
自己肯定感とはなにか。「低いとダメで、高めるべき」なのか【専門家が回答】
- 健康
- 2022年4月14日
仕事や家庭の悩み、ネット炎上、SNSでの人間関係。現代人とストレスは切っても切り離せぬ仲です。ストレスをゼロにすることは難しい……ならば視点を変え、うまくつきあっていく術を身につけると、イライラやモヤモヤ、生きにくさを少し解消できるかもしれません。
心理カウンセリングやメンタルトレーニングの普及活動を行う、“心の専門家”養成スクール「アイディアヒューマンサポートサービス」のカウンセラーが、皆さんの悩みごとについて考え方や対策をお伝えします。
「〇〇の原因は自己肯定感が低いから」「自己肯定感を高めると〇〇できる」などよく目にしますが、自己肯定感ってどんなものなのか、ふわっとしていてよく分からないです。自己肯定感は高めたほうがいいのでしょうか? そもそも、自分は自己肯定感が低いのか高いのか分からないです。
自己肯定感とは
「ありのままの自分でOK」「自分の存在そのものに価値がある」と感じられることです。自己肯定感が高い人は、他者と比較をするのでなく主体性を持って行動できたり、物事を肯定的に捉えられるため、思考や行動が前向きで、ミスや失敗をきちんと受け止めて次にチャレンジをしていくことができます。
自己肯定感は低いとよくないの?
低いからよくないということではありません。ただ、同じ経験をした時に、自己肯定感が低いと物事を悪い方向に考えやすく、ミスや失敗をしたときなどメンタルへのダメージも大きくなります。
また、相手の意見や評価に左右されるので、選択や決断をするときも相手にどう思われるかと考えてしまいます。そのため、言いたいことや、やりたいことを我慢することでのフラストレーションが溜まりやすいところはあるかもしれません。
自己肯定感が高い、低いはどのようにして生まれる?
赤ちゃんのときは、お母さんの様子を伺って泣くことはしていません。お腹が空いた、オムツを変えて欲しい、眠いなど、赤ちゃんは自分の思うままに生きています。
でも、大きくなるにつれて、ダメ出しされたり、周りと比較されたりして、今の自分でOKなのだという感覚が薄らいていき、自己肯定感の高低が生まれます。
置かれている状況や立場によって、高くなるとき・低くなるときがあります。だからこそ、自分で育てていくことが大切だと思います。
自己肯定感が高い、低いはどのようにして判断するの? セルフチェックできる?
自己肯定感は、環境や経験で高くなったり低くなったりもします。普段は自己肯定感が高い人が、大きな失敗をして自己肯定感が低くなることもあります。大事なことは、どうやって高めていくとよいかの方法を知っておくことではないでしょうか。
今の自分を客観的に知ることは、とても大切だと思います。自分はどういう思考や行動パターンを持っているのかなど、インターネットにもセルフチェックシートが出ているようですので、よかったらお試しください。
「自己肯定感が高い人」と「ナルシスト」はどう違うの?
自己肯定感が高い人とナルシスト。自分を大切に扱うという部分は似ていますが、ナルシストは自分だけに興味があり自己愛が強い人で、他人には興味がない。自己肯定感が高い人は、他者も自分も大切にできる人です。
自己肯定感は、相手がどうかでなく、自分が自分を受け入れていける力です。一方、ナルシストは、自己防衛が強く、他者からの評価に左右され、受け入れられないと傷ついたり、ひどいと相手を責めたりします。思考や行動を見ていくと、違いが分かると思います。
自己肯定感は高いほうがいい?
「べき」とか「~しなければならない」というものではありませんが、自己肯定感を高めることで、ダメージやストレスに強くなったり、ミスや失敗をしても自分を立て直して前進していくことができます。夢や目標を達成させる人は、自己肯定感が高い人が多いというのもわかりますよね。
自己肯定感が低いと感じている人へ
どんなところでもいいので、自分のいいところ探し、強み探しをしてみましょう。ポジティブ心理学の研究では、自分の強みを知ることで、幸福度が9.5倍。それを使うと19倍アップするという研究データがあります。
たとえば、今日見つからなくても、探したことを誉めてあげる。そして、次の日にまたしてみる。見つかるまで継続していくことも、自己肯定感を育てていく力になるのではないでしょうか。ぜひ、できるとこから取り組んでみてください。
[プロフィール]
浮世満理子(うきよ・まりこ)
全心連公認上級プロフェッショナル心理カウンセラー/
記事協力
・株式会社アイディアヒューマンサポートサービス
・公式サイト https://www.idear.co.jp/
<Text:編集部>