高カカオ(ハイカカオ)チョコレートを食べるメリットと効果的な食べ方[栄養士監修] (2/2)
チョコレートの原料であるカカオには、良質なポリフェノール(カカオポリフェノール)がたっぷり含まれ、カカオ豆の乾燥重量の約10%も占めています。これはポリフェノールを含む食品の中でもダントツ。
「ポリフェノールの健康効果としてまず、抗酸化作用があげられます」と解説してくれるのは、チャーハン管理栄養士として多くのメディアで活躍し、MELOSでもおなじみの佐藤樹里さん。
「カカオに含まれるポリフェノールの抗酸化作用によって、老化の原因物質「活性酸素」の働きを抑えてくれたり、血圧の調整や、悪玉コレステロールの酸化を防いで動脈硬化を予防する働きが期待されます」と、カカオに含まれるポリフェノールの優れた抗酸化作用に期待が集まるといいます。
「また、カカオには「テオブロミン」という苦味成分が含まれており、セロトニンの働きを助け、気持ちを落ち着きリラックスさせる効果も期待できるといわれています」とも。
テオブロミンとは
テオブロミンは、カカオの学名であるテオブロマ(ギリシャ語で「神様の食べ物」の意味)に由来し、自然界ではほぼカカオのみに含まれる成分で、大脳皮質に作用して集中力を高め、自律神経を調整します。
さらに中枢神経を穏やかに刺激して血行を促進し、認知機能や記憶力の向上やストレスを緩和する働きをします。
甘くてほろ苦いチョコレートを食べるとなぜか心がほぐれてちょっぴり幸せな気持ちになりますが、幸せホルモンのセロトニンの働きを助けてくれているからだったんですね!
食べて痩せる⁉ 高カカオ(ハイカカオ)チョコレートの効果的な食べ方
カカオポリフェノールには食物繊維も豊富で、腸内環境を整えて便通を促す作用があり、ダイエットの大敵である便秘を改善してくれます。
また、前述したとおり、血液中のコレステロール値を正常化する作用によって基礎代謝アップが期待でき、基礎代謝を高めてエネルギー消費されやすくなることでダイエットに有利に働きます。
では、1日にどれぐらいの量の高カカオ(ハイカカオ)チョコレートを食べればいいのか。食べるのにいいタイミングはあるのか?
「まずは嗜好品として、食事バランスガイドを参考に1日200kcal程度の量になるようにしましょう」と、佐藤さん。
チョコレートの種類により多少異なりますが、たとえばロッテの『カカオの恵み72%』であれば1枚(標準4g)あたり24kcalなので、約8~9枚となります。
食べるタイミングとしては、「一度に食べるのではなく、午前中の間食に、午後の間食になどと、分けて食べることをおすすめします」とのこと。
また、ポリフェノールとともに食物繊維も豊富に含む高カカオ(ハイカカオ)チョコレートは、食事の30分ほど前に食べれば、野菜に含まれる食物繊維などを先に摂取することで、食後血糖値の上昇を防ぐ「ベジファースト」と同じ効果が期待できるでしょう。
なお、筋トレやランニングなどのトレーニングへの効果としては、カカオポリフェノールの抗酸化作用の活性酸素除去により疲労回復が期待できます。
高カカオ(ハイカカオ)チョコレートにはカフェインも含まれているので、運動時の集中力アップにも役立ちます。
高カカオチョコレートと高カカオココアパウダー、効果に違いは?
ところで、同じカカオを原料とするココアにも高カカオ(ハイカカオ)チョコレートと同じ効果があるのでしょうか。
「やはりカカオに含まれるポリフェノールの優れた抗酸化作用に期待が集まります。ココアパウダーでも同様のメリットは得られます。ただし、無糖のピュアココアを選ぶようにしましょう」と、佐藤さん。
寒い日に飲む甘いココアは、カラダの中からじんわり温まってやっぱり幸せ気分にしてくれますよね。砂糖の入れすぎには注意して、ほろ苦さを楽しむのもいいかもしれませんね!
高カカオ(ハイカカオ)チョコレートのデメリットや注意点したいこと
高カカオ(ハイカカオ)チョコレートのいいことばかりを紹介してきましたが、デメリットももちろんあります。
高カカオチョコレートは脂質・カロリーともに高め
適量の摂取であれば、健康や美容、ダイエットからトレーニングまで、さまざまな効果が期待できます。
しかし、過ぎたるは及ばざるがごとし、食べ過ぎには要注意です。高カカオ(ハイカカオ)チョコレートは、低GI食品ですが、脂質やカロリーも低いという訳ではありません。
むしろ、一般的なチョコレートに比べると、脂質・カロリーともに高いのがデメリットです。
なので、高カカオ(ハイカカオ)チョコレートの食べ過ぎは、脂質やカロリーを取り過ぎてしまうおそれがあります。
「カロリーや脂質を摂りすぎてしまうので、やはり食べすぎはNG! あくまで嗜好品だということを忘れないようにしましょう」と、佐藤さん。
うれしい効果がいっぱいでも、高カカオ(ハイカカオ)チョコレートはサプリメントではありません。“おやつ”として楽しみながら食べたいものですね。
そして最後に、カフェインについてのおはなし。
チョコレートにはコーヒーと同じく、眠気を覚ますカフェインが含まれています。
ドリップコーヒー100mLあたり60mgのカフェイン量に対し、高カカオ(ハイカカオ)チョコレート100gあたり70~120mg(一般的なチョコレートでは25~35mg)も含みます(※1)
(※1)厚生労働省「高カカオを謳ったチョコレート」調査より
こう見ると、高カカオ(ハイカカオ)チョコレートのカフェイン量は多いように見えます。しかし、コーヒーはカップ1杯飲みますが、チョコレートを一度に100g(一般的な板チョコレートで約50g程度)も食べることはなく、せいぜい1かけ(約2~40g)です。
しかしその逆に、カカオには安眠を助けるGABA(γ-アミノ酪酸)やマグネシウムを豊富に含み、寝る前のチョコレートで安眠効果が高まるといわれています(※2)
(※2)江崎グリコ「睡眠実態とナイトチョコレートに関する調査」
ただし、くれぐれも食べ過ぎには注意! です。また、食べたあとの歯磨きも忘れずに!
監修者プロフィール
佐藤樹里(さとう・じゅり)
管理栄養士。フィットネスクラブにて水泳インストラクター兼管理栄養士として勤務後、フィリピン留学を経てカナダ・バンクーバーへ渡航。帰国後はアスリート向けの食堂と老人ホーム厨房でのWワークを経てスポーツ栄養系健康会社に転職。その後、「アスドリファクトリー」代表として独立。好きな食べ物:チャーハン。趣味:チャーハンめぐり・筋トレ。日本一チャーハンを愛する管理栄養士としても人気で、TV、ラジオなどのメディア出演多数。2021年7月、チャーハン愛の詰まったレシピ本『うちで作るチャーハンがウマい!』(池田書店)を上梓。
【公式Twitter】 https://twitter.com/jurijapan1
<Text&Edit:京澤洋子(アート・サプライ)>