インタビュー
2018年10月11日

小さいころから得意だったモノマネが格闘家人生にも子育てにも役立っています。総合格闘家・宇野薫(後編)│子どもの頃こんな習い事してました #17 (3/3)

「いいところ」を見つけることが得意だった

――お子さんのやる気をどうしたら伸ばせるか、どうすればスポーツを続けてもらえるかと悩んでいる親御さんもいますが、どうしたらいいでしょうか。

あんまり怒られると、その競技が嫌になってしまいますよね。僕はいいところをほめてあげるように心がけています。それでも注意したくなることはありますが……(笑)。

子どもたちの水泳を見に行ったときは「バタフライできるんだ」「背泳ぎうまいね」とたくさん口に出してほめています。僕自身、水泳が得意ではないので、子どもの泳ぐ姿を見て本気ですごいなあと関心しているのですが(笑)。横浜市の水泳大会に代表で出場したときも応援に行きましたが、子どもの活躍はうれしいですね。

母に聞くと、「子どものころから、友だちについて『こういういいところがある』とよく話していた」と言うんです。他人のいいところを見つけるのが得意かもしれない。野球選手のモノマネをよくしていたのも同じことなのかもしれません。その人の特徴、長所をつかむことが得意なんです。

高校のレスリング部は上下関係が厳しかったんですが、先輩にはかわいがられていました。それはプロレスラーのモノマネが得意だったから。よく空いている時間にみんなでプロレスごっこをしていたんですが、モノマネができる後輩は重宝されました(笑)。

子どももそれぞれ欠点はあると思いますけど、いいところを見つけてあげたほうが本人も喜んで、やる気もわいてくると思います。

――今後の活動について教えてください。

柔術を含めた組技競技も、総合格闘技の試合も、チャンスがあればどんどん挑みたい。総合格闘技は、やればやるほど勝つことの難しさを感じています。年齢が上がるとどうしても反応が遅くなりますし、フィジカルの部分でも若い子にねじふせられてしまうかもしれない。技術も進化しているのでついていくのも難しい。

僕らの世代はプロレスへのあこがれから入って、先輩方が少しずつ切り開いていった総合格闘技の世界に参加していったという世代。今の若い選手は、初めから総合格闘技を目指して入ってきているので、早い段階から競技のイメージもついている。そういったなかで、どう戦っていけるか。これからもできるところまで挑戦していきたいですね。柔術で黒帯になりたいですし、総合格闘技でもチャンピオンになりたいと今でも思っています。欲張りなんで(笑)。

[プロフィール]
宇野 薫(うの・かおる)
1975年生まれ。神奈川県出身。1996年の全日本アマ修斗選手権で準優勝、プロデビュー。1999年、第4代修斗ウェルター級王者に。2001年からアメリカのメジャー大会UFCに参戦。国内でもK-1、HERO'S、DREAMなど数多くの大会に参戦。2009年には再びUFCに挑戦、2010年からDREAM、2012年から修斗に再参戦。現在も2018年旗揚げしたQUINTETに参戦するなど「日本が誇る総合格闘技界のパイオニア」として戦い続けているほか、自身のファッションブランド「UCS」「ONEHUNDRED ATHLETIC」のディレクターや格闘技ビギナー向けのプログラム「UNO DOJO」のヘッドトレーナーも務める。

<Text:安楽由紀子/Edit:丸山美紀(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>

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