ヘルス&メンタル
2023年9月21日
ランナーズハイの原因は「エンドルフィンの分泌」ではない!依存性のある“気持ちいい”をもたらす正体とは (2/3)
どんな研究内容だったか
この研究は、ドイツの国立大学であるハンブルグ大学の医学者らによって行われたものです。
それ以前の実験マウスを使った研究では、運動によって起こる反応はエンドルフィンとは無関係であり、それよりもカンナビノイド受容体の影響を強く受けることがすで既にわかっていました。
しかしながら、マウスでは幸福感などの感情を研究することはできません。今回の研究は、実験マウスに起きたものと同様の反応が人間にも起こるという仮説に基づいて行われたものです。
エンドルフィン受容体をブロックしても、ランニング時の幸福感は増した
研究では63人の被験者に、45分間のトレッドミル上での緩やかな強度のランニングを、別のセッションでは同じ時間だけのウォーキングを行ってもらいました。
すると、ランニングをした際、ウォーキングをしたときより幸福感が増し、不安感のレベルが減少したとのこと。
そしてその現象は、人為的に内在性オピオイド(エンドルフィン)の受容体をブロックしても同様に起こりました。
その代わりに、ランニングをすると内在性カンナビノイドの分泌が刺激されることも分かったと言います。
研究結果から導かれた結論
論文著者らは研究結果から導かれた結論を、以下のように要約しています。
- 運動によって起こる幸福感の高揚と不安感の軽減は、内在性オピオイド(エンドルフィン)受容体の働きと直接の関係はない
- ランニングは不安感のレベルを軽減する
- ランニングは内在性カンナビノイドのシステムを促進する
- ランナーズハイになる原因を説明する上で、内在性カンナビノイドはエンドルフィンより有力な候補である