ギア&アクセサリー
2019年6月12日

同じユニクロなのに、なぜこんなに違うの?錦織圭とフェデラーのテニスウェアで感じたこと│連載「甘糟りり子のカサノバ日記」#31 (2/2)

 一方、ロジャー・フェデラーはというと、シャツ、パンツともにグレーベージュとオフホワイトが基調で、布の切り替え部分には細い赤のラインを効かせています。「シック」の一言です。メンズだけれど、私も欲しくなってしまいました。なんでも1970年代や1980年代のテニスウェアにインスパイアされてデザインされたものだとか。フェデラーのキャラクターにも年齢にもあっていて、おしゃれでした。

▲4年ぶりに全仏オープンに参戦したフェデラー

 さて、ご存知の方も多いと思いますが、これらのユニクロのウェアをデザインしているのは、「クリストフ・ルメール」。フランス人のデザイナーです。

 低迷していたラコステを立て直し、2010年から2014年にはエルメスのディレクターを務め、レディースのコレクションを担当し、一気に知名度が高まりました。ユニクロとの契約は2015年の秋冬から。彼の手掛けている「Uniqlo U(ユニクロユー)」のラインは、私もよく買います。シンプルなんだけれど、シルエットにも発色にもセンスが行き届いているんですよね。

 そんなクリストフ・ルメールがどうして……。まあウェアのセンスなんて本当に個人的な好みによるもので、だからこそテニス観戦の大きな楽しみなのです。つい力が入ってしまいます……。

▲クリストフ・ルメール(写真左)

 今大会、そんなふうにウェアも含めてテニス・ウォッチングで盛り上がって、改めて思ったのは私って制服みたいな格好が好きなんだなあということ。制服という制度や思想は大嫌いですが、ファッションとしては制服的なスタイルにひかれます。

 錦織圭と2日間に渡って戦ったフランスのブノワ・ペールはラコステのウェアでした。白紺でまとめた超私好みのスタイル。どちらが勝ってもおかしくないせめぎ合いで、結局ペールは負けちゃったんですが、コートを去る時に羽織った赤いジャケットもまたかっこよかった。何時間にも及ぶ試合中ずーっとポロシャツの襟を立てたままでプレイをしていたのが不思議でした。ラコステから言われているのでしょうか。激しく走り回る競技なのに襟を立てたままでいられるのがすごいです。

▲錦織と熱戦を演じたペール

 さて、7月1日からはいよいよウィンブルドンです。この大会は白いウェアしか許されません。下着まで白を義務付けられているんだとか。メーカーや選手は大変だと思いますが、「白縛り」というルールがあると、それぞれのセンスが際立つのも事実。試合とともにウェアの観戦も楽しみにしております。

[プロフィール]
甘糟りり子(あまかす・りりこ)
神奈川県生まれ、鎌倉在住。作家。ファッション誌、女性誌、週刊誌などで執筆。アラフォーでランニングを始め、フルマラソンも完走するなど、大のスポーツ好きで、他にもゴルフ、テニス、ヨガなどを嗜む。『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』のほか、ロンドンマラソンへのチャレンジを綴った『42歳の42.195km ―ロードトゥロンドン』(幻冬舎※のちに『マラソン・ウーマン』として文庫化)など、著書多数。『甘糟りり子の「鎌倉暮らしの鎌倉ごはん」』(ヒトサラマガジン)も連載中。河出書房新社より新著『鎌倉の家』が刊行。

<Text:甘糟りり子/Photo:Getty Images>

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