海苔を食べ過ぎるとどうなる?何枚食べていい?1日の適量 (1/2)
「海苔は低カロリーで栄養豊富だから、たくさん食べても大丈夫?」
そんなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
海苔はおにぎりや手巻き寿司、おつまみなどで手軽に食べられる一方、食べ過ぎるとお腹の不調や塩分・ヨウ素の摂り過ぎにつながる可能性があります。
林外科・内科クリニック理事長の林裕章先生監修のもと、海苔を食べ過ぎるとどうなるのか、何枚まで食べてよいのか、1日の適量を解説します。
海苔を食べ過ぎるとどうなる?何枚から食べ過ぎ?
海苔を大量に食べると、お腹の張りやガス、下痢や便秘などの不調につながる可能性があります。
「1日○枚まで」という公的な上限はありませんが、健康な成人なら、焼き海苔1日1〜3枚程度であれば心配する必要はなく、10枚程度食べてもすぐに健康を害するとは考えにくいでしょう。
また、味付け海苔や韓国海苔では、食べる量が増えるほど塩分の摂取量も増えます。
さらに、海苔には甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素も含まれています。しかし、海苔のヨウ素量は昆布などに比べると少なく、通常の食事で食べる量であれば、過度に心配する必要はありません。
ただし、血液を固まりにくくする薬(ワルファリン)を飲んでいる方や、飲み込む力が弱い高齢の方・小さな子どもは、食べる量や食べ方に少し注意が必要です。
海苔を食べ過ぎるデメリット
海苔を食べ過ぎた場合、次のような影響が出る可能性があります。
大量に食べるとお腹に不調を感じることも
海苔を一度に大量に食べたからといって、必ず消化器症状が出るわけではありません。ただ、海苔は食物繊維がとても多い食品です。

焼き海苔では重さの3分の1以上(100gあたり36.0g)が食物繊維で、全形1枚(約3g)でも約1.1g含まれます。食物繊維は人の小腸では消化・吸収されず大腸まで届くため、急に多く摂ると、人によってはお腹の張りやガス、下痢・便秘など便通の変化につながることがあります(※1)。
とはいえ、海苔が特別に消化しにくい食品というわけではないので、通常の食事量であれば過度に心配する必要はありません。胃腸の調子が悪いときや、食物繊維を摂ると症状が出やすい方は、一度に大量に食べず、よく噛んで少量からにしましょう。
海苔をたくさん食べる日は水分も一緒に摂ると、便が硬くなるのを防ぎやすくなります。
味付け海苔・韓国海苔は塩分の摂り過ぎに注意

焼き海苔は食塩相当量が少ない食品で、全形1枚あたり約0.04gしかありません。一方、味付け海苔や韓国海苔には塩や調味料が加えられています。味付け海苔1パック(約2g)の食塩相当量は約0.1gとわずかですが、おつまみ代わりに何パックも続けて食べると、その分だけ塩分も積み重なります。

また、見落としやすいのが、ご飯のお供の「海苔の佃煮」です。しょうゆなどで味付けして煮詰めてあるため、商品にもよりますが、小さじ1杯ほどでも味付け海苔1パックの数倍の塩分になります。高血圧や腎臓の病気で塩分を控えている方は、量に気をつけましょう。
ヨウ素の摂り過ぎに注意
ヨウ素は海藻類に多く含まれ、日本人は海藻を日常的に食べるため、ヨウ素の摂取量が比較的多い傾向があります。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料ですが、摂り過ぎる状態が長く続くと、甲状腺の働きがかえって低下し、むくみやだるさ、首の腫れ(甲状腺腫)などにつながることがあります。食品成分表では、焼き海苔のヨウ素は100gあたり2,100μgで、全形1枚(約3g)なら約63μgです(※2)。
成人のヨウ素の推奨量は1日140μg、耐容上限量(習慣的にこれ以上とると健康を害するおそれがある量)は1日3,000μgとされています(※3)。焼き海苔1枚を約63μgとして単純計算すると、耐容上限量に達するのは全形約48枚に相当します。現実的に、通常の食事で海苔だけからヨウ素を過剰摂取する可能性は高くありません。

