
低脂肪牛乳は体に悪い?メリットとデメリットを管理栄養士に聞いた
「低脂肪牛乳は体に悪い」という噂について、管理栄養士監修のもと解説していきます。「危険」や「体に悪い」という噂はデマという声もありますが、実際のところどうなのでしょうか。
低脂肪牛乳のメリットやデメリット、普通の牛乳との違いなども解説。なぜ安いのか、普通の牛乳とどっちがいいのかといった疑問にもお答えします。
「低脂肪牛乳は体に悪い」って本当?
低脂肪牛乳が体に悪いとは、一概には言い切れません。牛乳アレルギーや乳糖不耐症*の人にとっては不調の要因となりえますが、健康な人にとってはさまざまな栄養素を摂れる飲料だと言えるでしょう。
*乳糖不耐症……牛乳などを飲むとお腹がゴロゴロする・下痢をするなどの症状があらわれる。牛乳などに含まれる「乳糖」を分解する酵素が生まれつき不足している・働きが弱いなどが原因で起こる。
ネットやSNSなどのメディアは、しばしば栄養情報を単純化し、複雑な状況を簡潔に伝えようとします。その結果、「脂肪=悪いもの」として知られることがあり、低脂肪牛乳は体に悪いという噂が回ったのかもしれません。
低脂肪牛乳のメリットとデメリットを見てみよう
普通の牛乳と低脂肪牛乳を比べた時に考えられるメリット、デメリットをご紹介します。
メリット 低脂肪牛乳の良さ
- 低カロリー
- 低コレステロール
- 高タンパク
- 不和脂肪酸が少ないため、循環器疾患のリスクが低い
- 値段が安い
- スッキリとした味で飲みやすい
デメリット 低脂肪牛乳の弱みとは
- 栄養価が低い(ビタミンのA・D・E・Kの含有量が少ない)
- 牛乳特有のクリーミーさがない
- 味が薄く満足感を得にくい
低脂肪牛乳はなぜ安いのか?
低脂肪牛乳が普通の牛乳と比べて値段が安いのは、利益率が良いからだと言われています。
そもそも低脂肪牛乳は、生乳から乳脂肪分を取り除き、製造します。その取り除かれた乳脂肪分が、バターやチーズなどの乳製品の原料となります。
そのため、「低脂肪牛乳を作ることで、生乳から低脂肪牛乳以外の利益を得られる」ので値段が安いと言われています。
低脂肪牛乳と牛乳の値段
1リットルあたり、以下の値段が目安です。
- 普通の牛乳:220円前後
- 低脂肪牛乳:190円前後
牛乳を毎日飲むご家庭にとっては、この値段の差は大きいですよね。
低脂肪牛乳に食品添加物は入っている?
一般的な低脂肪牛乳のほとんどは、食品添加物が含まれていません。低脂肪牛乳は生乳から脂肪を取り除いた製品であり、原材料に生乳以外の記載がされていないことが多いです。
ただし、製品によっては食品添加物が入っている場合があります。気になる人は、ラベルをよく確認すると良いでしょう。
もし特定の食品添加物に対して懸念がある場合は、製品の成分表を確認するか、製造元に問い合わせてみると良いかもしれません。
食品添加物とは
食品添加物とは、風味・色合い・保存期間などを改善し、製品の品質を維持するために使用される物質のことを指します。一般的な食品添加物は、防腐剤・香料・色素・甘味料などです。
「低脂肪牛乳」と「普通の牛乳」の違い
低脂肪牛乳と普通の牛乳の主な違いは、乳脂肪分の量です。名前の通り、低脂肪牛乳の方が普通の牛乳よりも乳脂肪分が少ないです。
▼乳脂肪分の差
牛乳 | 3.0%以上 |
低脂肪牛乳 | 0.5%以上、1.5%以下 |
低脂肪牛乳と牛乳どちらがいいの?
