愛着に関する障害?子どものこんな行動、もしかしてSOSサインかも【原因と対処法】 (2/4)
子どもに見られやすい、愛着に関する障害のサイン
愛着に関する障害のサインは、一つひとつを見ると「よくある子どもの行動」に見えることもあります。しかし、その程度が極端だったり、年齢にそぐわなかったり、複数のサインが重なっていたりする場合は注意が必要です。
人に過度に警戒する、頼れない
反応性愛着障害の傾向がある子どもは、他者との関わりを極端に避けようとします。具体的には以下のような様子が見られます。
- 転んで怪我をしても泣かない、助けを求めない
- 抱っこや身体接触を嫌がる、固まってしまう
- 大人に話しかけられても反応が薄い、目を合わせない
- 困っているはずなのに「大丈夫」と言い続ける
- 遊びに誘われても一人でいることを選ぶ
- 感情表現が乏しく、喜怒哀楽がわかりにくい
これらは「手のかからない良い子」に見えることもありますが、実は「人に頼っても無駄」「期待しても裏切られる」という諦めの表れかもしれません。
本来、子どもは困ったときに大人を頼るものです。その自然な行動が見られないとき、心の中で何かが起きている可能性があります。
見知らぬ人になれなれしい
脱抑制型対人交流障害の傾向がある子どもは、対人関係の境界線が曖昧です。
- 初めて会った大人にもすぐに馴れ馴れしく話しかける
- 見知らぬ人の手を握ったり、膝の上に座ろうとする
- スーパーなどで知らない人についていこうとする
- 特定の養育者への特別な愛着が見られない
- 誰に対しても同じように接する(お母さんも先生も近所の人も区別しない)
- 過度にボディタッチが多い

通常、2〜3歳頃の子どもは「人見知り」をするものです。これは健全な発達の証で、「この人は安全」「この人は知らない」という区別ができているサインです。
ところが愛着に課題がある場合、この区別がつかず、誰に対しても警戒心を持たないことがあります。
一見社交的で可愛らしく見えるため、周囲が問題に気づきにくいのがこのタイプの特徴です。しかし、防犯上のリスクもあり、また本人も深い人間関係を築くことが難しくなる可能性があります。
次:学校・園で出やすい問題行動は? 衝動・嘘・試し行動など
学校・園で出やすい問題行動は? 衝動・嘘・試し行動など
愛着の課題は、集団生活の中でより顕著に表れることがあります。
衝動的な行動をしてしまう
感情のコントロールが難しく、思い通りにならないとすぐにかんしゃくを起こしたり、友達を叩いたりすることがあります。
これは「安全基地」で感情を受け止めてもらう経験が少なく、自分で気持ちを落ち着かせる方法を学べていないためです。
頻繁に嘘をつく
「自分を守るための嘘」が多いのも特徴です。叱られることへの過度な恐怖から、明らかにわかる嘘でも言い続けることがあります。
また、注目を集めるために話を盛ったり、事実と異なることを言ったりすることもあります。
試し行動をする
「この先生は本当に自分を見捨てないのか」を確かめるために、わざと困らせる行動をとることがあります。ルールを破る、挑発的な言葉を使う、わざと問題を起こすなどです。
これは「見捨てられる前に、自分から関係を壊す」という防衛反応でもあります。
愛着や発達に障害がない子どもも、成長過程で大人を試すような行動をすることは普通です。しかし愛着に関する障害における試し行動は、その頻度・強度・持続期間が極端で、本人や周囲が深刻に困っている状態を指します。
極端な反応をする
小さな注意でパニックになったり、逆にどんなに叱られても平然としていたりと、反応が極端です。感情の調整機能が未発達なため、ちょうど良い反応ができないのです。
これらの行動は、決して「わがまま」や「性格の問題」ではありません。生き延びるために身につけた、子どもなりの対処方法なのです。
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