フィットネス
2020年10月24日

マラソン練習にとり入れたい「クロスカントリーランニング」の効果とやり方

 ランナーの皆さんは、いつもどんなコースでトレーニングを行っているでしょうか。走り慣れたロードや陸上競技場など、走る場所は身近にたくさんあります。私は主に自宅付近を走っていますが、いくつかトレーニングメニューや気分に合わせたコースを用意しています。特に最近よく使っているのが、森など自然に囲まれた場所です。

 こうした不整地を走るトレーニングを「クロスカントリーランニング(クロスカントリー走)」と呼びますが、ランナーとしてレベルアップを目指すうえでとても多くのメリットがあります。今回は、クロスカントリーランニングの特徴や取り組み方を紹介します。

クロスカントリーランニングのメリット

 森や丘、あるいは公園内の芝生エリアなど、自然な起伏のある不整地を走る「クロスカントリーランニング」。取り組んだことのない人にとっては、どんなメリットが得られるのかイメージしにくいかもしれません。しかし実際には、ランニングスキルを向上させる非常に有効なトレーニングです。

安定的でバランスのいい走りが身につく

 地面は接地が不安定になります。最初は接地したときに足がグラついたり、身体がブレるかもしれません。しかし、クロスカントリーランニングを続けていくと体幹が安定し、接地も丁寧に足裏全体を使って走ることができるようになるでしょう。バランスが向上することで捻挫などが起きにくくなるほか、関節や筋肉の一部にだけ負荷が集中することによる怪我も少なくなるはずです。

効率的なランニングフォームを獲得

 不整地では着地時に反発がないため、思うように走れません。速く走るためには、しっかり地面を押して推進力を自ら生み出すことが必要です。しかし筋力だけに頼っていては、すぐに疲労してしまうでしょう。最小限の力で最大限の走りを得る、効率的なランニングフォームの獲得に繋がります。

心肺機能の強化

 たとえ傾斜が急ではなくても、起伏のあるコースを走れば通常より心肺に負荷が掛かります。同じ距離・同じペースで走ってみると、おそらくクロスカントリーランニングの方がキツいと感じられるでしょう。インターバルのような追い込んだトレーニングを行わなくても、心肺機能の強化を目指すことが可能です。

 また、柔らかい地面を走るため、着地時に脚が受ける衝撃が少ないのも特徴のひとつです。ロードのような固い路面を走るのと比べて、怪我のリスクも抑えることができます。

クロスカントリーランニングのやり方

コースを見つける

 まずは、クロスカントリーランニングに適したコースを見つけましょう。私は幸いにも近所に森や里山、田んぼ道などがあります。しかし都市部だと身近にコースがないかもしれません。そんなときは、河川敷や大きめの公園に足を運んでみてください。意外と気がつきにくいですが、意外と未舗装で距離の取れる場所があるものです。

 東京都内なら代々木公園がおすすめです。多くの方々はアスファルトで走っていますが、敷地を囲むフェンスに沿って数kmの不整地が繋がっているのです。もちろん週末など時間を確保して、自然の多いエリアに行ってみるのもよいでしょう。

慣れないうちは怪我に気をつける

 クロスカントリーランニングは脚への負担が少なく、怪我のリスクが少ないとお伝えしました。しかし、慣れないうちに攻めた走りをしてしまうと、柔らかい地面でうまく接地できずに足首を捻ったり、木の根に気づかず躓いて転倒するかもしれません。そのため、まずはゆったりしたペースで走ることから始めてください。たとえ慣れてきても、初めて走るコースでは足場の状態を走って確認してみることが大切です。

通常のトレーニングメニューを置き換える

 ジョギングやペース走、LSD(ロングスローディスタンス)、あるいはインターバルなど、いつもロードや競技場などで行っているメニューを場所だけ置き換えてみてください。私は近くにある森が周回700mのため、ペース走やインターバルによく利用します。また、田んぼ道などを繋いで数kmの距離が取れるコースではLSDを行っています。ロードでのトレーニングを組み合わせ、最後にゆっくり疲労回復の目的で走りに行くこともあります。

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自然に囲まれて清々しいランニングを楽しもう

 クロスカントリーランニングは、いつもと違った走ることの楽しみも提供してくれるでしょう。自然の中を走っていると周囲から虫や鳥の声、葉音などが聞こえてきて清々しい気分になります。木陰の多いコースなら、暑い時期でも快適に走れるはず。こうした楽しさは、ランニングに取り組む新しいモチベーションにも繋がります。

 なお、私は子どもへの指導でもクロスカントリーランニングを行うことが少なくありません。小さい頃から全身の筋力を鍛え、バランス能力を整えることは非常におすすめです。お子さんがいれば、一緒に走ることでコミュニケーションの機会にも繋がるでしょう。ぜひ近くにコースを見つけて、クロスカントリーランニングに挑戦してみてください。

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[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。また、ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】https://www.run-writer.com

<Text & Photo:三河賢文>