低脂肪牛乳と牛乳どちらがいいかは、一概には言えません。
どちらにも違った良さがあるため、栄養成分や値段などを確認した上で、目的に合わせてどちらか選ぶと良いでしょう。
▼低脂肪牛乳と牛乳の栄養成分(100gあたりの目安値)
低脂肪乳 | 牛乳 | |
カロリー | 42kcal | 66kcal |
たんぱく質 | 3.8g | 3.3g |
脂質 | 1.0g | 3.8g |
糖質 | 4.9g | 4.6g |
炭水化物 | 5.5g | 4.8g |
カルシウム | 130mg | 110mg |
飽和脂肪酸 | 0.67g | 2.33g |
乳糖 | 4.7g | 4.4g |
「低脂肪牛乳」がおすすめの人
- ダイエット中
- 比較的安価で牛乳を飲みたい
- スッキリした味が好き
「牛乳」がおすすめの人
- 効率的にバランス良く栄養補給したい
- 濃厚でコクのある味が好き
- クリーム系の料理に使いたい
関連記事:牛乳の栄養と効果的な飲み方。低脂肪や無脂肪の違いは?高カロリーだから太るってホント?[管理栄養士監修]
「低脂肪牛乳」「加工乳」「乳飲料」の違い
低脂肪牛乳の中でも、低脂肪乳(加工乳)・低脂肪乳(乳飲料)があります。これらの違いは、原材料や成分の規格です。
▼それぞれの違い
低脂肪牛乳 | 原材料は生乳のみ。乳脂肪分が減らされた牛乳。 |
低脂肪乳(加工乳) | 生乳や牛乳などに、クリーム・バターなどの乳製品を加えたもの。あるいは生乳を原料とした乳製品を加工したもの。(牛乳・乳製品以外は加えてはならないとされている) |
低脂肪乳(乳飲料) | 乳製品・生乳・牛乳などを主原料にした飲料に、乳製品以外の成分(ビタミン・果汁など)を加えたもの。 |
低脂肪乳に関するギモンを解決!
低脂肪牛乳によくある疑問や質問の答えを、管理栄養士さんに聞いてみました。
低脂肪牛乳でプロテインを割ってもいい?
低脂肪牛乳で粉末タイプなどのプロテインを割っても、もちろん大丈夫です。水で作るよりもクリーミーで飲みごたえがあるでしょう。また、タンパク質やカルシウムなどの栄養素をより補給できるというメリットも挙げられます。
牛乳や豆乳よりは濃厚さがないので、運動後スッキリしたい時にもぴったりでしょう。
低脂肪牛乳はまずい? どんな味がする?
普段牛乳や豆乳を飲んでいる人にとっては、「低脂肪牛乳の味は薄く、まずい」と感じる場合があります。逆に牛乳の濃さやコクが苦手な人は、美味しく飲めるでしょう。
低脂肪牛乳のカロリー
明治から出ている「おいしい低脂肪乳」の場合、200ml(紙パック1本)で107kcalあるそう。
同じく明治から出ている「おいしい牛乳」の場合は、200ml(紙パック1本)で137kcalあるそう。やはり低脂肪牛乳の方が低カロリーなことが分かります。
監修者プロフィール
たいや内科クリニック
管理栄養士 林 安津美(はやし あつみ)さん
大学卒業後、JAあいち厚生連で37年にわたり病院の管理栄養士として勤務。その間、豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。2022年5月よりたいや内科クリニックへ入職。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を活かし、患者さんの思いを聴き・応え、患者目線でテーラーメイドの医療を届けるよう心掛けている。
▼参考
乳等省令における規定(抜粋) - 厚生労働省
食品成分データベース – 文部科学省
日本食品標準成分表2020年版(八訂)– 文部科学省
明治おいしい低脂肪乳 200ml – 株式会社明治
明治おいしい牛乳 200ml – 株式会社明治
<Text:編集部>