フィットネス
2020年11月15日

マラソン練習「バウンディングトレーニング」の効果とやり方

 陸上競技場などに足を運ぶと、短距離や跳躍競技の選手がジャンプ運動に取り組んでいることがあります。これは「バウンディング」と呼ばれ、その名の通り「バウンド=跳ねる」動きによって瞬発力や反発力の強化を目指すトレーニングです。

 マラソンなどの長距離ランナーにとっては無縁と思われる方が多いようですが、実は長距離ランナーのマラソン練習にもおすすめなのです。期待できる効果と練習方法を紹介します。

バウンディングとは

 バウンディングとは、全身を使い、地面を力強く反発させることで大きく前へと進むジャンプトレーニングのひとつ。“速く”走るという点でとても有効なため、短距離走者にとってはなじみ深いトレーニング方法です。

 では、長距離走者にはどのようなメリットがあるのか。具体的には、以下のようなものが挙げられます。もし現在抱いている課題と重なるようなら、バウンディングがその打開策になるかもしれません。

・ストライドの広い、大きなランニングフォームが獲得できる
・上下動の少ない、スムーズで効率的な走りに繋がる
・着地反発を最大限に生かし、力強く走れるようになる
・四肢が連動した無駄のない動きが身につく

 距離に関わらず走る種目においてレベルアップを果たしたいと考えているなら、ぜひバウンディングを日々のトレーニングに加えてみてください。

バウンディングの練習方法

 バウンディングはいくつかの種類に分けられますが、ここでは基本的なものを手順に沿って取り上げます。

バウンディングトレーニングのやり方

1.加速区間を設けて走る
2.地面を力強く押してジャンプする
3.前方の足を着地する瞬間に反発させる
4.すばやく左右の足・腕を入れ替えて逆側での反発動作に移行する
5.30~50m(加速区間を除く)を目安に行い、何セットか繰り返す

バウンディングの効果を高めるポイント

・筋力に頼らず地面を跳ね返す
・一定のリズムを維持する
・足を前後に大きく開いて跳ぶ
・足が開かないように注意する
・前足の膝は90度を意識する
・できるだけ上下動を抑える
・上半身を大きく使う
・四肢を同時に動かす
・着地時間を短く、滞空時間を長く

 バウンディングは常に片足へ大きな負荷が伴います。そのため、連日など高頻度での実施は避けましょう。なお、今回は「前に大きく・すばやく」動くバウンディングを取り上げましたが、以下のようにバリエーションを持たせることもできます。

▲両足立ちの状態から腰を落とし、地面を押しだしてジャンプするバリエーションも

練習のバリエーション

・一歩ごとの距離を決め、それに沿ってジャンプする
・やや上方向に、踵着地から足裏全体の動きで反発させるようジャンプする
・加速区間を設けず、両足立ちの状態からジャンプして開始する

 動きが小さい、反発力を活かせていない、腕と足の動きがバラバラ。そういった課題をお持ちの方は、ぜひバウンディングに取り組んでみてください。できれば正しく動作できているか、第三者に見てもらう、動画を撮るなどして確認するのがおすすめです。

 より大きな反発力を獲得したいなら、あえて反発の少ない不整地(芝生など)で行ってみる。あるいは、しっかり安定して接地できているか確認したいなら、裸足で行ってみるのもよいでしょう(裸足になるとさらに負荷が上がるので怪我に注意)。バウンディングは距離を問わず、あらゆる“走る”競技を行う人にメリットがあるトレーニングです。

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。また、ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】https://www.run-writer.com

<Text & Photo:三河賢文>