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メンズになりました!┃連載「甘糟りり子のカサノバ日記」#5

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 アラフォーでランニングを始めてフルマラソン完走の経験を持ち、ゴルフ、テニス、ヨガ、筋トレまで嗜む、大のスポーツ好きにして“雑食系”を自負する作家の甘糟りり子さんによる本連載。

 今回は、細く長く続けてきたゴルフについての話題。心機一転、久しぶりにゴルフクラブを新調しようと思い、ショールームを訪問するも……。

新たに出会ったゴルフクラブ

 ゴルフ暦は短くありませんが、その密度は極めて薄いです。寒い季節と暑い季節はやりません。基本的に車で1時間半程度のゴルフ場しか参りません。こうして書き出してみると、ゴルファーとしてというより、自分という人間がそのまま現れているようで情けない!

 そんなふうなので、ゴルフの醍醐味の一つである「ギアに凝る」ということもまったくなく、アイアンに至っては15年前に買ったものを使っておりました。挙句、昨年秋に出たコンペで同行者に「買い換えれば、2、3打は縮まるよ」とのアドバイスを受けたのです。ゴルフのスコアってお金で買える、といったら語弊がありますでしょうか。少なくとも100を切ったり切らなかったり程度のうちは、かけたお金にゆるやかに比例してうまくなれる競技だと思っておりますよ、私は。

 前置きが長くなりました。そんなこんなで、かなり久しぶりにクラブを買い換えようと決意したのです。

 とりあえず、メジャーな某メーカーのショップに足を運びました。クラブの試打をしたのですが、スタッフが「まあ女性だったらこれかこれですかね」みたいな感じの対応なんです。挙句に、シャフトの柔らかいもののが打ちやすいですよ〜って、ちょっと、あーた……。

 私、スコアは大したことないのですが、けっこう飛ばす方です。本来、野球なら山田久志もしくは山田哲人、テニスなら伊達公子さんとかマルチナ・ヒンギスみたいな(時代がめちゃくちゃでごめんなさい!)、技と頭で勝負するタイプが好きなんですが、私のゴルフはいってみれば筒香嘉智。大きく出すぎました(ベイスターズ・ファンなのでもちろん筒香も大好き!)。筒香嘉智をすんごく雑にしたような感じなんです。その私が目の前で試打をしているのに、シャフトの柔らかい女性用しか持ってこないとは。ものの5分でそのショップを後にしました。

 で、よくラウンドをご一緒するukaの渡邉季穂ちゃん&弘幸さんご夫妻に相談したところ、「リリちゃんなら、絶対にフォーティーンが合うと思う」とのこと。初めて聞く銘柄だったのですが、なんでも、パシッと打つ女性に向くタイプなんだそうです。

 早速、白金のショールームにアポを入れました。そこで伺った話がおもしろかった!

 フォーティーンは群馬にあるメーカーで、もともとクラブヘッドの設計専門の会社でした。クラブはヘッドの形で性能が変わるそうです。それまでいわゆる職人の勘で作られていました。そこにフォーティーンの創立者である竹林隆光氏が重心という概念を持ち込み、いろいろなメーカーのヘッドの設計を始めました。なのですが、時代とともに各メーカーも自社で行うようになり、発注は減っていきます。そこで、「それなら自分たちでクラブを作ろう!」というのが、ここのクラブの始まり。ピンチをスタートに新しいもの作りをするって、『陸王』のこはぜ屋みたいですよね。

 まずは女性用のドライバーや8番アイアンを打ってみました。すると、ショールームのスタッフの池田さんがこんなことをいうではありませんか。

「もしかすると、甘糟さんはメンズ用の方がいいかもしれません」

 やっぱり、と思いました。ラウンドの同行者に時々、同じような反応をされることあったもので。クラブに遠慮しながら打っているみたい、といわれたこともあります。

 誤解を恐れずにいえば、体格的にも筋力的にも、そこら辺の男子に遜色ない自信はなくはない。しかし、体力的にはそこまでの自信はありません。当たり前ですが、ラウンドは18ホールです。少々飽きっぽいほうなので(集中力がないともいう……。涙)、試打とか打ちっ放しではメンズのクラブがしっくりきても、4時間もの間、それを扱えるんだろうかという疑問も捨てきれず。(話はそれますが、ゴルフが1ラウンド10ホールだったら、私はけっこういいゴルフをするんじゃないかと思います。真っ当なゴルフ好きの皆さん、ごめんなさい!)

 そんなことを考えながら、とりあえずメンズの R(レギュラー)を手にしてみました。それで、とりあえず振ってみる、打ってみる。すると、あれ? なんか、いい感じ? そこから、メンズとレディースを交互に振り回してみたのですが、もはやどちらがいいのか分からなくなってしまいました。

 雑談しながら、打ちっぱなし状態に。話の流れで池田さんにベスグロをたずねてみたら、65ですって! ハーフじゃないですよ、18ホールで65打。プロを目指していたそうです。

「やっぱりメンズのがピタッときてますよね?」

 ベスグロ65の池田さんに聞かれたのですが、もはやどっちがどうかわからない。で、結局、池田さんに丸投げするという暴挙に出たのです。

「池田さんの判断に従います。セッティングもすべてお任せしてもいいですか。寒い時期はゴルフしませんから、急ぎませんので」

「わかりました。けど……」

「けど?」

「もうちょっとゴルフしましょうよ。寒い時期も」

「……」

  果たして、手元に届いたのはメンズのレギュラーのクラブでした。いつでも気持ちよくこれらを振れるように筋力落ちないようにしないとね。気が引き締まります。

 久しぶりに新しいクラブを手にして、弾む気持ちとともに、今年はもっとゴルフしよう!と決意したのでした。でも、やっぱり寒いのはやだ……。

[プロフィール]
甘糟りり子(あまかす・りりこ)
神奈川県生まれ、鎌倉在住。作家。ファッション誌、女性誌、週刊誌などで執筆。アラフォーでランニングを始め、フルマラソンも完走するなど、大のスポーツ好きで、他にもゴルフ、テニス、ヨガなどを嗜む。『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』のほか、ロンドンマラソンへのチャレンジを綴った『42歳の42.195km ―ロードトゥロンドン』(幻冬舎※のちに『マラソン・ウーマン』として文庫化)など、著書多数。『甘糟りり子の「鎌倉暮らしの鎌倉ごはん」』(ヒトサラマガジン)も連載中。

<Text & Photo:甘糟りり子>

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