むしろ気をつけたいのは昆布です。昆布には同じ重さで比べると海苔の約100倍ものヨウ素が含まれており、昆布でしっかりとっただしの汁物なら、1杯で成人の耐容上限量を上回ることもあります。ときどき口にする程度なら心配はいりませんが、昆布だしの汁物を1日に何杯も飲む、とろろ昆布や昆布の佃煮を毎日たくさん食べるといった習慣が続くと、ヨウ素の摂り過ぎにつながります。
海苔の枚数よりも、昆布を含めた海藻全体の食べ方を意識しましょう。
甲状腺疾患がある人・妊娠中の人は注意
甲状腺疾患がある方や妊娠中の方は、ヨウ素の摂取量に注意が必要な場合があります。甲状腺の病気のひとつである橋本病(慢性甲状腺炎)は、成人女性の7〜8人に1人がその素質をもつとされる身近な病気です。
橋本病の方はヨウ素を摂り過ぎると甲状腺ホルモンが低下することがあるため、昆布の食べ過ぎだけでなく、ヨウ素を含む茶色いうがい薬の使い過ぎにも気をつけましょう(※4)。
また、妊娠中や授乳中にヨウ素を摂り過ぎると、赤ちゃんの甲状腺の働きにも影響するおそれがあります。そのため、この時期の耐容上限量は1日2,000μgと、ほかの成人(3,000μg)より低く設定されています。甲状腺疾患の治療中の方や食事について指示を受けている方は、自己判断で海藻類の摂取量を大きく増減せず、主治医に確認しましょう。
ワルファリンを飲んでいる方は、食べる量を一定に
海苔には、血液を固める働きに関わるビタミンKも含まれています。焼き海苔の全形1枚に含まれるビタミンKは約12μgで、普段の食事で食べる量なら問題になることはほとんどありません。ただし、血液を固まりにくくする薬「ワルファリン」を飲んでいる場合は注意が必要です。
この薬はビタミンKの働きを抑えることで効果を発揮するため、ビタミンKを多く含む食品を急にたくさん食べると、薬の効きが弱まるおそれがあります(※5)。ワルファリンを飲んでいる方も海苔を控える必要はありませんが、「今日は1袋まるごと」といった食べ方はせず、毎日の量をなるべく一定にしましょう。
なお、同じように血液を固まりにくくする薬でも、ワルファリン以外の多くの薬はビタミンKの影響をほとんど受けません。自分の薬がどれにあたるかわからない場合は、主治医や薬剤師に確認してください。
高齢の方や小さな子どもは、上あごやのどへの張り付きに注意
焼き海苔は薄くて乾いているため、上あごやのどに張り付きやすい食品です(※6)。飲み込む力が弱くなった高齢の方や、かむ力・飲み込む力が発達途中の小さな子どもでは、むせたり、のどに詰まらせたりする原因になります。
大きな1枚のまま食べず、細かくちぎったり、刻みのりやもみのりにしたりして、ご飯と一緒に少しずつ食べるようにしましょう。食事中や食後にせき込みが続く、声がガラガラになる、ゼーゼーと呼吸の音がするといった様子があれば、食べ物が気管に入り込んだ(誤嚥した)可能性もあるため、医療機関に相談してください。
海苔は何枚から食べ過ぎ?1日の適量の目安
海苔には「1日○枚まで」という公的な上限はありません。健康な成人の場合、焼き海苔は1日1〜3枚程度なら心配いりません。1日10枚ほど食べても、すぐに健康を害することは考えにくいでしょう。
ただし、10枚で食物繊維は約11gになるため、ふだん食物繊維をあまりとらない方はお腹が張ることがあります。ヨウ素も10枚で約630μgと、成人の耐容上限量(1日3,000μg)の2割ほどなので、ヨウ素を理由に1日1〜2枚までと厳しく制限する必要はありません。
一方、味付け海苔は焼き海苔に塩や調味料を加えたもの、韓国海苔はごま油などの油と塩をぬって焼いたものなので、同じ枚数でも焼き海苔より塩分が多く、韓国海苔はカロリーも高めです。
味付けの濃さは商品ごとに大きく異なるため、枚数よりも栄養成分表示で食塩相当量を確認し、多めに食べた日は汁物や漬物を控えるなど、食事全体で調整しましょう。なお、甲状腺の病気で治療中の方や妊娠中の方は、主治医の指示を優先してください。
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