朝の水泳トレーニングにはどんなメリットがある?ダイエット効果は?専門家に聞いてみた
昨今、朝ランや朝ヨガというワードが流行っていますが、朝に体を動かすことは、果たしてどのようなメリットがあるのでしょうか?
朝、人の代謝は下がった状態から始まります。運動をすることで、体はエネルギーを消費し、それに伴い代謝が上昇していくのです。代謝が上がると免疫力の上昇や体調の改善、太りにくくなるなど、体に良い影響をもたらします。そのため、朝から体を動かすことは、健康的な体をつくることに、とても有効なのです。
今回は、カロリー消費が大きく、代謝が上がりやすいとされる「水泳」をピックアップし、朝に水泳を行うことでどのようなメリットがあるのか、水泳マスターズ世界記録保持者の前田康輔さんに伺ってきました(初出:2017年12月)。
科学的トレーニングで極限まで抵抗を減らす
----前田選手は、大学時代どのような練習をされていましたか?
練習は週に12回あり、そのうち10回が水中での練習でした。基本的にメニューは1年単位で組まれていて、曜日によって練習の回数が決められていました。月・火・木・金は、1日に2回練習があり、朝と放課後でメニューが分けられていました。
また、僕が通っていた大学は、科学的トレーニングというデータに基づいた練習法を行っていて、水泳の基本でもある『抵抗を減らす』ということを突き詰めていましたね。
----科学的トレーニングでは、具体的にどのようなことをされていたのですか?
自分の泳ぎを撮影して分析していました。ただ、この撮影は単に泳ぎを撮影するだけが目的なのではなく、腰に計測器を巻いて、どの動きの瞬間にスピードが落ちたのか、というところまで分析していましたね。他にも、練習後に血液を採取して、乳酸測定などを行なっていました。乳酸測定を行うことで、自身の特性を知ることができるのです。
----朝と放課後の練習で、どのような違いがありましたか?
朝は、主に長距離を泳ぐエンデュランス系のトレーニングをしていました。一方で、放課後になるとスピード系の練習がメインでしたね。また、朝の練習前には、30分間のピラティスがあったり、放課後のハードな練習の後には、必ずリカバリーをしてバランスを取っていました。
----朝、水中の練習以外にピラティスが組まれていたのはなぜですか?
呼吸法によって腹圧や体のリズムを整えるためです。朝は呼吸を意識することが大切で、ピラティスをすることで内側から体を引き締め、芯をつくることができます。
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歩くだけでもダイエット効果がある?
----昨今、朝ランや朝ヨガというワードが流行っていますが、水泳にも朝行うメリットはあるのですか?
水中にいると代謝が上がりやすいので、朝の代謝が下がっているタイミングで入水するとすぐに代謝が上がってきますよ。ダイエットをしたいという方や、スラッとした体をつくりたいという方には、とても良いですね。
水は、空気よりも熱伝導が良く、人の体温をすぐに奪います。一方、人には、体温調節機能というものが備わっており、エネルギーを消費して体温を上げようとします。これによって、代謝が上がっていくのです。また、水中では、常に水圧で抵抗を受けているので、エネルギーを消費するほか、全身の血流が良くなり、体内の有害物質をデトックスすることができるのです。なので、代謝を上げるという意味では、水中に浸かっているだけでもいいかもしれません(笑)。
----必ずしも泳ぐことだけではないのですね(笑)。
そうですね(笑)。また、陸上よりも水中の方が消費カロリーは高いですし、ジョギングなどは水中でやった方が安全ですよね。水泳は生涯スポーツなので、安全性という意味でも非常に優れたスポーツだと思います。
----たしかに関節への負担などを考えると、水中で動いた方が怪我の恐れも軽減されそうですね。他にも水中だからこそ養われることなどはありますか?
関節が緩むので、柔軟性が上がり、しなやかな体をつくることができます。また、水泳は有酸素運動なので、呼吸をたくさんします。呼吸をすると肺を使うため、呼吸筋が鍛えられ、疲れを感じづらくなったり、免疫力が高まったりと、健康的なカラダをつくることができます。
----最後に、一日のはじめに代謝を上げておくことで、どのようなメリットがあるのか教えてください。
仕事や勉強など、生活のあらゆることがはかどると思います。水泳選手の中でも、練習だけしっかりやって、後はダラダラ過ごす選手よりも、文武両道の選手の方が強かったりするのです(笑)。また、そういった選手ほど生活や練習、仕事面のタイムマネジメントも上手いですね。
[プロフィール]
前田康輔(マエダ・コウスケ)
3歳から双子で水泳を始め、全日本選手権入賞、2008年日本学生選手権中央大学水泳部総合優勝に貢献。科学的トレーニングで勝ち続けた経験を活かして、現在もマスターズ世界記録、日本記録を更新中。トライアスロンのチーム指導をはじめ、マスターズスイマーなど、さまざまな年齢層を指導する。日本国内だけでなく、海外のジュニアチームの指導も行う。2018年1月には、自身がコーチを務めるスイミングスクール「マーマンアカデミー」を開校。
【Instagram】https://www.instagram.com/maekou28/
<Text:長田楓/Photo:長田楓、本人提供>