ヘルス&メンタル
2025年12月3日

「両親の愛情をたっぷり受けて育った人」に見られる特徴とは

両親からたっぷりと愛情を受けて育った人と、さまざまな事情で愛情が不足した環境で育った人では、大人になってからの考え方や行動パターンに違いが見られることがわかっています。

これは決して「愛されなかった人はダメ」という話ではありません。むしろ、なぜ自分がこういう考え方をするのか、なぜこんな行動パターンになりやすいのかを理解することで、より生きやすくなるヒントが見つかるかもしれません。城西内科クリニック院長・髙橋 聡美先生監修の以下記事より、一部抜粋してお届けします。

両親から愛されて育った人とそうでない人、どんな違いがある?

両親の愛情を受けて育った人に見られる3つの特徴

まずは、両親から愛情をしっかりと受けて育った人に共通して見られる特徴について見ていきます。

自分を信じる力と心の安心感がある

愛情を受けて育った人の最大の特徴は、自己肯定感の高さ基本的な安心感です。

幼少期に「あなたは大切な存在だ」というメッセージを繰り返し受け取ることで、「自分には価値がある」という感覚が心の土台として形成されます。

これは「自分は完璧だ」という意味ではなく、「欠点があっても、失敗しても、自分という存在は受け入れられる」という深い安心感です。

この土台があると、新しい環境に飛び込むときや困難に直面したときでも、「何とかなる」「最悪の場合でも自分は大丈夫」という感覚を持つことができます。過度に不安になったり、自分を責めすぎたりすることが少ないのです。

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また、他人の評価に一喜一憂しにくいという特徴もあります。もちろん褒められれば嬉しいし、批判されれば落ち込みますが、それによって自分の価値が根本から揺らぐことはありません。

「この人はこう思っているんだな」と、他人の意見を参考にしつつも、最終的には自分の判断を信じることができるのです。

適切な距離感を保ち、必要なときに助けを求められる

愛情を受けて育った人は、人との境界線を引くのが上手です。

ここでいう境界線とは、「自分と他人は別の人間である」という当たり前のようで難しい認識のこと。相手の問題を自分の問題として背負い込みすぎることなく、また自分の問題を他人に丸投げすることもなく、適度な距離感を保てます。

「それは私の責任ではない」「これは手伝ってほしい」といった判断を、罪悪感なく行うことができるのです。人に頼ることを「弱さ」ではなく、「上手な協力の仕方」として捉えられます。

困ったときに「助けて」と素直に言えるのも大きな特徴です。幼少期に「困ったら頼っていいんだよ」という経験を重ねているため、助けを求めることに抵抗がありません。

一方で、相手が「NO」と言う権利も尊重できるため、断られても過度に傷ついたり、関係が壊れたりすることも少ないのです。

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失敗を恐れず、経験として前に進める

愛されて育った人は、失敗への恐怖が比較的少ない傾向があります。これは「失敗しても、自分の価値が否定されるわけではない」という感覚があるからです。

幼少期に失敗したときも、親から「だめな子だ」と否定されるのではなく、「次はどうする?」と一緒に考えてもらった経験が土台になっています。

そのため、新しいことに挑戦するハードルが低く、たとえうまくいかなくても「いい経験だった」「次に活かそう」と前向きに捉えられます。完璧主義に陥りにくく、「やってみなければわからない」というスタンスで行動できるのです。

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もちろん失敗すれば落ち込みますが、その落ち込みが長期化したり、「自分は何をやってもダメだ」という極端な思考に発展したりすることは少ないでしょう。

失敗を「自分という人間の価値」と結びつけず、「今回の出来事」として切り分けて考えられるのです。

愛情が不足した環境で育った人に見られる3つの傾向

「愛されて育った人」と「そうでない人」日常の行動にあらわれる違い

ここまで読んで「具体的にどう違うの?」と思った方もいるでしょう。ここでは、日常のちょっとした場面で見られる行動の違いを見ていきます。

人との距離感の取り方

愛情を受けて育った人の場合
初対面の人とも、適度な距離感で自然に接することができます。「この人とはもう少し仲良くなりたい」「この人とは仕事上の付き合いでいい」といった判断を、直感的に行えます。

相手が距離を詰めすぎてきたら「ちょっと距離が近いな」と感じて調整できますし、逆に親しくなりたい相手には、適度に自己開示をして関係を深めていけます。

愛情不足で育った人の場合
人との距離の取り方に常に迷いがあります。「どこまで踏み込んでいいの?」「これは失礼じゃない?」と不安になりやすく、極端に遠慮しすぎたり、逆に一気に距離を縮めようとしたり。

相手の反応を過度に気にして、「嫌われたかも」「変に思われたかも」と一人で悩むことも多いでしょう。また、親しい人に対しては「見捨てられるのでは」という不安から、束縛的になったり、試すような行動をとったりすることもあります。

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ケンカや衝突のあと。すぐ仲直りできるか、引きずるか

愛情を受けて育った人の場合
意見の衝突や喧嘩があっても、比較的早く修復できます。「意見が違うこともある」「怒ることと関係を切ることは別」という感覚があるからです。

冷静になったら「さっきはごめん」と素直に謝れますし、相手からの謝罪も受け入れやすい。一時的な衝突が、関係全体を壊すものだとは考えません。

愛情不足で育った人の場合
ちょっとした衝突でも、「もう終わりだ」「嫌われた」と極端に考えがちです。幼少期に、怒られることが「愛情の撤回」を意味していた経験があると、衝突=関係の終わりと結びつけてしまうのです。

謝りたくても「どう謝ればいいかわからない」と悩んだり、謝ることで「自分が全部悪いと認めることになる」と恐れたり。

あるいは逆に、必要以上に自分を責めて「全部私が悪い」と過剰に謝罪することもあります。衝突後の気まずさが長引き、関係修復に時間がかかりやすいのです。

お願いや断りの言葉。さらっと言えるか、言い出せないか

愛情を受けて育った人の場合
「ちょっと手伝ってもらえる?」「ごめん、今日は無理なんだ」といった言葉を、自然に口にできます。頼むことも断ることも、相手との関係を壊すものだとは考えていません。

もちろん状況や相手によって言い方は変えますが、基本的には「言葉にしないと伝わらない」「伝えることは悪いことじゃない」という感覚があります。

愛情不足で育った人の場合
助けてほしくても「迷惑じゃないかな」「断られたらどうしよう」と考えすぎて、なかなか言い出せません。ギリギリまで一人で抱え込んで、限界を超えてから泣きながら頼む、なんてこともあります。

逆に断るのはもっと難しく、「断ったら嫌われる」という恐怖から、無理な依頼でも引き受けてしまいます。

どうしても断らなければならないときは、過剰に謝ったり、長々と理由を説明したり。「NO」の一言が、とてつもなく重く感じられるのです。

監修者プロフィール

城西内科クリニック院長
髙橋 聡美先生

順天堂大学医学部卒業、医学博士
順天堂大学練馬病院糖尿病内分泌内科助教
糖尿病認定医、臨床栄養学会認定栄養指導医、内科学会認定内科医
統合医療医、日本医師会認定健康スポーツ医
米国マハリシ国際大学アーユルヴェーダ臨床医学ドクターベーシックコース終了
サトワメディカルサロン・サトワ合同会社代表
一般社団法人ヘンプ協会評議員 
一般社団法人生命ネットワーク協会理事 

<Text:外薗拓 Edit:編集部>