インタビュー
2018年12月4日

中学まで剣道と野球。型にはまることが大嫌いな大柄少年でした。柔道家・小川直也(前編)│子どもの頃こんな習い事してました #19 (3/3)

剣道や野球の経験も役立った

――剣道の経験が柔道に生かされたということでしょうか。

そうですね。剣道も素足。板の上が畳の上に変わっただけ。足さばき、正座、あいさつの仕方、精神的なもの。ベースは似たようなものが多かったのですぐになじめました。剣道の経験がなかったら柔道は厳しかったかもしれないですね。

野球の経験も活きました。一年中足並みそろえて走らされて、体力はついていたんです。球拾いなどで体幹が鍛えられたことも役に立ったと思います。何かしらこれまで経験のあるスポーツとの共通部分を探して、柔道に当てはめていきました。

――高校から始めて、みるみるうちに活躍。それは才能があったからなのでは?

才能というより、自分の体格、体力を活かせた競技が柔道だったのだと思います。それに、剣道はワンミスでも負けてしまうけれど、柔道は少し転んでも挽回できるので、気持ちも楽でした。

当時は、柔道家になろうなんて考えていません。後先のことは考えずに目先のことに一生懸命、周りについていくのに必死。とにかく高校卒業するまでがんばろうというだけ。その先の計算はまったくありませんでした。高校3年生のときにたまたま全国大会(金鷲旗全国高等学校柔道大会ベスト16)まで行けたのはうれしかったですね。

オリンピックへの夢も全然ないですよ。自分が小学生のとき、日本がオリンピックに出場しなくて(1979年に起きたソ連のアフガニスタン侵攻の影響を受け、多くの国が1980年のモスクワ五輪をボイコット)、8年間オリンピックがなかったんです。だから、オリンピックがすごいというイメージも特にありませんでした。

[プロフィール]
小川直也(おがわ・なおや)
1968年生まれ、東京都出身。高校時代から柔道を始める。1986年明治大学入学、全日本学生柔道選手権で優勝し史上2人目の1年生王者に。1990年明治大学経営学部経営学科を卒業し、JRA日本中央競馬会に入会。1992年バルセロナ五輪柔道男子95kg超級で銀メダル獲得。1996年アトランタ五輪柔道男子95kg超級5位。1997年プロ格闘家に転向。新日本プロレスのほか、総合格闘技イベント「PRIDE」「ゼロワン」「UFO LEGEND」などに出場。2004年プロレスイベント「ハッスル」に出場。2006年、神奈川県茅ヶ崎市に柔道場「小川道場」開設。2013年、筑波大学大学院で修士(体育学)学位取得。

<Text:安楽由紀子/Edit:丸山美紀(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>

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