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子どもが運動する最適な時間帯が「朝」のワケ

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 年齢を問わず、子どもに習い事をさせる家庭は少なくありません。もちろん習い事といってもさまざまですが、水泳やサッカーなどをはじめとした運動はその代表例ではないでしょうか。その他、例えば公園に行って身体を動かす、あるいは保育園・幼稚園や学校でも、子どもにとって運動はとても身近です。

 子どもに運動させる目的は、やはり身体能力の向上でしょう。野球やサッカーなど特定種目を習うだけでなく、身体の動かし方から習えるキッズスクールなどもあります。ではこれまで、運動する“時間”について考えたことはあるでしょうか。習い事なら最初から時間が決まっていますから、あまり意識したことのある方は多くないはずです。

 朝一で河川敷に出かけ、野球の練習や試合に取り組む子。あるいは平日の放課後、プールに通っている子など。こうした運動が、実は脳にも良い影響が与えられると言われています。そしてその効果は、運動する時間帯によって違ってくるとしたら? 朝と夜、いったいどちらが子どもの運動に適しているのか。筆者自身、子ども向けの運動教室を運営していますので、その経験ももとに、運動と脳の関係から、その答えを考えてみたいと思います。

運動することで、いったい脳にどんな影響があるのか

 「運動すると頭が冴える」というのは、運動を経験していれば多くの人が感じたことがあるでしょう。思いっきり空気を吸い、適度に運動した後の清々しさは、確かにスッキリとした気持ちにさせてくれます。

 脳と運動との関係をで出てくるのが「BDNF」というもの。これは「brain deriverd neurotrophic factor」の略で、日本語では脳由来神経栄養因子と呼ばれます。人間が生活・成長するうえで欠かせない分泌性タンパク質の1種ですが、この「BDNF」、運動によってその分泌量が増加すると言われているのです。

 親ならどうしても気になる「学習」との関係。この「BDNF」は勉強する際にも重要な働きを持ち、その分泌増加は、例えば学力アップなどに繋がる可能性を秘めているようです。

 「BDNF」の分泌が増加すると、記憶力が良くなるとされています。そう聞くと、授業で習ったことがしっかり覚えられるといった効果をイメージされるでしょう。しかしこれは、単純に「覚える」ということだけではありません。

 人は何かを判断するとき、自分自身の経験をもとに「どうすべきか」を考えます。勉強はとても分かりやすい例ですが、習っていないことは当然ながら答えられません。例えば「1+1は?」と聞かれれば、過去に習ったことを思い返して「2」という回答を弾き出すのです。これは学校の勉強だけでなく、例えば物事の良し悪しを判断したり、お使いに迷わず出かけたり、あるいはカードゲームなどの遊びでも同じ。つまり、瞬時に脳内の引き出しからその場に適したものを選び、言葉・行動に繋げているということ。つまり「覚える」という記憶力ではなく、記憶そのものの「使い方」が上手くなると言えるでしょう。

 せっかくテスト勉強したのに、「習ったはずなのに思い出せない」と本番で正解が浮かんでこない。あるいは何かトラブルを起こしてしまったとき、「こういうとき、どうするんだっけ」と取るべき対応が思い浮かばない…など。子どもならよくある経験ですが、こうした事態が運動によって回避できるかもしれないのです。

最適な時間帯は「朝」。その理由は?

 ではいったい、朝と夜どちらで運動すれば良いのでしょうか。運動によって「BDNF」の分泌が増加すると、しばらくその効果が続くとされています。そして時間とともに少しずつその分泌量が減っていき、やがて通常モードに戻るわけです。

 結論から言えば、朝の運動が最適となるでしょう。せっかく記憶力がアップしているのですから、「あとは寝るだけ」の夜ではもったいない。脳が活性化した状態で学校に行けば、授業の吸収度合いが違ってくるはずです。もちろんケンカや失敗など学内でのトラブルも減る可能性がありますし、1日のスタートに運動というのは、理にかなったことではないでしょうか。もちろん運動することで身体が目覚めますから、寝ぼけたまま学校に行くなんていうこともありません。

 実際、私は“朝運動スクール”という活動に取り組んでおり、そこでは自分の子どもにも定期的な“朝運動”を行わせています。早朝なので最初こそ眠そうにしていますが、どんどん目覚め、イキイキと学校に向かうようになりました。学校の先生からも、運動してから登校した日は集中してしっかり勉強できているようだと報告を受けたことがあります。

 勉強は子どもの将来を考えるうえで大切なこと。朝の運動で脳を活性化させ、学校でたくさんの知識を吸収できるようになれば、「できた!」という体験が増え、自然と勉強そのものに楽しさを感じられるようになるのではないでしょうか。心身とも、まさにこれから発達していく子どもたち。だからこそ、その発達を後押しできるよう、運動を朝に行うことはとても効果的と言えそうです。もちろん子どもの頃から継続して運動を取り入れれば、体力や身体能力の向上も期待できます。

 とはいえ朝からハードに動いたのでは、疲れて授業どころではなくなってしまいます。そのため、例えば縄跳びやジョギング、もしくはストレッチなど、軽めの有酸素運動を取り入れるのがオススメ。子どもが進んで取り組めるよう、長縄跳びやトランポリンなど、遊びながら身体を動かせるものを考えてみてください。せっかく脳が活性化するのですから、家族みんなで朝から運動に取り組み、仕事や家事に向かうのも良いのではないでしょうか。

 もちろん、さまざまな事情で「朝は運動ができない」という方もいるはず。運動直後に学習の機会がないのはもったいないですが、もちろん、一晩で活性化した脳が元通りになるわけではありません。夜でも運動しておけば、何もせず眠るのと比べて翌日の脳の状態は違ってくるでしょう。まず大切なことは、運動そのものを習慣化することにあります。無理のない範囲から始めてみてください。

[筆者プロフィール]
三河 賢文(みかわ・まさふみ)/“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表

<Text&Photo:三河賢文>

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