2023年12月12日

どうする?ダイエット中の飲み会対策!太らない方法を栄養士に聞いた

お酒の席も増えてくるシーズン、「ダイエット中だから……」と断りを入れるのは難しいですよね。

筋トレやランニングでボディメイクを行っている人や、食べすぎ飲み過ぎの季節に太りたくない人のために、ダイエット中に体脂肪を増やさない食事方法を、管理栄養士の板橋里麻さんに伺いました(初出:2017年10月)。

今回教えてくれるのは、管理栄養士の板橋里麻さん

ダイエット中に意識するポイントは2つ

--ダイエット中の食事では、どのような点に気をつける必要がありますか?

ダイエット中に意識することは大きく分けて二つあります。ひとつ目は、代謝のいいカラダを作ること。ふたつ目が、カロリーコントロールをすることです。

--代謝のいいカラダを作るための食事法などはありますか?

水、ビタミン、ミネラル、アミノ酸 (タンパク質)、基本的にこれら4つがカラダから不足しているとエネルギー代謝は悪くなっていきます。ビタミン、ミネラルは、野菜や果物、キノコ、海藻類などに、アミノ酸はお肉や魚、卵、大豆などのタンパク源に多く含まれています。これらをバランス良く食べることが大切です。エネルギー代謝が悪いと、食べたものがエネルギーに変換されにくく、脂肪となり蓄積されていきます。

--最近、糖質制限ダイエットが流行しているように、糖質は摂らずにビタミンやミネラルを重点的に摂ればよいということですか?

いいえ。糖質は代謝のサイクルを回すガソリンのような役割を担っています。ですので、糖質を全く摂らないというのは、かえって代謝の悪いカラダを作ってしまうのです。また、代謝のサイクルが回らなくなった場合、カラダは筋肉を減らしてカバーしようとします。そのため、長期的に極端な糖質制限をしてしまうと、筋肉量が低下し、代謝が悪くなり、結果的に痩せづらいカラダになってしまうんです。

--糖質は全く摂らないようにするのではなく、ビタミンやミネラルを含んだ食材と一緒にバランスよく摂る必要があるということですね。

そうですね。バランスよく摂るというのが、食事において最も重要になります。また、それぞれをコンスタントに摂ることが必要になります。たとえば、市販されているビタミンドリンクには、ビタミンが大量に含まれていますが、一度に大量のビタミンを摂取しても、人間のカラダは体内に溜めておくことができず、余分なものは数時間で体内から出ていってしまうのです。なので、ビタミンドリンクは小分けにして何回かで飲む方が、実は効率的だったりするのです(笑)。

--夜にお鍋料理で1日分の野菜をまとめて摂ることがあるのですが、それもあまりよくないということですね(笑)。

ん?あまりオススメはできませんね。ビタミンドリンク同様、摂り溜めができないので、まとめて摂っても代謝に使われず体外に出ていきます。1日に必要な摂取量で考えるのではなく、1食ごとにバランスを取りながら摂取していく方がよいでしょう。なので、忙しい朝もできるだけ何か食べることが理想です。たとえば、バナナだけでも構いません。バナナには、ビタミン、ミネラル、糖質といった、代謝のサイクルを良くする栄養素が多く含まれています。また、そこに目玉焼きを一つプラスするだけでも大きな違いがあります。卵には、ビタミン、ミネラル、タンパク質が含まれているため、忙しい朝でも簡単にできる卵料理は非常にオススメです。

飲み会でカロリーコントロールを行えば体重は増えない

--代謝のいいカラダ作りの他に、ダイエット中に意識することはありますか?

冒頭でもお話した通り、カロリーコントロールが重要になります。体重が増える人は、まず、カロリーを摂り過ぎていないかを見直す必要があります。体重が増えてしまう人の多くは、摂取カロリーが消費カロリーを上回っている、つまりはカロリーを過剰に摂取している状態なのです。

--年末に向けお酒の席など、外食が増えてくる方が多いと思いますが、その際のカロリーコントロールはどのように行うことが良いのでしょうか?

