毒親育ち、逆に「メンタルが強い」説はホント?医師監修 (4/4)
毒親育ちのメリットとは? 視点を変えて考えてみる
ここまで、毒親育ちの「強さ」の影の部分について触れてきました。しかし、つらい経験を経たからこそ得られたものがあるのも事実でしょう。
それを「メリット」と呼ぶことに抵抗がある方もいるかもしれませんが、自分が身につけてきた力を肯定的に捉え直すことは、回復への一歩になり得ます。
観察力・洞察力が身についた
親の機嫌や場の空気を読むことで生き延びてきた経験は、鋭い観察力として残っています。人の微妙な表情の変化、声のトーン、言葉の裏にある感情を読み取る力は、対人関係やビジネスの場面で大きな強みになります。
カウンセラー、教師、医療従事者、営業職など、人と関わる仕事で活躍している毒親育ちの人が多いのは、こうした能力が活かされているからかもしれません。

共感力が高い
自分自身がつらい経験をしてきたからこそ、他者の痛みに寄り添える力があります。表面的な励ましではなく、本当の意味で相手の気持ちを理解できる。この共感力は、人間関係において大きな財産です。
「あなたに話を聞いてもらえて救われた」と言われた経験がある方も多いのではないでしょうか。
逆境に強い
嫌な経験をしてきたからこそ、多少の困難では動じない強さがあります。この胆力は、人生のさまざまな場面で助けになります。
自分で考え、行動する力が身についた
誰かに教えてもらえなかった分、自分で学び、自分で判断する習慣が身についています。
マニュアルがなくても動ける、前例がなくても道を切り拓ける、他者の経済力に依存せず自立できている。こうした自立性は、変化の激しい現代社会において貴重な能力です。
反骨精神・向上心がある
「親のようにはなりたくない」「この環境から抜け出したい」という思いが、強い向上心や反骨精神につながっていることがあります。ハングリー精神を持って努力を重ね、社会的に成功するためには欠かせない気質です。
危機管理能力が高い
たとえネガティブな性格だと悩んでいても、それをリスク管理能力として活かすこともできます。
プロジェクトの落とし穴を事前に見つける、トラブルに備えて準備をしておくなどの姿勢は、仕事において高く評価されます。

自分と向き合う力がある
毒親育ちであることを自覚し、その影響について考えている時点で、あなたには「自分と向き合う力」があります。これは誰にでもできることではありません。
過去を振り返り、自分の行動パターンや感情の癖を理解しようとする姿勢は、心理学で「内省力」と呼ばれ、精神的な成長において非常に重要な能力とされています。
身につけざるを得なかった「強さ」だが、それが「今の自分」を支えてくれている
大切なのは、これらの能力を「あんな経験をしたから仕方なく身についたもの」としてだけ捉えるのではなく、「今の自分を支えてくれている力」として認めてあげることです。
同時に、その「強さ」で自分が苦しくなっていないか、定期的に確認することも必要です。強くあり続ける必要はありません。弱さを認め、人に頼ることを学ぶことも、また別の意味での「強さ」です。
もし幼少期の経験による生きづらさを感じているなら、カウンセラーや心理士などの専門家に相談することも選択肢のひとつです。ぜひ頼ってみてください。
監修者プロフィール
なかざわ腎泌尿器科クリニック
院長 中澤佑介
金沢医科大学医学部医学科卒業。「患者さんに近い立場で専門的医療を提供したい」という思いで2021年、なかざわ腎泌尿器科クリニックを開設。2024年9月、JR金沢駅前に金沢駅前内科・糖尿病クリニックを開設。2026年4月、金沢市玉鉾に心療内科・ペインクリニックを開設予定。
<Text:外薗 拓 Edit:編集部>









