インタビュー
2026年8月24日

なぜ世界中で大流行?ピックルボール日本代表・羽澤未宥選手に聞く「ハマる理由」

テニス、卓球、バドミントンの要素を掛け合わせたニュースポーツ「ピックルボール」。アメリカでは競技人口が急増し、日本でも少しずつプレーヤーが増えています。

「誰でもすぐにラリーが続く」「気づいたら痩せていた」。

そう語るのは、ピックルボール日本代表の羽澤未宥(はざわみゆう)選手。競技の魅力からコンディショニング、メンタルづくりまで話を聞きました。

ピックルボールとは「テニス・卓球・バドミントンを掛け合わせたスポーツ」

まずは、まだ馴染みのない人も多いピックルボールについて。羽澤選手は、一言でこう表現します。

「テニスと卓球とバドミントンを掛け合わせたようなスポーツです」(羽澤選手)

アメリカではここ数年で爆発的に競技人口が増えました。その理由については、コロナ禍が一つの転機だったといいます。

「ピックルボール自体は1960年代からあるスポーツですが、ここまで爆発的に人気になったのはコロナ禍からと言われています。ソーシャルディスタンスを保ちながら、みんなで屋外でも楽しめるスポーツだったことがきっかけになって、アメリカではどんどん普及していったと聞いています」(羽澤選手)

羽澤選手が競技の一番の魅力として挙げたのは、“誰でも始めやすいこと”でした。

「やったことがない人でも簡単にラリーができます。始めるハードルがすごく低いので、誰にでも勧められるところが一番の魅力だと思っています」(羽澤選手)

テニスや卓球では、ボールに当たらないという初心者も少なくありません。しかし、ピックルボールではそんな心配はほとんどないそうです。

「ボールも卓球より大きいですし、パドルも卓球より大きいサイズなので、本当に最初でも空振りする人はほとんどいません。誰でも簡単にボールを打つことができます」(羽澤選手)

「テニスより打点が手に近いんです。手で打っているような感覚に近いので、距離感をつかみやすいんですよね。テニスほど難しくないので、初めての方でも安心して楽しめると思います」(羽澤選手)

「ダイエット目的じゃなかったのに、3〜4kg痩せました」

羽澤選手自身も、最初は競技としてではなく、趣味としてピックルボールを始めたそうです。

「最初は本当に趣味という感じでした。仕事終わりや土日にやったりする程度だったんですけれど、それでもダイエットしているつもりは全然なくて、気づいたら痩せてきた感覚がありました。3〜4kgくらいは体重が落ちたと思います」(羽澤選手)

ピックルボールは激しいスポーツというイメージはありませんが、実は運動量は十分ある競技。しかもほどよい強度で、ダイエットにもうってつけ。

「息切れするほどきつくはないですが、運動量はしっかりあります。無意識に楽しみながら汗をかけるので、ダイエットにもおすすめのスポーツだと思っています。私もピックルボールを勧めるときは、『痩せるよ』ってよく言うんです(笑)。女性には特に魅力的なんじゃないかなと思います」(羽澤選手)

「笑顔が増えて、毎日が楽しくなりました」

ピックルボールを始めてから、体だけでなく、心にも大きな変化があったといいます。

「仕事ではずっとパソコンに向かっている時間が長かったのですが、ピックルボールを始めてからはいろいろな人と関わる機会が増えました。気持ちもすごくオープンになりましたし、人と話すことも楽しくなりました。仕事でずっとパソコンに向かっていた頃と比べると、本当に笑顔が増えたなと思います。夢中になれるものができたので、毎日がすごく楽しくなりました。生活そのものが明るくなったような気がします」(羽澤選手)

意外と筋肉痛になる部位は「お尻」でした

一見すると激しいスポーツには見えないピックルボールですが、実際に始めると意外な場所が筋肉痛になったのだとか。それは下半身。

「私は最初、お尻が筋肉痛になりました。ボールがあまり弾まないので、パドルを下から入れるために自然としゃがむことが多いんです。膝を曲げる動作が増えるので、お尻の筋肉を結構使います」(羽澤選手)

コンディショニングは欠かせない。「ストレッチ+アイテム」で疲労回復

試合や練習後は、疲労を翌日に残さないためのケアも欠かしません。ストレッチやセルフマッサージに加え、さまざまなアイテムも活用しているそうです。

「もちろんストレッチやマッサージは自分でやるようにしています。あとはフォームローラーやマッサージガンも使っていますし、筋肉が軽くなるようなクリームや、試合前後に飲むサプリメントなども取り入れています」(羽澤選手)

道具やサプリメントも上手に取り入れながら、コンディション維持に努めています。

 
 
 
 
