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筋トレやランニングに「MCT(中鎖脂肪酸)オイル」はどんな効果や働きがあるのか?業界大手の日清オイリオグループを取材した

 ロカボダイエットやファットアダプテーションを実践している人たちの間で話題のMCT(中鎖脂肪酸)オイル。サッカー日本代表の長友佑都選手をはじめプロのアスリートにも愛用者が多く、注目を集めています。

 そこで、食用油のリーディングカンパニーである日清オイリオグループ株式会社に、アスリートがMCTを摂取することにより期待されることについて聞きに行ってきました。

医療現場で使われてきたMCT。体に良いのはなぜ?

 MCTオイルについて教えてくれたのは、長年にわたりMCTの研究を続けている日清オイリオグループ中央研究所の渡邉愼二さんと、商品戦略部ウェルネス食品課の長門石亮さん。

「MCTオイルは、ココナッツオイルやパーム核油、牛乳や母乳にも含まれる成分である中鎖脂肪酸100%の食用油です。医療現場では40年以上前から未熟児や手術後の患者さんなどのエネルギー補給としてMCTオイルが使われてきました。産まれたばかりの子どもからお年寄りまで、さまざまなライフステージで機能を発揮する、知る人ぞ知る油です」(長門石さん)

▲商品戦略部ウェルネス食品課・長門石 亮さん

 そもそも、人間の身体活動に使われるエネルギー源は主に糖質と脂質。高強度の運動ではエネルギーとして糖質が優先的に使われ、比較的負荷の軽めな運動では脂質が使われます。体の中で蓄えている脂質の量はフルマラソンを20回ぐらいできるぐらいのエネルギーを持っていますが、糖質はマラソン1回分ぐらいなんだそう。

「糖の量は非常に限られているので、小出しに使っていかなくてはいけない。それには、もっと脂肪のエネルギーを利用しやすい体質に変えていく必要があります。油を多めに摂ることを続ければ、脂肪をエネルギー源として使おうと体が順応していきます。とはいえ、過剰に油を摂れば、太ったり、血糖値が上がったりと、デメリットもある。日本人の食事摂取基準では、脂質のエネルギー比率は30%未満です。必要な摂取基準のなかで一定のバランスを取らなくてはなりません。MCTでは通常の油のデメリットを補いながら、少量でファットアダプトすることが期待できます」(渡邉さん)

▲中央研究所主管・渡邉 愼二さん

 一般的なサラダ油などに含まれる長鎖脂肪酸(LCT)は、摂取すると全身に運ばれて吸収・貯蔵されますが、中鎖脂肪酸(MCT)は摂取後素早く消化吸収されて、すぐにエネルギーに変わり、脂肪を体内に溜め込まないという特長があります。

▲提供:日清オイリオグループ株式会社

 さらに、MCTは脂肪を蓄積しにくいだけでなく、筋肉中のミトコンドリアを増やす働きがあることがわかっています。ミトコンドリアは、脂肪を燃焼させることによって私たちの体を動かすためのエネルギーを作り出す、いわば「脂肪燃焼工場」。継続的にMCTを摂取することでミトコンドリアが増えれば、脂肪を効率よくエネルギーとして使うことができるようになるのだそうです。

▲提供:日清オイリオグループ株式会社

 また、MCTの摂取によって筋肉量が増えるというデータも確認されています。運動により筋肉を使うと、筋肉の組織は破壊されます。運動後、壊れた筋肉は自力で修復しますが、そのときに前よりも強い筋肉をつくろうとします。このように筋肉は合成と分解をくりかえしており、実験ではMCTの摂取はその合成の力を高めている可能性が見られるそうです。

▲提供:日清オイリオグループ株式会社

 高齢者を対象とした実験では、MCTの摂取によって体内の脂肪の量が減り、筋肉が増えてきて筋力が改善したという結果が確認されつつあるとのこと。MCTの摂取プラス運動を習慣化させればさらに効果が上がることが期待できそうです。

