子どもに「結果が出ないとダメ、努力が足りない」と言っている親に伝えたい、心の教育方法
お子さんにスポーツをさせたいと思っている、もしくはスポーツをさせているお父さんお母さんは多いでしょう。そして「やるからにはそれなりになって欲しい」と考えるのは、親として当然といえます。
しかし体力的な問題や、まわりの子との成長の個人差、スポーツとの相性などにより、うまく活躍できないことも少なくありません。
そのとき、親としてどのように考え、接してあげられるでしょうか。
一番苦しんでいるのは本人かもしれないのに、「結果が出ていないのは努力が足りないから」と語ったり、結果が出ていないと「ダメな子」と言ってしまったり。
親の考え方や接し方で、子どもの将来は大きく変わります。
どのように考え、接してあげたらいいのか。親が実践したい心の教育について、教育現場でスポーツ指導の実績を持つ筆者が紹介します。
いま重視されている「非認知能力」とは
新学習指導要領により、平成30年度から順次、教育が変わっていきます。とくに、幼児教育において「非認知能力」を育てていきたいという内容になっています。
非認知能力とは、学力のように数字にできない力を指しています。
裏を返せば、過去には身についているはずだった非認知能力が身についていない現状があるということです。
非認知能力とは、一体どんな力を指すのでしょうか。
非認知能力とは
非認知能力は「粘り強さ」「協調性」「やり抜く力」「自制心」「感謝する力」などを指し、それらは以下の3つに分類されるとしています。
1)目標に向かってやり抜こうとする力
2)感情をコントロールする力
3)人と上手にコミュニケーションを取る力
例:サッカーが上手ではなく、試合に出ることができない
具体的な例として、「サッカーが上手ではなく、試合に出ることができない」としましょう。
それでも、たとえば次のような成長が見られるのであれば、サッカーの練習をしてきた価値があるのではないでしょうか。
- サッカーが好きで楽しんで練習を行っている
- もとは嫌いだったが真剣に取り組むようになった
- 自分なりに工夫している
- うまくいかなくても、相手に負けてもイライラせずに、次に向けて気持ちを整理できる
- まわりの人にアドバイスを聞きながら練習できる
- コーチの話をしっかり聞き、感謝の気持ちを持てる
練習を積み重ねてきたからこそ、これらの力が身についたり、成長が見られるようになっていきます。
たとえ他人より下手でも、あるいは試合に出られなくても、このような力や気持ち、考え方が身についたり、その方向に向かったりしているのであれば、今後の人生において大きな財産を得たといえるでしょう。
現状は非認知能力が育まれにくい状態である
本来は、近所のお兄さん・お姉さんやお友達と外で遊ぶなどして、そのカッコイイ姿に「あんな風になりたい」という憧れを抱き、自然と非認知能力は育ってくるものでした。
しかし社会が発展するにつれ、大人の都合で子ども社会が崩壊しており、子どもが犠牲になってしまっています。
そのため、現在の子どもたちはそのような気持ちや力を育てる機会が少なく、成長してきてしまったのです。
ときには「最近の子どもは……」と思うことがあるかもしれませんが、そんなときこそ、非認知能力の大切さを伝えてあげてください。
プロフィール
赤堀達也(あかほり・たつや)
1975年生まれ、静岡県出身。小中大でバスケを指導し、独創的理論・論理的指導で選手育成をする。体力テストが低水準校で県優勝し、無名選手達で東海大会6位となる。最高は全国準優勝。2019年度より旭川大学短期大学部准教授として、これらの理論を応用した幼児体育・健康の研究を行う。またパーソナルストレッチやスポーツスタッキング、部活動改革にも取組む。
[HP] https://mt-a.jimdo.com
<Text:赤堀達也>