中殿筋ストレッチのやり方|硬いとどうなる?お尻の張り・股関節との関係とほぐし方 (1/2)
長く座ったあと、お尻の横が張るように感じることはありませんか。床に座ったときに、股関節がつっぱる人もいるでしょう。こうした悩みには、お尻の横にある「中殿筋」が関わっていることもあります。
理学療法士・パーソナルトレーナーの安藤瑞樹さん監修のもと、中殿筋の働きや硬くなる原因、毎日1分から始めるストレッチのやり方と続けた変化の目安を紹介します。
<このページの内容>
中殿筋とは?どこにある筋肉?
中殿筋は、お尻の横にある筋肉です。まずは、その位置と働きを見ていきましょう。
骨盤と太ももの骨をつなぐお尻の横の筋肉

中殿筋は、骨盤の横(腸骨)から、太ももの骨の外側にある出っ張り(大転子)につながっています。
お尻の筋肉は、表面から深い部分に向かって大殿筋・中殿筋・小殿筋の順に重なっています。中殿筋の後ろ側の一部は大殿筋に覆われていますが、上部は表面近くにあります。
お尻の横、腰骨の少し下あたりに手を当てると、中殿筋の位置をイメージしやすいでしょう。
片足立ちや歩行で骨盤を支える働き
片足で立つときや歩くとき、走るときに、骨盤が左右に傾きすぎないよう支えるのが中殿筋の大きな役割です。歩くたびに働く、日常生活と関わりの深い筋肉といえます。
脚を横に開く・股関節をひねる働きもある

中殿筋は、脚を横に開く動き(外転)に関わる筋肉です。また、前側の筋線維は股関節を内側にひねる動き(内旋)、後ろ側の筋線維は外側にひねる動き(外旋)にも関わります。
中殿筋が硬くなる原因
中殿筋の硬さは、日常の姿勢や体の使い方のクセが重なって感じやすくなることがあります。硬さにつながりやすいといわれる主な要因を紹介します。
長時間座りっぱなしの姿勢が続く
デスクワークなどで座る時間が長いと、お尻まわりの筋肉を動かす機会が少なくなります。同じ姿勢が続いたあと、お尻の横にこわばりや張りを感じる人もいます。
足を組む・あぐらをかくクセ
足を組む姿勢は左右どちらかの筋肉に偏った負担をかけやすく、あぐらは股関節を外に開いた状態が続くため、どちらも中殿筋に疲労や硬さを招きやすい座り方です。
いつも同じ側で足を組むクセがあると左右で張り方に差を感じることもあるでしょう。
運動不足でお尻まわりを動かす機会が少ない
歩く量が少ない、階段よりエレベーターを使うことが多いなど、お尻まわりを大きく動かす機会が少ないことも、硬さを感じる要因のひとつと考えられます。
ランニングや下半身の運動でよく使っている
反対に、ランニングやスクワットなど下半身をよく使う運動をしている人も、中殿筋に張りを感じやすいことがあります。運動後のケアとしてストレッチを取り入れるのもよいでしょう。
中殿筋が硬いとどうなる?お尻・股関節・腰との関係
中殿筋の硬さは、お尻の横の張り感や股関節の動かしにくさとして感じられることがあります。また、中殿筋の状態と腰痛との関連を指摘する研究もあります。
お尻の横の張りや、押したときの痛みを感じる人も
中殿筋が硬くなると、お尻の横に張りやこわばりを感じる人もいます。お尻の横を指で押したときに、痛みや違和感が出ることもあるでしょう。
股関節を動かしにくく感じることも
お尻の横が張っていると、脚を開く、股関節をひねるといった動きでつっぱり感や動かしにくさを感じることがあります。床に座るときやあぐらをかくときに、違和感として気づく人もいるでしょう。
骨盤の左右バランスとの関連が指摘されることも
中殿筋は片足立ちで骨盤を支える筋肉のため、左右の状態の差と骨盤のバランスとの関連が指摘されることもあります。片側だけ張りやすい場合は、左右差を意識してケアするとよいでしょう。
腰痛との関連が指摘されることも
中殿筋の筋力が低下すると、歩行時に骨盤を安定させにくくなり、腰まわりの筋肉に負担がかかることがあります。また、中殿筋を含む股関節まわりの筋肉が硬くなると、股関節の動きを腰で補う場合もあります。
腰痛のある人では、中殿筋の筋力低下や押したときの痛みがみられやすいとする研究報告があります。ただし、これらが腰痛の直接的な原因とは限りません。
毎日1分から始める中殿筋ストレッチのやり方
中殿筋ストレッチは道具なしで、1日1分から始められます。寝ながらできる基本のストレッチを毎日続け、生活の場面に合わせてバリエーションも取り入れてみましょう。
基本|寝ながらできる中殿筋ストレッチ(仰向け)
寝る前や起きたあと、布団の上でもできる基本のストレッチです。
1. 仰向けに寝て、両脚を伸ばします。
2. 右膝を曲げて胸のほうへ引き寄せ、左手で右膝の外側を持ちます。
3. 息を吐きながら、右膝を体の左側へゆっくり倒します。

