インタビュー
2020年3月2日

ソニーが世界最大級のスポーツ用品見本市に出展した理由とは[ドイツ現地レポ] (2/3)

スポーツ業界で展開するうえでのパートナーを探しに

―― ソニーは2019年のISPOでは、パートナーであるミツヤコーポレーションのブースにトリポーラスを展示していましたが、今年はソニーとしてブースを構え、初めて出展されました。ISPOに出展した狙いを教えてください。

山ノ井:前回は、ミツヤコーポレーション(アパレル物流を手掛ける商社)さんのブースに置かせていただく形で参加させていただいた際に、多くの方々と意見交換できたのが魅力だったため、今回はソニーとして出展しました。

―― 海外への進出を意識されるようになった。

山ノ井:前回は初期段階で、生地も数種類しかありませんでした。プロダクトも豊富とは言えませんでした。けれど、この1年間でいろいろな生地ができました。今回の展示会をきっかけに、海外で一緒に商品化を行っていただけるパートナーを見つけたいと思っています。

―― 今回出展して感じた手応えは。

小池:かなり多くの方に注目していただいています。パートナーを組みたい相手も何社か見つかり、これから交渉を進めていきます。

小池:「Sustainability Material」(サステイナブル マテリアル)ということで、響いてくださる方も多いので、そこは重要だなと感じています。

山ノ井:単なる天然素材だけではなく、余剰バイオマスで、動物も含めて誰も食べないような籾殻素材から作っていることが特徴です。あとは、トリポーラスの消臭機能の部分ですね。アパレルの世界だと、消臭に関してはケミカルな処理をされることが多いのですが、それをサステイナブルな材料で実現させたことにおもしろいと感じてもらえていると、会話をしていて実感します。

―― 日本より海外の方が意識が強いのでしょうか。

山ノ井:そうですね。海外の方だと、サステイナブルであることに注目が集まり、さらに籾殻からできていることを伝えると驚いてもらえます。好意的なコメントをたくさんいただいていますね。

環境への配慮が高まっている

―― 今年のISPO全体でも、「SDGs(持続可能な開発目標)」や「サステイナブル」といったキーワードが盛んに発信されていました。

山ノ井:昨年以上に、SDGsをキーワードにした展示が増えたと感じています。理念を同じくするパートナーと一緒に事業展開できればうれしいですね。

小池:ブースにいらっしゃった方から、化学物質、トレーサビリティ(※)など、サステナティビリティの認証をどこまでできるのかと聞かれる機会が増えています。こちらも意識を高くしてやっていかなければ、と認識を新たにしました。

(※)トレーサビリティー【traceability】製品の安全確保のため、製造過程などを明確にすること

―― 世界的なブランド力があるソニーという部分でも注目度は高いのでは。

山ノ井:来場いただいたお客様ほとんどからからは『なぜソニーがスポーツアウトドアの展示会に出展しているのか』と驚かれます。そこで、リチウムイオン電池の研究過程で生まれたことを話すと、皆様納得してくださります。

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