた中、いろんなことを工夫したり、試行錯誤して挑戦する力はむしろ昔の子どもたちの方が積極的だったと感じます。

——子どもの環境や性格が変化している以上、指導の方法や教育方法にも当然変化があってしかるべきだった。そこに“ほめる型”指導のような、従来とは違う指導法が支持を集める理由があるんですね。

そうだと思います。

賞賛→達成→意欲循環によって成長していく

——指導法が変化していけば、時代のニーズに合わせて、逆にインストラクターの側も変化を求められる時代になってくるのではないでしょうか?

そうですね。でも、若いインストラクターたちは、もう年配の人たちが受けていた教育とはまったく違った教育をすでに受けて育ってきている人が多いので、そんなに難しいこととは考えていないと思います。今の子どもたちと近い価値観をインストラクターの側も持っているんです。どのインストラクターもこの“ほめる型指導”にうまく順応できているという印象を持っています。

——子どもを具体的にどういう風にほめると、それが「がんばる意欲」やレベルアップにに繋がっていくのでしょうか?

今までできなかったことがちょっとできたという時にすかさず、見逃さず褒めてあげることが大切です。これが一番効果的です。子どもたちも喜んでくれますし、そうすることで今までしなかったことにもチャレンジしてみようと一歩腰が上がるような状態になるんです。

——スクールの指導理念の中には“ほめる型”指導について、『賞賛→達成→意欲』の循環が子どもたちのステップアップに繋がっていくと書かれていました。

うまくやって、褒められて、意欲がわいてというのが循環して、成長していく。怒られるのが恐くてやるというよりは、自発的だし、将来的なパフォーマンスの向上もこのやり方の方がずっと可能性が高くなると自分も思っています。

——指導理念に対して、子どもたちのご両親からの反響はどうでしょうか?

「明るくなりました」「積極性が出てきました」とか、「気持ちが強くなった」「いろんなことに自分で挑戦できるようになった」とか、メンタル面での成長を喜んでくれる方が増えました。ほめることによって、向上心が生まれ、「自分はこれができた、お母さん、できたよ」って、子どもの中に自尊心も芽生えてくるんです。やらされているのではなく、主体性を持って取り組めるようになる。これが大きいんです。

その後は自分の目標を見つけてより深いところまで自然と探求していくようになる。「運動塾」を通じて得た子どもたちの喜びで家族の話題も増え、家族の幸せと繋がっていくこともまた、わたしたちの願いでもあります。だからご家族の方の喜びの声を聞くとわたしたちもとてもうれしい気持ちになります。

“怒る”のではなく“叱る”

 コナミスポーツクラブで西日本の地区統括部長を務める水原さんは、「運動塾」での“ほめる型”指導について、インストラクターに入社時点から徹底的に指導して、現場でも理念のマニュアル化をして、この指導理念を浸透させていると言います。

 “怒る”のではなく“叱る”という佐藤インストラクターの言葉もこの指導理念の中できちんと説明されており、水原さんは「怒るというのは感情でものを言う行為なんです。『運動塾』の場合は子どもがルールを守らない、何か言わなければならない状況があったとしても、“怒る”のではなく“叱る”という指導をしています。“叱る”前にコーチもきちんと一度深呼吸をして、その子がなぜこのような状況になっているのかを考え、説明するんです。子どもが社会に適応するためのルールをきちんと教えていくということをやっているんです」と説明してくれました。

 水原さん自身も現場を直接見ていた時代があり、どうしても言うことを聞かない子に対して、いろんな工夫をすることで改心させてきたという経験があったといい、「暴れたり、言うことを聞かない子もいたんですけど、そんな子に対してある日、小さな集団の中でリーダーを任せることにしたんです。『君はリーダーだから、ほかの子がみんな真似する存在だよって。コーチのことをしっかり見て、言ったことをちゃんと理解して行動できる?』って話したんですけど、そうしたら、その子はその時から変わっていって、逆にみんなを教育する方に回ってくれるようになりました」と当時を振り返ってくれました。

 集団の中で子どもが得るのは技術力だけでなく、人間的な成長もあるそうです。集団の中で主体性を持ちつつ、周囲の子どもたちと目標を共有しあってスポーツに取り組むことで、社会に順応できる大人へと成長することができます。少子化で、なかなか他の子と団体で遊べる場も少なくなっている昨今、子どもたちが社会性を身につけていく上でこうしたスポーツ塾の役割は今後も大きくなっていくでしょう。そんなスポーツ教育の現場で推奨される“ほめる型”指導が、今後子供たちの成長をより大きく促す新しい指導法としてさらに注目を集めていくのかもしれません。

[施設情報]
コナミスポーツクラブ西新井

住所:〒121-0816 東京都足立区梅島3丁目32−7 イオン西新井4階
アクセス:東武伊勢崎線・西新井駅東口より徒歩1分
営業時間:[月水木金]10:00~21:00 [土]10:00~20:00 [日]9:00~13:30
定休日:毎週火曜日
公式HP:http://information.konamisportsclub.jp/004043.html

<Text & Photo:名鹿祥史(H14)>