 
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毎食タンパク質を意識。でも甘いものも我慢しない

普段の食生活では、タンパク質を意識しているといいます。

「そこまで厳しく管理しているわけではないですが、毎食タンパク質を摂るようにしています。お肉や魚は優先して食べていますね。朝はタンパク質を十分に摂るのが難しいこともあるので、そういう時はプロテインに頼っています」(羽澤選手)

 
 
 
 
 
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一方、甘いものは大好きで週3〜4回くらい食べることもある羽澤選手。もちろん食べ過ぎには気を付けていますが、「なるべくフルーツで糖分を摂るようには意識しています」と、自分なりにバランスを取っていると語りました。

「ピックルボールを始める前は結構太っていて、『食べたら運動しよう』って意識していました。でも今は、それをしなくても太らなくなりました。1日1回スイーツを食べるくらいなら、特に調整することもしなくなりましたね」(羽澤選手)

体を絞るために運動を頑張っている人は、楽しみながら太りにくい体を作ることができるという視点でも狙い目のスポーツかもしれません。

プレッシャーへの対処法は「一球だけに集中する」

試合では、やはり緊張することもあります。羽澤選手は“プレッシャーへの向き合い方は今も課題”と率直に話します。

「私はまだアジアのトップ選手という立場ではないので、『絶対勝たなきゃ』というプレッシャーはそこまでありません。でも試合になると、やっぱりすごく緊張します。まだプレッシャーをはねのける方法は正直見つかっていなくて、自分の課題でもあります」(羽澤選手)

そんな中で意識しているのが、“良かった時のイメージ”と“目の前の一球”。

「練習でうまくいった時のイメージを思い出して、その一球だけに集中するようにしています」(羽澤選手)

また、体が思うように動かないと感じた時には、考え込まずにまず体を動かすことを優先。

「体がいつも通りじゃないなと思う時は焦りますが、体がほぐれれば大丈夫だということも分かっています。なので、とにかく足を動かして、姿勢を低くすることを意識しています。まずは動いて、それどころじゃないくらい体を動かした方がいいのかなと思っています」(羽澤選手)

海外トップ選手のSNSも参考に。「錦織圭選手のような存在になりたい」

トレーニングについては、海外選手のSNSを積極的にチェックしているそうです。

「ピックルボールはまだ日本では専門のトレーナーさんやトレーニング方法が少ないので、海外のトップ選手がInstagramなどに載せている動画を保存して、参考にしています。海外の選手は体も大きくてパワーがあるため、勝つためにはウェイトトレーニングは必要だなと感じます」(羽澤選手)

尊敬するアスリートとして名前を挙げたのは、テニスの錦織圭選手。錦織選手が活躍してから日本でもテニス人気が高まったため、自身もそんな存在になりたいと笑顔で語りました。

「私もピックルボールをやっている理由の一つは、スター選手になって競技を広めたいから。興味を持ってくれる人や、『自分もやってみたい』と思ってくれる人が増えたらうれしいですね」(羽澤選手)

「日本でもピックルボールは流行る! もっとコートが増えれば」

最後に、日本でピックルボールをさらに普及させるために必要なことを聞きました。羽澤選手は迷わず“コート”と答えます。

「今でもかなり速いスピードで(ピックルボールのトレンド)は広がっている感覚はあります。でも、もっと気軽にプレーできる場所が増えれば、もっともっと広がると思うんです」(羽澤選手)

現状は専用コートが少なく、利用料金も高め。予約も取りづらいのが正直なところです。とはいえ、実は専用コートがなくても、市民体育館などでプレーできるケースも増えてきました。

「バドミントンコートとサイズが同じなので、体育館でネットを低く張ってプレーしている人もたくさんいます。最近は施設側も少しずつ理解してくれるようになってきました」(羽澤選手)

「誰でも始めやすく、気づけば夢中になっているスポーツ」。羽澤選手の話からは、ピックルボールが単なるブームではなく、年齢や経験を問わず長く楽しめる生涯スポーツとして大きな可能性を秘めていることが伝わってきました。

プロフィール

羽澤未宥(はざわみゆう)

ピックルボール日本代表。小学3年生から硬式テニスを始め、高校、大学はスポーツ推薦入学で進学、大学4年生まで体育会テニス部で選手活動。初出場した国内の公式大会で、mixダブルス優勝、女子ダブルスベスト4。それ以降の国内公式大会ではすべて準優勝以上、日本初の有明で行われた国際大会では金メダルを獲得。2024年10月、日本代表選手に選抜され(女性は2人のみ)、インドの国際大会にも出場。現在日本ピックルボール業界を盛り上げる活動に従事。

公式サイト https://pickleball-miyu.com/
公式Instagram https://www.instagram.com/miyu_pickleball_hazawa/
公式YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@miyu-pickleball_channel

<Edit & Photo:編集部>