4. 右のお尻の横が心地よく伸びていると感じる位置で、30秒キープします。
5. 反対側も同様に行います。
ポイント
右肩が床から浮かないようにして、上体をねじりすぎないようにしましょう。伸びを感じにくいときは膝を押さえる手に少し力を加え、強く感じるときはゆるめて調整します。
バリエーション1|椅子に座ったまま行う
デスクワークの合間など、座ったままお尻の横を伸ばしたいときに取り入れやすい方法です。
1. 椅子に浅めに座り、背筋を伸ばします。
2. 右足首を左膝の上に乗せ、右膝を横に倒します。
3. 背筋を伸ばしたまま、息を吐きながら上体を前へ倒します。

4. 右のお尻の横から後ろにかけて伸びを感じる位置で30秒キープし、反対側も同様に行います。
ポイント
背中を丸めず、股関節から上体を折りたたむように前へ倒しましょう。中殿筋だけでなく、梨状筋などお尻のほかの筋肉にも伸びを感じることがあります。
膝を無理に押し下げず、心地よく伸びる範囲で行うことが大切です。
バリエーション2|立ったまま壁を使って行う
床に座れない場所や、立ち仕事の合間にもできる方法です。
1. 壁の横に立ち、左手を壁につきます。
2. 右脚を軸足にし、左脚を後ろへ交差させます。
3. 息を吐きながら、左側の腰をゆっくり壁のほうへ寄せます。

4. 左側のお尻の横に心地よく伸びを感じる位置で30秒キープし、反対側も同様に行います。
ポイント
腰を壁側に押し出しすぎないように注意しましょう。上体が反対側へ大きく傾くと、伸びが逃げやすくなります。
中殿筋ストレッチで期待できる効果
中殿筋ストレッチで硬さがやわらぐと、日常の動作の中で変化を感じやすくなります。
お尻の横の張り感がやわらぐ
お尻の横をゆっくり伸ばすことで、座りっぱなしのあとの張り感がやわらぐのを感じる人もいます。
股関節を動かしやすくなる
お尻の横のつっぱり感が減ることで、脚を開く・あぐらをかくなどの動作がしやすくなることが期待できます。
歩くときの脚の運びがラクに感じる人もいる
中殿筋は歩くたびに働く筋肉です。お尻まわりがほぐれると、歩くときの脚の運びが軽く感じられる人もいるでしょう。
中殿筋ストレッチはいつ・どのくらいやるといい?
左右30秒ずつ、合計1分を目安に、まずは基本の1種目から毎日続けてみましょう。
はじめの1週間ほどは「ストレッチ直後に張りがやわらぐ」といった一時的な変化を感じる人もいます。1ヶ月ほど継続すると、「歩くときの脚が軽く感じる」など、日常生活の中でも変化を感じる人もいるでしょう。
お風呂上がりなど体が温まったタイミングは筋肉を伸ばしやすく、おすすめです。寝起きは体がこわばっていることが多いため、軽めに行いましょう。左右で伸び方を比べ、硬く感じる側を丁寧に行うのもひとつの方法です。
中殿筋をほぐす方法|ストレッチと合わせたいケア
筋肉を伸ばすストレッチに対し、ほぐすケアは圧をかけて筋肉をゆるめる方法です。マッサージボールやフォームローラーを使って、お尻の横をほぐしてみましょう。
当てる位置の目安
横向きに寝るか床に座り、腰骨の少し下にある、お尻の横のふくらんだ部分にボールやフォームローラーを当てます。
当てるのを避けたい場所
太ももの付け根の外側にある骨の出っ張り(大転子)や腰骨など、骨に直接当てるのは避けましょう。当てたときにしびれや鋭い痛みを感じる場所も避けます。
圧の強さと時間の目安
両手や反対の脚で床をしっかり支えながら、体重を少しずつかけ、心地よく感じる強さにとどめます。1か所につき20〜30秒ほどを目安にし、強く押しつけたり長時間当て続けたりしないようにしましょう。
中殿筋ストレッチの注意点
中殿筋ストレッチを安全に続けるために、押さえておきたいポイントを紹介します。痛みがあるときは無理に続けないことが前提です。
心地よく伸びを感じる範囲で止め、反動をつけない
ストレッチは、心地よく伸びを感じる範囲で止めるのが基本です。反動をつけて勢いよく伸ばすと筋肉や関節を痛めるおそれがあるため、ゆっくり動かしましょう。
呼吸を止めずに行う
伸ばしている間も、ゆっくりとした呼吸を続けることが大切です。息を吐きながら伸ばすと、体の力を抜きやすくなります。
鋭い痛みがあるときはストレッチを控える
お尻の横や股関節にズキッとした鋭い痛みを感じるときは、その日のストレッチは控えましょう。痛みを我慢して伸ばすと、かえって症状を悪化させるおそれがあります。
痛みが長引く・しびれがあるときは医療機関に相談する
お尻や腰の痛みが長引く場合や、脚にしびれがある場合は、ストレッチで様子を見ず、医療機関に相談してください。
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