
ブロッコリースプラウト、食べ過ぎるとデメリットはある?スルフォラファン研究の医師に聞く (1/2)
ブロッコリースプラウトは、スーパーフードとして注目されている野菜のひとつ。抗酸化作用のある「スルフォラファン」が豊富で、デトックスやアンチエイジング、代謝アップなど、健康・美容の両面で人気を集めています。
でも、「体に良い」と聞くとつい毎日たくさん食べたくなってしまうもの。実際のところ、ブロッコリースプラウトを食べ過ぎるとどうなるのか? 栄養バランスや体への影響はないのでしょうか。
ブロッコリースプラウトの研究をしており、スルフォラファンに関するメディア出演も多い、用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニックの菊池真大先生の監修のもと、見ていきます。
ブロッコリースプラウトとは? その栄養と注目成分「スルフォラファン」
ブロッコリースプラウトは、ブロッコリーの発芽から7日ほどの新芽を指します(ブロッコリースーパースプラウトの場合は新芽3日目)。
成長前の段階であるため、成熟したブロッコリーよりも栄養素や抗酸化成分が高濃度に含まれているのが特徴です。近年では、デトックスや抗酸化、アンチエイジングを目的とした食材として注目されています。
ブロッコリースプラウトには、以下のような栄養素が豊富に含まれています。
ビタミンC:強い抗酸化作用を持ち、コラーゲン生成や免疫機能をサポート
ビタミンK:血液凝固や骨の形成に関与
葉酸:細胞分裂・DNA合成に不可欠。妊娠中の女性にも重要な栄養素
食物繊維:腸内環境を整え、血糖値上昇を緩やかにする
カリウム・カルシウム:体内の電解質バランスや筋肉機能の維持に関与
これらに加えて、ブロッコリースプラウトの最大の特徴は「スルフォラファン」という成分です。
スルフォラファンとは?
スルフォラファンは、ブロッコリーなどアブラナ科植物に含まれるイソチオシアネート系のファイトケミカル(植物由来の抗酸化物質)の一種です。以下はスルフォラファンの主な作用です。
●抗酸化・抗炎症作用
スルフォラファンは、体内で抗酸化酵素を活性化し、活性酸素による細胞ダメージを防ぐ働きを持ちます。この作用は、生活習慣病・老化・肌トラブルの予防に関与します。
●解毒(デトックス)促進作用
肝臓の働きをサポートし、有害物質や余分な活性酸素の排出を助けます。このため、「肝機能を改善する食材」としても注目されています。
●代謝・脂肪燃焼のサポート
スルフォラファンはエネルギー代謝をサポートし、脂質代謝を促進するという報告もあります。内臓脂肪の蓄積抑制や血糖コントロールへの寄与が期待されています。
●脳機能・神経保護作用
近年の研究では、スルフォラファンが神経細胞の酸化ストレスを軽減し、うつ症状や認知機能低下を緩和する可能性も報告されています。(※1)
よく嚙んで生で食べること
ブロッコリースプラウトには、成熟ブロッコリーの10〜20倍のスルフォラファン前駆体「グルコラファニン」が含まれています。
このグルコラファニンは、スプラウトをよく噛んだり刻んだりすることで「ミロシナーゼ」という酵素と反応し、活性型のスルフォラファンに変化します。
そのため、加熱しすぎず、生または軽い加熱で摂取することが推奨されています。
体にいいのは分かるけれど……食べ過ぎるとどうなる? 気になる体への影響
ブロッコリースプラウトは健康効果の高い食材ですが、「体にいいから」といって大量に摂取するのはおすすめできません。含まれる成分の特性や、体の代謝バランスを考慮すると、過剰摂取によって思わぬ不調を招くことがあります。
ここでは、食べ過ぎで起こりうる代表的な影響を整理します。なお通常の範囲内で食べ続けても危険性はなく、「非常に大量に食べ続けた場合」のデメリットとなります。
胃腸への負担
ブロッコリースプラウトには食物繊維やファイトケミカルが豊富に含まれていますが、消化器の弱い人や普段から野菜を多く摂らない人が一度に多量に食べると、腹部膨満感、下痢、ガスの増加といった症状が出る場合があります。
とくに生で食べる場合、胃酸分泌が少ない人では未消化の成分が残り、腸内で発酵してガスが発生しやすくなります。過剰な食物繊維摂取は、栄養吸収を妨げることもあるため注意が必要です。
肝臓への負担
スルフォラファンは解毒酵素を活性化し、肝臓の代謝を促進する働きを持ちます。ただし、サプリメントなどで高濃度に摂取する場合は、過剰摂取にならないよう、用法用量を守って飲むようにしましょう。
アレルギー反応が出てしまう可能性
ブロッコリーやキャベツなどアブラナ科植物に対するアレルギーを持つ人は、ブロッコリースプラウトでも同様の症状が出ることがあります。
口腔内のかゆみ、喉の違和感、胃の不快感などが見られた場合は、摂取を中止し、必要に応じて医師に相談しましょう。
栄養バランスの偏り
ブロッコリースプラウトばかりを食べていると、他の野菜やたんぱく源の摂取が減り、結果的に栄養バランスが崩れる可能性があります。
スルフォラファンは確かに強力な抗酸化成分ですが、ビタミンAやE、オメガ3脂肪酸など、他の栄養素との相互作用によってより高い健康効果が得られます。
偏食にならないよう、主食・主菜・副菜を意識した食事にブロッコリースプラウトを“添える”のが理想です。
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