まずは、メニュー選びが重要になりますよね。お酒の席ではどうしても揚げものや脂っこいものが多くなりがちです。居酒屋でもメニュー選びを工夫するだけで、余分な脂質をカットできます。また、外食をすると、どうしても塩分を多めに摂り過ぎてしまいます。その場合、塩分を外に出す役割のある、カリウムが含まれた食材を一緒に摂るといいです。

--たとえば、どのようなメニューですか?

枝豆、刺身、湯豆腐、鍋料理、やきとり、タコ、イカ、エビなどを使用したメニューですかね。カリウムは、主に野菜や果物、海藻類などに多く含まれています。なので、サラダや和え物などは一品注文したいですね。

--他にもメニュー選びで意識するといいことはありますか?

調理方法によってもカロリーが変化してくるので、その点は意識するとよいでしょう。揚げ物よりは炒め物、炒め物よりは蒸し物や焼き物が低カロリーになります。また、食材の部位によってもカロリーが異なります。豚肉であれば、バラよりロース、ロースよりもも、ももよりヒレが低脂質、低カロリーとなります。鶏肉であれば、皮を除くだけでもカロリーに差が出ますよ。

--なるほど。食べる順番が重要!という話をよく聞きますが、その点も意識することで違いはありますか?

そうですね。野菜など食物繊維の多い食材から摂ることで、血糖値の上昇が緩やかになります。すると、脂肪細胞への吸収が緩やかになり、結果的に太りにくくなります。また、血糖値の急激な上昇を防ぐためにも、早食いは禁物となります。早食いや炭水化物に偏った食事は、急激に血糖値を上昇させ、太りやすくなったり、食後眠気におそわれたりするのです。血糖値の上昇と下降が激しいと、集中力が欠け、パフォーマンスにも悪影響がでます。ビジネスマンやスポーツをしている人などは、特に注意するとよいでしょう。

--バランスのよい食事とカロリーコントロールをうまくこなせば、運動は必要ないですか?

いいえ。ダイエットをする上で、食事の管理以外にも、適度な運動は必要です。運動をしないと、筋肉量が落ちてしまいます。筋肉量が落ちると基礎代謝が下がるため、かえって痩せづらくなったり、リバウンドのしやすいカラダになってしまいます。なので、ダイエット中は、食事の管理とともに、適度な運動も行うことが理想です。

--最後に「この一品は食事に入れておけ!」という食材を教えてください。

難しいですね(笑)。いろいろな食材をバランスよく摂る必要は当然あるのですが、強いて言えばブロッコリーですかね。不足しがちなビタミンやミネラルなど、代謝を高めるための栄養素が多く含まれているのでオススメです。

関連記事:なぜブロッコリーは筋トレ民に人気?栄養素、効果的な食べ方、1日の摂取量、料理のコツを栄養士に聞いてみた

【プロフィール】
板橋里麻 (いたばし・りま)
株式会社たべかた代表。岐阜県内の小中学校で栄養教諭として食育の現場に携わり、その後は健康ビジネスを展開するベンチャー企業にて、ダイエットカウンセリング業務やウェブコンテンツ企画、イベントの企画・運営を行う。2016年に株式会社たべかたを設立。多数の管理栄養士が登録しており、自社で健康事業を行いながら、企業のレシピ開発や商品開発、コンテンツ企画、健康事業のコンサルなどを行なっている

<取材協力>
delifas! (delifas!キッチン&サロン)
「おいしく食べるファスティング」をテーマに、管理栄養士が食材の厳選から調理まで行った特別なファスティングメニューを提供。ひとりひとりの目標やライフスタイル、体質などに合わせた、より詳細なコーチングを行う
【公式ホームページ】http://www.delifas.com

<Interview:福田悠/Text:長田楓/Photo:長田楓、delifas! 提供>