なぜ愛着障害があると恋愛で悩みやすい?
2025年10月30日

【専門家監修】なぜ愛着障害があると恋愛で悩みやすい?その理由と、今日からできる対処法 (5/7)

なぜこうした反応をしてしまうの? 相手の反応に敏感になりすぎる理由

愛着に不安がある人は、相手の些細な表情や言葉の変化を敏感に察知します。これは「見捨てられないか」を常に監視しているためです。

よくある思考パターン

  • 「今日は返信が短い→嫌われたかも」
  • 「デート中にスマホを見た→自分といてつまらないのかも」
  • 「ため息をついた→自分のせいで疲れさせている」
  • 「今日は優しくない→気持ちが冷めたのかも」

これは「心の理論」が過剰に働いている状態です。相手の心を推測する能力は大切ですが、それが過剰になると、実際には存在しない「拒絶のサイン」を読み取ってしまいます。

また、過去の関係での傷つき体験から、「また同じことが起きるのでは」と予期不安を抱えています。この不安が、相手の行動を否定的に解釈させてしまうのです。

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今日からできる、困った愛着スタイルとの向き合い方

愛着スタイルは変えられます。すぐに劇的な変化は難しくても、日々の小さな実践の積み重ねで、より安定した恋愛ができるようになります。不安や不満を抱え込まず、適切に伝えましょう。

ただし、伝え方によっては相手を責めてしまい、関係が悪化します。以下の方法で伝えるのがおすすめです。

「私(アイ)メッセージ」で伝える

「あなたが悪い」ではなく、「私はこう感じる」と伝えましょう。以下の3ステップで伝えるのがオススメ。

事実:「昨日から連絡がないね」
気持ち:「心配してるよ」
お願い: 「忙しいときでも一言『今忙しい』って教えてもらえると安心できるんだけど」

× 悪い例「なんで返信してくれないの!」「あなたは冷たい」
○ 良い例「返信がないと不安になるんだ」「もっとつながりたいと思ってる」

使える一言フレーズ集

  • 「ちょっと不安になっちゃったんだけど、話してもいい?」
  • 「責めてるわけじゃないんだけど、正直な気持ちを伝えたくて」
  • 「あなたが悪いんじゃなくて、私がこういうふうに感じちゃうんだよね」
  • 「一緒に解決策を考えたいんだけど、どうかな?」
  • 「私のわがままかもしれないけど、聞いてもらえると嬉しい」

伝える勇気を持つことで、お互いの理解が深まり、関係が安定します。

自分の境界線を持つ。上手な頼り方と断り方を学ぼう

愛着に不安がある人は、境界線が曖昧になりがちです。相手に合わせすぎて自分を失ったり、逆に壁を作りすぎて孤立したりします。

●上手な頼り方

不安型の人は「見捨てられたくない」ため、本当は辛くても「大丈夫」と言ってしまいます。回避型の人は「人に頼るのは弱い」と感じて、一人で抱え込みます。

しかし、適度に頼ることは、健全な関係を築くために必要です。

  • 「実は今日、すごく疲れてて。少し話を聞いてもらえる?」
  • 「一人でやろうとしてたんだけど、助けてもらえると嬉しいな」
  • 「ちょっと不安なんだけど、側にいてくれる?」

小さなことから頼る練習をしましょう。そして、助けてもらったら「ありがとう。助かった」と伝えます。

●上手な断り方

逆に、相手の要求に全て応えようとすると、疲弊します。自分のキャパシティを超えるときは、断る勇気も必要です。

  • 「今日は疲れてるから、明日会うのはどうかな?」
  • 「それは難しいけど、こっちなら協力できるよ」
  • 「ごめんね、今は一人の時間が欲しいんだ。明日連絡してもいい?」

断ることは拒絶ではありません。自分を大切にすることで、長期的には関係が安定します。

不安な気持ちを整えるセルフケアを行おう

恋愛での不安に飲み込まれそうなとき、自分で気持ちを整える方法を持っておくと安心です。

●呼吸法で今ここに戻る

不安になると、呼吸が浅く速くなります。意識的にゆっくり呼吸することで、副交感神経が働き、落ち着きます。

●メモに書き出す

頭の中でぐるぐる考えていると、不安が増幅します。紙やスマホのメモに書き出すことで、客観的に見られます。

「今、何が不安なのか」→「それは事実? それとも想像?」→「最悪の場合どうなる?」→「できることは何?」

書くことで、漠然とした不安が具体的になり、対処しやすくなります。

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●行動を変える

不安なときは、その場でじっとしているより、軽い運動や好きなことをすると気分が変わります。

  • 散歩に出る
  • 好きな音楽を聴く
  • 友達と電話する(恋愛以外の話題で)
  • ストレッチやヨガをする
  • 好きな飲み物を丁寧に淹れて飲む

「恋愛だけが人生じゃない」と思い出させてくれる活動が、不安を和らげます。

●自分に優しい言葉をかける(セルフ・コンパッション)

不安型の人は、「またやってしまった」と自分を責めがちです。回避型の人は、「素直になれない自分はダメだ」と感じます。

そんなときは、自分に優しい言葉をかけましょう。

「不安になるのは当たり前。過去に傷ついた経験があるから。自分を責めなくていいよ」
「今日はよく頑張った。少しずつでいいんだよ」

親友に語りかけるように、自分自身を励ます練習をします。

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