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相撲は子どもの“学び”につながる。2児の父・鳴戸親方が語る子育て

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 今年4月1日に部屋開きが行われたばかりの鳴戸部屋(東京・墨田区)で、8月29日〜31日の3日間にわたって、小・中学生の男子を対象にした「相撲稽古体験&ちゃんこ食事会」が行われます。由緒正しい日本の国技である相撲の稽古を通じて、どんなことが学べるのでしょう? ご自身も5歳の息子さんと2歳の娘さんの子育て真っ最中という、元大関・琴欧洲の鳴戸親方にお話を伺ってきました。

四股は心身を強くする最高のトレーニング

——子どもたちを対象にした今回のようなイベントは、鳴戸部屋では初めての試みだそうですが、当日はどのような稽古が体験できるのでしょうか?

まずは、四股、すり足、股割りなどの相撲の基本をやり、最終的にはお相撲さんの胸を借りてぶつかり稽古までを考えています。今回は“相撲教室”ではなくて、あくまで“稽古体験”なので、普段の部屋の稽古よりも朝は遅く、時間も短くしてあります。厳しすぎて相撲を嫌いになられたらいけませんから(笑)。楽しく稽古して、美味しいちゃんこ食べて、いい思い出を作ってもらいたいですね。

——四股はトレーニングとして、一般的にも注目されていますよね?

片足にしっかり体重を乗せ、もう片方の足を高く上げて、下ろす。いわゆる、スクワットですね。動き自体は非常に地味だけど、体幹を鍛えるのにすごく効果が高い。ただし、それもやり方次第です。辛いからといって適当にやって、回数だけをこなしても全く意味がありません。基本の形を守って、一回一回きちんと行うことがポイントです。

相撲の基礎トレーニングはどれも非常に理にかなっているので、他のスポーツにも取り入れられています。それも何百年も前からあるものですから、すごいですよね。私の師匠だった先代の佐渡ケ嶽親方(元横綱・琴桜)は、「四股、すり足、鉄砲さえできれば、十両に上がれる」と言っていたほど。さすがにそれだけでは無理だけど(笑)、それくらい重要だということです。

——稽古の後の食事会も楽しみですね。ちゃんこは部屋によって違いがあるそうですが、鳴戸部屋ではどんなお味がいただけるのですか?

力士たちが普段食べているのと同じちゃんこを食べてもらいますが、3日間とも違う味をお出ししようと思っています。ちゃんこ鍋は力士が365日食べるものですから、毎日同じ味では飽きてしまうので、味噌、塩、醤油、カレー、チリ味、トマト味など、いろんなベースがあるんですよ。稽古体験の日は、子どもたちは部屋のお客さんですので、力士は一緒には食べませんが、お代わりをよそったり、お茶を出したりといった給仕を務めます。

——ちゃんこは、栄養面においてもとても優れているとか?

ちゃんこはもちろん他のおかずも含めて、好き嫌いなく、バランスよく食べることが大切ですね。もし嫌いなものがあっても、体にいいと思って無理して食べていたら、そのうち好きになるんですよ。だから、親が「これはどう? あれはどう?」と甘やかさないこと。お腹が空いた時に、それしかなかったら食べるしかないでしょう。私は納豆がダメでしたが、食べられるようになりましたよ。8年かかりましたけど(笑)。

相撲を学ぶとしっかりとした礼儀作法が身につく

——相撲を通して、子どもたちにどんなことが養われるでしょう?

相撲は「礼に始まり、礼に終わる」神事であり武道ですので、相撲をやっている子はすべての基本である挨拶が、きちんとできるようになります。「おはようございます」「こんにちは」「ありがとうございました」が言えない子も、今は多いですからね。

また、相撲には「蹲踞(そんきょ)」「柏手」「手刀を切る」など昔から伝わる所作があって、大きく両腕を伸ばして手のひらを返す「塵手水(ちりちょうず)」は、「私は何も武器を持ってません」「正々堂々と戦います」ということを示します。こうした所作の意味を学ぶことで、他人への敬意や感謝の心なども持てるようになるでしょう。

相撲は本当に奥が深いので、1年くらいやって、やっといろんなことを理解できるようになる。1日で伝えられることはわずかかもしれませんが、少しでも相撲を好きになってくれて、ここで経験したことや感じたことを、何らかの形で生かしていってもらえたらうれしいですね。

——では、親方が感じられている相撲の一番の魅力とは?

野球やサッカーをやるとしたらスパイクやシューズ、グローブ、バッドなど、ちゃんとした道具やユニフォームなどが必要になりますが、相撲は部屋が提供してくれる廻し一本、体一つで勝負ができる。

また団体競技は、いい選手がたくさんいたとしても、ものすごく強い選手が1人いるチームに負けてしまう場合もある。でも、相撲は自分が頑張ったら頑張った分だけ、ちゃんと自分に返ってくる。そこは個人競技のいいところですよね。

子どもに多くの選択肢を与えてあげるのは親の責任

——親方のお子さんには、何か習わせていらっしゃいますか? 

息子には、体操と水泳とサッカーをやらせています。体操も水泳も全身が鍛えられますから、すごく良いですよ。サッカーは、チームの中で協調性や団結力などが学べますし。本人も3つとも全部好きで、喜んで通っていますね。

ちょっと前までは相撲もやっていたんですが、今は「楽しくないから嫌だ」って、やめちゃいました(笑)。ちょうど自我が出始めて、何か反発したい時期なのかもしれませんが、それはそれでいいかなと思っています。

——息子さんに何を習わせるかは、親方が決めたのですか?

もっと大きくなればできるスポーツも増えるけれど、今の年齢でできるものがこの3つでした。子どもにとって一番大事なのは、選択肢をたくさん与えてあげることであって、それは親の責任です。

私も相撲の前にはバスケット、バレーボール、サッカー、水泳、レスリングと、いろいろやっていました。子どもが小さいうちは、本人が何に興味があって、何ができるか、まだ分からないでしょう? いろんなことに挑戦させてみて、多くの可能性の中から、何が得意か、何をやっていきたいかは、後から決めればいいことだから。

——それは鳴戸部屋で実際に行う稽古においてもモットーにしていることですか?

はい、部屋の弟子たちに対しても。みんなに同じことをやらせるのでなく、一人一人をよく見て、それぞれのいいところを見つけて、さらに伸ばしてあげられるように努めています。

<Text:菅原悦子/Photo:編集部>

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