天狗倶楽部(TNG)にとって「イタイ」「暑苦しい」は褒め言葉。『いだてん』チーフ演出・井上剛が振り返る (4/4)
宮藤さんの筆があるから、役者さんもやりやすい
――「あまちゃん」のときも宮藤さんと組んでいますが、改めてどんな人だと思いますか?
いやもう、言語を絶するほど頭の良い人です。毎回、舌を巻いている。あの膨大な資料をすべて頭に叩き込んで、そこから取捨選択して、こんなお話どうでしょうと提案される。それを2、3日でやってくる。ひとつの資料で、ここまで膨らませられるのかと感心することもあれば、点在する資料をこんな風につなげられるのかと感激することもある。
登場人物のキャラクターとなると、読んだ文献、人に聞いた話から想像をめぐらせるしかないのですが、宮藤さんの想像が、あながち間違えていないのにも驚かされます。何で分かったの、ということも多い。それが資料も残っていないような一般の人にまで及びます。台本ができ、撮影の段階でご子息にお会いして話を聞くと、宮藤さんが思い描いた通りの人柄だったりする。これは、予知能力でもあるの、というレベルです。
無名の人たちを描く場合、資料だけをもとに、役者さんが演技を膨らませていくのには限界があります。宮藤さんの筆があるから、役者さんもやりやすい。そのキャラクターまで描きこむ能力には、本当に恐れ入ります。
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[第2回「坊っちゃん」のあらすじ:1月13日(日)20時〜]
この日、テレビ寄席で志ん生が語るのは、日本初のオリンピック選手となった金栗四三(中村勘九郎)の知られざる熊本での少年時代。学校まで往復12キロを走る「いだてん通学」で虚弱体質を克服した四三。軍人に憧れ海軍兵学校を受けるも不合格に。身体を鍛えても無駄と落ち込む四三だが、幼なじみのスヤ(綾瀬はるか)に励まされ、嘉納治五郎が校長を務める東京高等師範学校への進学を決意する。運命の出会いが近づいていた。
[番組情報]
『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』
《放送予定》
全47回/毎週日曜[総合]20時/[BSプレミアム]18時/[BS4K]9時
《作(脚本)》
宮藤官九郎
《音楽》
大友良英
《題字》
横尾忠則
《噺》
ビートたけし(古今亭志ん生)
《出演(キャスト)》
中村勘九郎(金栗四三)、阿部サダヲ(田畑政治)/綾瀬はるか(春野スヤ)、生田斗真(三島弥彦)、杉咲花(シマ)/森山未來(美濃部孝蔵)、神木隆之介(五りん)、橋本愛(小梅)/杉本哲太(永井道明)、竹野内豊(大森兵蔵)、大竹しのぶ(池部幾江)、役所広司(嘉納治五郎)
荒川良々(今松)、池波志乃(美濃部りん/おりん)、井上肇(内田公使)、岩松了(岸清一)、柄本時生(万朝)、大方斐紗子(金栗スマ)、小澤征悦(三島弥太郎)、勝地涼(美川秀信)、川栄李奈(知恵)、小泉今日子(美津子)、近藤公園(中沢臨川)、佐戸井けん太(春野先生)、シャーロット・ケイト・フォックス(大森安仁子)、白石加代子(三島和歌子)、髙橋洋(池部重行)、田口トモロヲ(金栗信彦)、武井壮(押川春浪)、永島敏行(武田千代三郎)、中村獅童(金栗実次)、永山絢斗(野口源三郎)、根岸季衣(田畑うら)、ピエール瀧(黒坂辛作)、平泉成(大隈重信)、古舘寛治(可児徳)、ベンガル(田島錦治)、星野源(平沢和重)、松尾スズキ(橘家圓喬)、松坂桃李(岩田幸彰)、松重豊(東龍太郎)、満島真之介(吉岡信敬)、峯田和伸(清さん)、宮崎美子(金栗シエ)、山本美月(本庄)ほか
《制作統括》
訓覇圭、清水拓哉
《演出》
井上剛、西村武五郎、一木正恵、大根仁
《公式サイト》
https://www.nhk.or.jp/idaten
<Text:近藤謙太郎/Photo:NHK提供>