持久力アップと疲労回復のスピードアップが期待できるかも

 日清オイリオグループでは、MCT利用の価値について、アスリートを対象とした研究も進めています。プロサッカー選手にMCTオイルを3カ月間摂取してもらい、体調の変化をアンケートした調査では、「体のキレ」「運動後の疲労感」「疲労回復のスピード」の3項目で有意な変化が見られています。

●プロサッカー選手におけるMCTの継続摂取が体調におよぼす影響について

▲提供:日清オイリオグループ株式会社

 この結果から、MCTオイルを続けて摂ることで、長い時間の運動においてより疲れにくく、さらに運動後の疲労回復のスピードが上がるなど、体調の向上によい影響を与える可能性が期待できます。

 また、タイムの速いグループとタイムの遅いグループに分けて行った市民ランナー67人を対象としたアンケートでは、タイムの遅いグループで持久力アップを体感できたという結果が出たとのこと。まだ伸びしろがあるランナーにとっては、MCTオイルの摂取によって持久力アップが期待できる可能性も見えているといえるかもしれません。

「脂質エネルギーへの依存度が高い体になれば、長時間の運動でも後半にエネルギー不足に陥ることがありません。そういった意味では、100kmのウルトラマラソンやトライアスロンなどの持久系のスポーツ、サッカーなどでは長時間動き続ける必要のあるポジションの選手にMCTの利用価値があるのではないでしょうか」(渡邉さん)

日常生活のなかにMCTオイルをプラスする

 MCTは継続して摂取することで体質を変えることが大切なので、日常生活のなかで習慣化できるような摂り方が理想的です。

 MCTオイルは、無味無臭で無色透明。食材にそのままかけたり、混ぜたりして摂取できます。コーヒーや味噌汁、サラダにかけたり、ご飯に炊き込んでもOKです。他の食材の風味を損なわないのがMCTオイルの特長です。

 ただし、直接火にかけて加熱するのは絶対にNG。発煙点が低いので、フライパンで熱すると150~160度ぐらいで煙が出たり、それ以上加熱すると引火する可能性もあります。できあがった炒め物にかけるのはOKです。

 味も匂いもしないとなると、量の加減が難しいかもしれません。脂肪を燃焼させるとはいえ、摂りすぎれば燃焼した分と相殺されてしまい、それ以上になれば結局体内に蓄積されてしまうことに。

「実験では1日に小さじ1杯ちょっと(6グラム)で代謝が変わるスイッチが入るということがわかっています。油なので摂りすぎるとお腹がゆるくなってしまうことがありますので、最初は小さじ一杯(4.6グラム)ぐらいから始めてください」(長門石さん)

 市販されているMCTにはオイルタイプのほか、パウダータイプやゼリータイプのものもあります。パウダータイプはオイルよりも水に溶けやすいので、スポーツドリンクに混ぜて飲んでもいいですし、筋トレ後にプロテインを飲んでいる場合はそこにパウダータイプをプラスすれば、日々のルーティンにMCTを取り入れることができそうです。

 ゼリータイプは携行に便利なスティックタイプになっているので、レース中の栄養補給にぴったりです。ウルトラマラソンやトレイルラン、トライアスロンなどのレース中に少量ずつ食べると、グリコーゲンの消費を節約することができます。ゼリータイプはヨーグルトなどの味がついているなど、食べやすくなっています。

 また、MCTは激しい運動による疲れで体が食事を受け付けなくなったときの栄養補給としても最適です。

「部活の後など、疲れすぎて食欲がなくなる子が多いですが、成長期はそれでもエネルギー補給のために食べなくてはなりません。そんなときにMCTを食べものや飲みものにプラスしてあげれば、無理に食事の量を増やす必要がありません。お子さんの弁当のおかずにMCTを混ぜて持たせるのもおすすめです」(渡邉さん)

▲提供:日清オイリオグループ株式会社

 普段口にするものにひと足しするだけで、無理なく簡単にアスリートのパフォーマンスアップをサポートしてくれる可能性のあるMCT。ぜひ日頃の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

<Text & Photo:丸山美紀(アート・サプライ)>

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